ITソリューション企業総覧2014Web
NTTアドバンステクノロジ

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08_電子政府・自治体 ITソリューション企業編

地方議会の改革/住民の議会参画を支援する
情報公開パッケージ


NTTアドバンステクノロジ

www.ntt-at.co.jp/


 NTTアドバンステクノロジ(以下NTT-AT)は地方議会向けの情報公開パッケージ「Discuss(ディスカス)シリーズ」の販売に力を入れている。医療・福祉の問題や産業振興、災害対策など地方自治体が抱える課題は多い。地域活性化には政策決定の場に世の中の多様化する価値観を反映させる必要がある。いわゆる「ネット選挙」の解禁など、情報通信技術(ICT)の進化は住民の政治参加の在り方を変えようとしている。NTT-ATはディスカスシリーズの提供を通じて住民の議会参画を促し、地方議会の改革を支援している。

自治体の情報公開に貢献するDiscuss(ディスカス)シリーズとは

 自分たちの住む自治体はどんな課題を抱えていて、議会ではどんな議論が交わされているのか。そんな住民のニーズに応えようと地方議会の情報公開に対する意識も高まっている。全国市議会議長会の調査によると2012年末時点で全811市がインターネット上で議会の情報を発信している。傍聴案内や会議日程などについてはほぼすべての市がホームページ上で掲載しており、ネットによる議会中継は全体の5割を超える。このほか、議会用語の解説を載せたり、行政視察報告や外国語のページを充実させたりといった取り組みも見られる。

 そんな自治体の情報公開に貢献してきたのがNTT-ATの「Discuss(ディスカス)シリーズ」だ。会議録検索機能を提供する「DiscussNetPremium(ディスカスネットプレミアム)」の提供開始は1998年。政府が「e-Japan」構想を発表したのは2000年であり、本格的なインターネット社会の到来に先んじての商用化だった。当初はオンプレミス(自社運用)型で提供し、01年にはクラウドコンピューティング型サービスとしての提供をスタートした。現在、会議録検索システムを導入している地方議会は1000弱にのぼるとされる。その中でも「ディスカスネットプレミアム」は全都道府県の自治体に導入実績があり、市場シェア6割を占める。長年の取り組みが奏功し「実績で連鎖反応が起こっている」(遠藤貴将アプリケーションソリューション事業本部ソフトウェアパッケージビジネスユニット担当課長)。

■DiscussNetPremium(ディスカスネットプレミアム)

 現在、Discuss(ディスカス)シリーズは4種類をラインアップしている。最初に登場したDiscussNetPremium(ディスカスネットプレミアム)は会議録をウェブサイトに公開して検索できるシステムで、キーワードや関連語、発言者、会議名、年度指定などができる(図1)。

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図1 会議録検索システム(DiscussNetPremium)

 

 もともと議会の会議録は公文書としての保存が義務づけられている。文書化のため、議会で交わされた議論はデータ化されている。このデータをNTT-AT独自の日本語検索技術でうまく活用したのが「ディスカスネットプレミアム」だ。簡単に過去の記録が見つかるため、たとえば議員からの「あの議会での自分の発言を探してほしい」といった要望にもすぐに応えられる。質問と答弁が紐づけられているため、議論の流れの中で発言の趣旨を理解することができる。情報公開という観点からだけでなく、議会事務局の負担減にもつながる。議会事務局は実質的に地方自治体の一部署となっていることも多く、思うように人員を割くことができない現状もある。議会業務の効率化は自治体職員にとっても歓迎すべき利点だ。

 また、ディスカスネットプレミアムを導入している議会の会議録を横断的に検索する「クロスサーチ」機能を使えば同じような議案について「他の自治体の議会ではどういう審議をしているのか」といった調査が可能。視察先の選定などにも役立つという。

■DiscussVisionNet(ディスカスビジョンネット)

 DiscussVisionNet(ディスカスビジョンネット)は議会のライブ・録画中継をウェブ上に公開するシステム(図2)。映像で配信することで議会活動を直感的に、身近に感じてもらうことができる。特定の会議や議員を指定した再生や早送り・巻き戻しなども可能なほか、党会派や発言者の絞り込みなど柔軟な検索が可能。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末(携帯型情報端末)でも視聴できる。

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図2 議会映像配信システム(DiscussVisionNet)

 

 ディスカスネットプレミアムとの連携により、映像と会議録を同時に閲覧するような使い方もできるため議論の中身を詳細に把握できる。一般の動画配信サービスを使う場合に比べて映像配信環境が安定しており、不適切な広告の表示などを心配せずに済むことも利点になっている。

■DiscussCabinet(ディスカスキャビネット)

 DiscussCabinet(ディスカスキャビネット)はクラウド型議会資料共有システム(議会向けファイリング&検索システム)(図3)。

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図3 議会資料共有システム(DiscussCabinet)

 

 さまざまな議会資料が簡単に分類・登録でき、そのままスピーディーにウェブ公開できる。議会資料は図書の情報や新聞記事のスクラップ、電子化された資料など膨大な分量にのぼり、整理するのはひと苦労だ。ディスカスキャビネットに一連の資料を登録しておけば語句や単語だけで検索できるため、市民にとっては議会情報を閲覧しやすくなる。議会事務局にとっても議会資料の準備がこれまでより大幅に簡単・スピーディーになる。また、議会や委員会での資料のペーパレス化にも寄与する。

■DiscussWeb(ディスカスウェブ)

 一連のDiscuss(ディスカス)シリーズは相互に連携させることでより導入効果が高まる。コンテンツ管理システム(CMS)上で「ディスカス」の各システムがシームレスに連携することを可能にするのが議会専用のホームページ(HP)作成・管理ツール「DiscussWeb(ディスカスウェブ)」だ(図4)。徳島県が開発した自治体専用のオープンソース(無償公開・利用改変自由)CMS「Joruri(ジョウルリ)」をベースに、千葉県流山市議会との共同研究で集めた住民や議員の声をシステムに反映し、早稲田大学マニフェスト研究所からの監修をうけて開発した。

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図4 議会専用ホームページ作成・管理ツール(DiscussWeb)

 

 議会のHPは議員と住民をつなぐ重要な接点だが、管理に手間がかかると更新頻度が下がったり、アクティブなコンテンツが限られたりすることもある。HPのテンプレート(ひな型)も豊富で、専門知識がなくても簡単に更新できる。「あくまでも住民目線で作り込んである」(遠藤担当課長)使い勝手の良さが特徴だ。ソーシャル(参加交流型)型サービスとの連携も可能で住民の意見も反映しやすい。営業を開始したのは2012年。自治体の予算の関係もあり本格的な導入は14年度からだが、すでに複数の自治体から好感触を得ているという。

議員の意識改革に向けて

 一方、議員の意識改革に向けたサービス開発も進めている。2014年にはシリーズの最新版としてeラーニング教材の配信サービス「DiscussLearning(ディスカスラーニング)の提供を開始。地方議会議員や議会職員向けの教育事業に参入した。

 早稲田大学発ベンチャーの地方政府研究所(東京都中央区)と協業。地方議会のあり方や先進的な自治体の取り組みを、パソコンやタブレット端末(携帯型情報端末)を使って体系的に学習できる。講師陣には早大マニフェスト研究所の北川正恭所長(早大大学院教授)ら地方自治に精通する講師陣が顔をそろえる。今後は地方政府研究所がウェブ上に講師と講義の参加者が対話できるコミュニティーを設けるほか、実地の研修も提供していく。

 地方分権の流れの中で、議員の政策立案能力が問われる複雑な課題は増えている。ところが議員が体系的に政策を学習できる場はそれほど多くないのが現状だ。30-40代の若い議員であればインターネットを駆使して情報を集めることも可能だが、地方議員の約7割は50代以上が占める。「ITに対するリテラシーが高くない世代にも役立つシステムが必要だ」と三宅泰世営業本部営業推進部門プロモーション担当課長は開発の狙いを説明する。

 もちろん、一般住民にとっても行政の役割や地方自治の仕組みを体系的に学ぶ機会は欠かせない。ところがそうした機会は学校教育の一部にとどまり、決して十分とはいえない現状だ。「わからないから興味を持たない。これでは民主主義は育たない」(三宅担当課長)。

地方政治の在り方を変える起爆剤に

 これまでのDiscuss(ディスカス)シリーズにも課題は残る。きわめて広範囲な検索が可能であり、使い勝手の良さも高い。それでも専門知識を持たない一般住民にとって会議録の内容を詳細に吟味し「自分が投票した議員は何をしているのか」といった本当に欲しい情報を手に入れるのは難しい。議事録に出てくる用語の意味を探るのにもひと苦労だ。条例に定めた情報公開から一歩踏み込み、住民の政治への関心を高めるための取り組みに力を入れる自治体は一部にとどまる。

 「『Discuss(ディスカス)シリーズ』が議会の改革や政治意識の向上に役立ててほしいというポリシーはある」(鎌田清一アプリケーションソリューション事業本部ソフトウェアパッケージビジネスユニット担当課長代理)。三宅担当課長も「ICTを活用した効率的な議会運営の実現を支援するのがわれわれの役割」と口をそろえる。「ネット選挙」の本格的な定着など、市民の意識の成熟を見据えつつ、新しい住民参加型の政治に貢献するサービスを作り込む考えだ。

 

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