ITソリューション企業総覧2014Web
富士通ビー・エス・シー

富士通ビー・エス・シー

05_ネットワーク・通信 ITソリューション企業編

スマートデバイス向け主軸に事業を拡大
~携帯電話で培ってきた
 技術・ノウハウを基に新領域へ~


富士通ビー・エス・シー

www.bsc.fujitsu.com


 富士通ビー・エス・シー(以下、富士通BSC)は富士通系のシステムエンジニアリング(SE)会社。システム開発や組み込み開発で実績を持つ一方で、市場の変化に対応してスマートデバイス向けを主軸に新規事業の拡大に力を注いでいる。その一環として、「スマートデバイスビジネス本部」を設置しており、同分野に精通したスタッフや技術陣を有している。携帯電話で培ってきた技術やノウハウを新領域で全面展開するのが全体戦略だ。スマートデバイス事業の売上高伸び率は、前年比66.5%増(2014年3月期第2四半期累計)と高水準となっている。

MDM市場で攻勢へ

 顧客との接点でも「まずはスマートデバイスから入り、他の事業部門に引き継ぐことも少なくない」と新谷剛サービスビジネス本部アウトソーシング事業部ITOサービス部担当部長は語る。NTTドコモが米アップル製品の取り扱いを開始し、また米マイクロソフトがタブレット端末を販売したことにより市場のすそ野は広がっている。

 多様な用途展開に対しては長年培ってきた組み込み開発で対応しているが、売れ筋はスマートデバイスの活用を支援する端末管理サービス。特定のOSや通信事業者に依存しないマルチキャリア、マルチプラットフォーム対応のモバイル・デバイス・マネジメント(MDM)サービス事業者としても実績を積み上げ、存在感を強めている。

 注力するのは「FENCE-Mobile Remote-Manager」(図1)。長年パソコンやサーバのセキュリティーで多くの実績を積み上げてきたが、企業のエンドポイントがスマートフォンなどにも広がる中で、2011年2月にはMDM市場に打ってでた。サービス機能もセキュリティーにとどまらず、業務ソフトの配布や資産管理などを順次追加。AndroidTMや米アップルの「iOS」はもとより、米マイクロソフトの「Windows」も含め、企業が持つすべてのプラットフォームに対応できる総合力でシェアを伸ばしている。

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図1

 

 FENCE-Mobile RemoteManagerの利用料金は初期費用なしで1端末当たり月額315円から。利用者の業務負荷を軽減するため、システム管理を24時間体制で請け負う運用代行もオプションサービスとして提供(図2)。運用代行は初期費用が52,500円、月額は端末ごとに21円がプラスされる。同サービスは365日無休。都内のセンターにはシステムエンジニア(SE)が常駐している。このほか拡販施策として、無償で30日間使用できる試行サービスを提供している。

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図2


多様な機能を提供するFENCE-Mobile RemoteManager

 「スマートデバイスは時間や場所にとらわれず、業務を効率化できる。利便性が高い反面、機密情報がストックされた状態での利用となり、多様なリスクが潜んでいる」(新谷氏)。このためFENCE-Mobile RemoteManagerでは安心安全に利用するために多様なサービスを用意している。

 マルチキャリア・マルチプラットフォームでありながら「クラウド上の管理画面が共通化している」のもその一例。OSごとのアプリケーションは異なっても管理画面は変わらず、スマートフォンからパソコンまで多様な端末を一つのインターフェースで一括管理できる。同様にセキュリティー対策も共通で設定可能。「端末のライフサイクルに応じて、セキュリティーなどのポリシーを設定して、端末に入れ込むところまでサポートしている」(新谷氏)(図3)。

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図3

 

 企業利用では運用監視もカギとなる。FENCE-Mobile RemoteManagerは端末やアプリケーションの状態まで監視し、アプリケーションやファイルの配布にも対応(図4)。ウイルス対策ソフトの適用を設定したり、端末の機能を制限したりも自在にできる。「端末の認証管理によって、端末のOS情報やデバイス情報をすべて拾い上げている」のがミソ。これにより収集した情報の中から認定外のアプリケーションが使われていないかをチェックし、不要なアプリケーションについては管理者で止めることもできる。

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図4

 

 端末設定ではグループ・組織単位でのポリシーの設定・配布が自由にできるうえ、紛失などの事故対策の徹底にも役立つ。端末を紛失したときには端末画面をロックし、位置情報の収集で紛失場所を特定する。さらに利用者が指定されたパスワードを何度も間違えると、自動的に画面にロックがかかるなどの機能も設定可能。端末を紛失して見つからない場合は、企業の管理者経由で各端末に格納されているデータを遠隔操作で初期化して消去する機能もある。

 「端末を紛失したのに会社に連絡していない」、「勝手にSIMを差し替えて使っている」、「ウイルスに感染している」等の状況もわかり、そういった場合は管理者側からアラートで警告する。

 ただアップルはiOSのMDM向けの規約を定めており、規約にない機能を提供するには個別にアプリケーションを作らなければならない。富士通BSCはこうした要望にも対応し、通常のiOSにないOS権限を乗っ取った端末を監視するJailbreak検知やリモートでの位置情報収集が可能である。

お客様満足度の更なる向上

 顧客から問合せが多いのは他社のMDMとの優位点についてである。機能面はもちろんだがFENCE-Mobile RemoteManagerが重視しているのは操作性とサービスデスクの対応である。第三社機関にも評価をお願いし、改善に取り組んでいる。操作性利便性に関してトップクラスの評価を得ている。今後も更なるお客様満足度の向上に取り組んでいく。

 FENCE-Mobile RemoteManager契約ライセンス数は3年弱で約26万ライセンスを達成。2012年度の伸張率はMDM業界トップクラスである。クラウドサービスでの利用を前面に打ち出すが、顧客の要望に応じて、自前でのシステム構築には個別見積もりで対応する。

スマートデバイスの活用例

 タブレットの導入商談では「パソコンで行っていた作業を簡略化して、置き換える」といった用途が多く、ここではiPadの引き合いが強い。一方、AndroidTMは価格が安いため、不要な機能を制限して、専用端末のようにして使うケースが増えている。携帯電話の代わりに機能を限定した専用端末としてスマートフォンを活用するケースも多く見られる。

 需要が多いのは営業端末。使い勝手のよさとセキュリティー対策とのバランスをどうするかがネックとなることもある。こうした場合、スマートフォンと会社のネットワークを閉域網でつなぐことで、セキュリティー問題をクリアできる。ある金融機関はスマートフォンによる広域でのインターネット接続はできないようにし、どうしてもインターネット接続をしたい場合に社内のプロキシーサーバ経由で接続する仕組みを構築。AndroidTM端末を約800台導入した。

 大手製造業では子会社を含めてのセキュリティー対策を志向する一方で、子会社にはそれぞれに管理者を立てて独立したセキュリティー対策を講じたいといった要望が多い。「FENCE-Mobile RemoteManagerの組織管理機能(図5)を用いることで、子会社はもとより部署単位の管理も、きめ細かく対応できる」(新谷氏)。

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図5

 

 流通業では小売店からの注文をAndroidTM搭載の専用端末で行うケースが増えている。注文以外の機能は制限し、セキュアな環境を実現するのがポイント。スマートフォンに不慣れな小売店でも特別な教育なしに簡単に注文できるという。

多様なソリューションを提供

 「パソコンをターゲットに構築しているWebアプリケーションをスマートデバイスで利用したいが、端末の種類によって画面サイズやOSが異なり、どうすればよいかわからない」。こういった要望に応え、富士通BSCではパソコン向けに作成したWebアプリケーションをスマートフォンやタブレット端末用に自動変換するソフトウエア「WebUnity-Plus」を発売している。次世代ウェブ標準言語「HTML5」を活用した画面変換を採用しているのがポイント。外付け型のゲートウェイサーバを介すことで、既存システムを修正せずに自動的に変換する(図6)。

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図6

 

 端末の種類をサーバ搭載のソフトウエアが識別し、パソコン向けの既存のコンテンツを各端末ごとに最適化した画面に変換する仕組み。端末の画面サイズやタップ、フリック(スライド操作)といった特有の画面デザインにも対応できる。

 変換の基本的な設定も変更でき、変換後の画面を再現し、確定することで変換設定をそのまま反映できる。要望に応じて、有償で別途さまざまな個別機能を実装可能。

今後の展開

 FENCE-Mobile RemoteManagerの今後の展開について、新谷氏は「スマートデバイスを業務で活用して頂くことが重要。そのための管理機能をMDMとして今後も提供していきたい」と語る。そのためには「他社の優れた製品があれば連携していきたい。昨年はデジタルアーツ社の「i-FILTER」とも協業を開始した」という。

 MDMでの参入は後発だったが、高い技術力をテコに市場をリードしていく方針だ。

 

 

 

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