ITソリューション企業総覧2014Web
NECフィールディング

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06_ICTサービス・サポート ITソリューション企業編

コンテナ型DCがデータセンターの主流へ
~投資対効果に大きな期待感~


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www.fielding.co.jp


震災を教訓にIT投資が転換

 企業や自治体では東日本大震災により、情報システムの災害対策や事業継続計画(BCP)の強化に取り組む動きが広がっている。ネットワーク経由で情報システムなどを利用するクラウドコンピューティングも、ITコストの削減だけでなく、災害対策の観点から導入を検討するケースが増えてきた。震災を教訓にIT投資のあり方が転換点を迎え、クラウドサービスなどを提供するデータセンター(DC)のニーズが高まる中、とりわけ関心を集めるのがコンテナ型DCだ。

コンテナ型DCに関心が集まる理由

 コンテナ型DCに関心が集まる大きな理由の一つに、投資対効果の高さがある。一般的なビル型DCに比べて建設コストが抑えられ、納期も数分の1で済む。ラック当たりの設備搭載能力は4~5倍と実装密度が高く、さらに限られたスペースだけを冷却するのでエネルギー効率が良い。

 設備の拡張も容易で、必要な分だけを必要なときに増やすことができる。ビル型DCを新設する場合、通常構築までに2年以上の期間と億単位の費用がかかることを考えれば優位性は明らかだ。

■米国でDCを活用の動き

 米国ではすでにイーベイやマイクロソフト、グーグルといった大手を中心にコンテナ型DCを活用する動きが広がっている。日本では建築基準法の壁があり、米国に比べて市場の立ち上がりが遅かったが、2011年を境に風向きが大きく変わった。

 国土交通省は2011年3月末にコンテナ型DCの建築基準法での取り扱いを変更。重大な障害発生時など以外に人が立ち入らないなど、建築物として取り扱わない要件を明確化し、設置の円滑化を図る方針を示した。

 コンテナ型DCを建築物ではなく備品として扱えるメリットは大きい。建築基準法に基づくさまざまな規制や手続きから解放され、減価償却負担などの軽減にもつながる。

■地方自治体に誘致チャンス

 規制緩和に地方自治体も歓迎の声を上げる。自治体間の企業誘致競争は工場の海外移転などを背景に年々厳しくなっている。

 一般的な企業立地では交通アクセスの良さや従業員の確保しやすさなどが重視されるが、DCの場合は事情が異なる。

 これまで誘致が難しかった地方の自治体にもチャンスがあるというわけだ。ITサービス企業の市場参入も相次ぐ。中でも「モジュール型はこれからのデータセンターの主流になってくる」と力を込めるのはNECフィールディング事業企画本部マーケティング推進部の安本勝彦エキスパート。

 NECフィールディングはコンテナ型DCを新規事業の柱の一つに位置付け、戦略商品として展開している。独自の設計思想を盛り込んだその製品はひときわ注目を集めている。

NECフィールディングのコンテナ型DCについて

 NECフィールディングのコンテナ型DCは、幅約3メートル×奥行き約6メートル×高さ約3メートル。RC(鉄筋コンクリート)構造の基礎の上に工場で組み立てたアルミ製のコンテナを設置する。コンテナにはサーバラックを標準で6台収納可能。サーバやストレージ(外部記憶装置)、ネットワーク機器、電源、空調設備などを設置し、受注してから約3カ月で利用できる。

 基礎部分に空調設備を収納し、冷気を基礎部から吹き上げて冷却する設計がNECフィールディングのユニークな点だ(写真1)。

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写真1 コンテナ型DCの内部の様子
冷気を基礎部から吹き上げる構造になっている

 

 「どんなコンテナ型DCも基礎は必ず必要となるので、では基礎を有効活用しようという発想になった」(平山祐一ソリューション事業推進本部システム展開推進部主任)。

 コンテナに空調設備を置かない分だけ内部のスペースを効率的に利用できる。このことで、空調設備の保守を行う際、IT機器のエリアに立ち入らないようにすることなど、特に保守性を重視した構造となっている。

 空調設備には国内で幅広く流通している汎用エアコンを採用した。これにより全国一律の保守サービス体制を整えることができ、日本全国どこにでもコンテナ型DCを導入することが可能となった。

 さらにエアフロー設計にも時間をかけて検証し、汎用エアコンを採用しながらも高効率化によりPUE(電力使用効率)は1.37を実現している。

NECフィールディングのコンテナ型DC導入事例

■奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)

 NECフィールディングのコンテナ型DCを導入した奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)。標準仕様ではコンテナ1台あたり6本のラックを搭載するが、NAISTではこれを7本とし収容能力を高め、2基導入することにより研究室の既存サーバの集約やサーバの効率的な活用を図った。

 NAISTの辻井高浩情報基盤技術サービスグループ長は「既存のサーバルームとコンテナサーバルームに機器をうまく配分することで可用性を高めることが出来るため、災害対策にもなる」と導入の効果を語る。今後は、太陽光発電システムや高電圧直流電源システムなど、グリーンITを実装していく計画もある。さらに「他の大学でもコンテナ型データセンターが利用され、データサービス共用を他大学とも連携してやっていきたい」と将来展望を示す(写真2、写真3)。

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写真2 奈良先端科学技術大学院大学に導入されたコンテナ型DC

 

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写真3 基礎部分にコンテナ部分を設置する様子

 

 NAISTからの高評価に、NECフィールディングの安本エキスパートも手応えを感じている。「顧客の要望に対して柔軟に対応できるのが強み。水冷設備を組み込むことでスーパーコンピューターの搭載も可能だ」。これまで培ってきた運用・保守の技術力やノウハウをコンテナ型DCの構築と合わせて提供する。IT機器の設計・導入から、DC環境や付帯設備を監視するサービスなどを提供可能。

 顧客の業務に影響を及ぼしかねないシステム障害を防ぐため、同社が設けている全国約400カ所のサービス拠点と空調設備メーカーの保守網を活用し、万全なサービス体制を整える。

BCP対策として

 東日本大震災で、東北や関東の沿岸部では大きな津波被害を経験した。
 今後、発生が懸念される南海トラフ地震や東海沖地震による津波被害を想定し、大事な情報資産を守るということが必要とされる。

 この津波対策として、情報資産の津波到達地域外への退避やコンテナ自身の軽量化を図ることで建屋屋上への設置を可能にするなど、コンテナ型DCの活用はさらに広がることが想定される。

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