ITソリューション企業総覧2014Web
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06_ICTサービス・サポート ITソリューション企業編

新ビジネスツール「ウェブ帳票配信サービス」 /医療・介護分野のヘルスケアソリューションで サービス領域を拡大


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www.ags.co.jp


ウェブ帳票配信サービス「EasyDelivery」

 AGSが2013年10月に提供開始したウェブ帳票配信サービス「EasyDelivery(イージーデリバリー)」は、請求書や支払通知書といった帳票類の作成・送付をウェブ化することで、コスト削減、スピードアップ、作業負担軽減などを図れるのが特徴。帳票公開通知や閲覧状況確認など、やりとりを円滑化する各種機能も充実している(図1)。

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図1 EasyDelivery全体像

 

 業種・業態を問わず使える新ビジネスツールとして、今後さまざまな業務向けに導入が進みそうだ。

■帳票関連業務の合理化で大幅なコスト削減、スピードアップ

 利用者はデータを同社のクラウドへ送信することで電子帳票を自動生成し、簡単操作でエンドユーザーである顧客に公開できる。印刷、封入、郵送といった一般的な帳票関連業務の手間を省けるため、大幅なコスト削減、スピードアップが可能。「月1000先に請求書などを送っている場合、導入により年間90万円ほどコストを減らせる。また、業務時間は半分以下にできる」(法人事業本部)という。このほか、作業者負担や環境負荷の軽減につながるのもメリットだ。

 利用する場合、まず必要なのが既存の基幹システムを基にCSVデータを作成すること。そしてこれをイージーデリバリーのシステムにアップロードし、顧客情報などを取り込む。アップロード時にはチェック機能が作動し、取り込みなどのエラーを防止できる。その後、利用者は帳票公開を顧客に知らせるための通知文を作り、導入準備が完了する。

 帳票公開時に自動配信される通知メールにはURLが記載してあり、顧客はそこからシステムにログインする。ログイン先で取得した電子帳票は、PDFファイル形式で取り出して必要に応じ保存・印刷できる(図2)。

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図2 EasyDeliveryの仕組み

 

■帳票のひな型とポイント

 帳票のひな型として、請求書タイプ2種類と支払通知書タイプ1種類を設定した。利用者は、こうしたひな型の選択など単純な操作で帳票を作成・公開できる。レイアウトなどを変更した独自仕様の帳票も作成可能だ。

 帳票公開通知メールの自動配信に加え、利用者が顧客の閲覧状況を随時確認できるのもポイント。これにより帳票の未着、紛失、確認漏れなどによるトラブルを防ぎ、ビジネスを円滑化できる。また、閲覧確認機能があることで「アフターフォローやマーケティングなどにも活用しやすい」(同)としている。帳票はあらゆるビジネスで発生するため、さまざまな場面での活用が期待される。企業間のやりとりのほか、大勢の会員を相手にする一般消費者向けサービスでもメリットは大きそうだ。「例えば、スポーツクラブのお知らせなどで使っても大きな効果が得られる」(同)という。

 提供価格は契約料が10万円(税別)で月額基本料が2万円。帳票公開数が月200通を超える場合、1通50円をこれに加算する。主なターゲットは月500―2000通を公開する中規模利用者。「これくらいの利用量だと特にコストメリットが強調され、同タイプの他社サービスより安く使える」(同)としている。

■オプションサービス対応

 今後は、導入効果や利便性を高めるため、オプションサービスの充実を図る。まず4―6月に予定しているのが、電子署名・タイムスタンプ機能の追加だ。新機能は帳票が改ざんされていないことを証明するのが目的。AGSの保証を意味する署名と公開日時を示すスタンプが自動的に添付される仕組みで、仮に改ざんすれば日時が更新されるので発覚しやすい。このため、署名と正しい日時のスタンプが非改ざんの証明書として機能し、帳票の信頼性を高めるわけだ。

 加えて、夏以降にはファクス連携サービスを開始する計画。ウェブよりも紙ベースでの帳票受信を望む顧客層を想定し、公開した帳票データを自動でファクス送信する仕組みを構築する。また、これに平行して主力のデータセンター(DC)ビジネスで展開している帳票印刷・発送代行サービスとも連携させ、郵送対応も可能にする。こうした機能充実により、裾野は大きく広がる見通し。信頼性が高くウェブと紙の双方に対応できるなど、さまざまなメリットを訴求し、今後5年で100先への導入を目指すという。

医療・介護分野で本格的な需要開拓
~ヘルスケアソリューション

 AGSは2013年10月に事業推進本部内にヘルスケアソリューショングループを新設し、医療・介護分野での本格的な需要開拓を始めた。提携先の富士通が手がける電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-LX」や医事会計システム「HOPE/SX-R」などを、埼玉県内と東京都多摩地区の医療機関に提案し、現場の課題解決を後押しする方針。2014年度には独自サービスも投入し、幅広い視点から医療・介護施設を支援するワンストップサービスとして展開する。

■医療版「保存文書電子化サービス」発売へ

 同グループ初の自社製品として今秋の発売を予定しているのが、保存文書電子化サービスの医療版。病院関連の書類を電子化してからデータセンター(DC)で預かり、ネットワーク経由でアクセス可能にする。書類保管のスペースやコストの削減、消失リスクの低減、セキュリティーレベルの向上などがメリットとなる。医療現場では看護記録や病院日誌などが日々つけられ、中規模以上の機関では膨大な量の書類が発生する。しかも、こうした書類は医療法で一定期間の保存が義務づけられており、安易に破棄できないのが実情。「書類保管スペースに侵食されて看護師の着替え場所を確保できない病院もある」(同グループ)という。

 同社は既に一般企業向けの保存文書電子化サービスを展開しており、これに医療機関向けの付加価値を付け、新サービスとして展開する。投薬をはじめとした看護の状況を記す看護記録や患者数などを記録するための病院日誌は、記載項目がある程度決まっているため、こうした項目を円滑に整理・電子化できるシステムを構築する方針だ。これに加え、2014年度末には電子カルテなど各種データのバックアップサービスも開始する予定。自社のDCでデータを預かり、災害による紛失などのリスクを低減する。

 DCによるバックアップサービスは同社の主力事業の一つ。既存サービスを、忙しい医療現場の実情に合わせ、夜間などに自動バックアップできるタイマー機能などを充実させる。

 医療関連書類の外部保存は、厚生労働省が2002年に発行したガイドラインにより可能になった。以来、省スペースやリスク分散の観点から大規模病院などで少しずつ導入されてきているが、全体的な普及率はまだ低いのが現状。例えば2011年の東日本大震災発生時、被災病院から患者を他病院が受け入れた際に、カルテ紛失により医療再開が遅れるケースがあった。「DCでバックアップしていれば防げるトラブルだった」(同)としている。

 こうしたデータ預かり型サービスを展開する上で、自社で堅固なDCを持っていることはAGSの大きな強み。特に2012年にオープンした「さいたまiDC」さいたまセンターは、充実した設備を備える最新型の施設となっている。7段階のエリアを通過しないとサーバにたどり着けない厳重なセキュリティーシステムのほか、自家発電機、免震装置、雷対策設備などを擁し、災害対策も万全。日本のDC評価で代表的な日本データセンター協会の基準で、最高ランクのティア4と同程度の信頼性を確保している。

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 このほか、さいたま市内に所在する立地面でも、さいたまiDCには優位性がある(図3、4)。DCが集中する東京から離れ、都内が災害に見舞われても影響を受けるリスクは限定的。都心部から約25キロメートルの場所にあり「電車で40分以内でアクセスできる“ほど良い距離感”」(事業推進本部)としている。加えて同市は、例えばさいたま新都心駅周辺に国が多くの出先機関を置くなど、地盤の強さには定評がある。同社のようにDCを持ちながら電子カルテや医事会計システムを手がけている企業は少ない。前述の保存文書電子化やデータバックアップといったDC活用型サービスを加えたワンストップ体制で、差別化につなげるのが今後の狙い。ゆくゆくは帳票印刷・封入やカード発行の代行など既存事業との連携も図り、サービス領域を拡大するという。「医療・介護の課題に幅広く対応するソリューションサービスとして展開する」(同グループ)方針だ。

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図3 「さいたまiDC」さいたまセンター

 

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図4 さいたまiDC立地図

 

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