ITソリューション企業総覧2014Web
ミロク情報サービス(MJS)

ミロク情報サービス(MJS)

03_業務支援・改革 ITソリューション企業編

中堅・中小企業用統合業務パッケージ(ERP)
の利活用で企業のIT化を促進


ミロク情報サービス(MJS)

www.mjs.co.jp/


 ミロク情報サービス(以下MJS)は経営の根幹となる財務会計や販売管理、給与計算などの機能を搭載する統合業務パッケージ(ERP)を展開し、高い競争力を誇る。約40万社といわれる中堅企業、約110万社に達するとされる中小企業といった顧客開拓の余地が非常に大きいマーケットを重視し、こうした企業のIT化を促進してきた。4月には消費税が現在の5%から8%に引き上げられ、企業はシステム面での対応が迫られる。財務や経理を的確に支えるシステムとして、MJSのERPが果たす役割がこれまで以上に増している。

ERP「MJSLINK NX-Ⅰ」

■5つの業務システム構成

 「政府が増税の方針を決定して以降、問い合わせがかなり増えた」。会計CP事業本部営業推進部企業システム企画グループの志牟田浩司部長は、ERP「MJSLINK NX-Ⅰ」(図1)への引き合いをこう説明する。ほとんどの企業にとって、今回の消費増税に伴うシステム対応が必要で、ERP分野で実績を積み上げてきたMJSに対する期待は大きい。MJSは売上高が数億~100億円、社員300人規模の企業を中心に、MJSLINK NX-Ⅰを提供している。安全と安心、社内マネジメント、業務効率の向上を重視し、「財務大将」と「給与大将」、「販売大将」、「資産管理」、「税務申告」の5つの業務システムで構成。従来版を大幅に刷新して細部の機能まで強化して使いやすくした。各システムが連携し、販売大将の売り上げや入金、仕入れなどの仕訳データを財務大将と連動可能。「資産管理」の固定資産の取得・除却、減価償却などの仕訳データを財務大将に送ることもできる。財務大将から決算情報などを「税務申告」に連動し、電子申告も可能だ。

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図1

 

 各業務システムの機能も拡充しており、財務大将は資金繰りの管理機能を強化した。先行きを見据えた資金調達が求められる一方で、財務や経理に回せる人手が限られる中小企業の経営を支援する。予算を守れるかどうかをシミュレーションすることも可能。固定資産管理にはシミュレーション機能を搭載し、取得や除却予定を登録して最大20年後まで償却額を試算できる。給与大将では複数の給与支払いの体系に対応可能。また業種に応じた会計処理に対応しており、建設業や医療機関などが利用できる異種特化型のシステムも提供する。企業ごとのニーズに応え、「安心して使えるシステム」(志牟田部長)の構築につなげられる。

 MJSLINK NX-Ⅰの目玉の一つが、社員一人ひとりが持つ情報や仕事のノウハウといったナレッジ(知見)を発信・共有するツール「ワークボード」だ。スケジュール管理やカレンダー機能を搭載するグループウエアに似た機能で、例えば社員が自分に対してのコメントを書いて仕事内容の振り返りに利用できる。仕事の進捗状況などをメッセージボードに書き込むことにより社員同士で情報を共有可能。入力内容に応じて、「スケジュール」や「お知らせ」、「業務進捗」など、さまざまなタグを自動的に付けることで入力の手間も省ける。企業では簡易投稿サイト「ツイッター」や交流サイト「フェイスブック」などの導入が広がっている。社員や部署間での情報共有や業務効率の向上に有効なためだ。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)以上に、ワークボードを利用して限られた時間で仕事の質を高められる。

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図2

 

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図3

 

■消費税引き上げにも無償対応、オプション機能充実

 企業にとって目前に迫っているシステム面の課題が消費増税だ。MJSはこれまで毎年の税制改正に対する企業の取り組みを積極的に支援しており、MJSLINK NX-Ⅰも消費税8%への引き上げに無償対応する。コストをかけることなく増税に備えられる。また企業ごとにネットワーク経由で提供するプライベートクラウド型でも利用可能。経費精算アプリケーション(応用ソフト)のクラウドサービス「経費くん」とも連携する。自社でのシステムの構築・運用から、クラウドサービスの活用にITの潮流が変化する中で、中堅・中小企業がIT投資を抑えて導入できるようにする。

 さらにMJSLINK NX-Ⅰの操作性を高めたほか、レスポンス(応答)や処理速度を高速化し、財務・経理部門や人事・総務部門の担当者が効率的に業務をこなせるよう工夫した。各部署や各地の事業所などからの入力作業の利便性も高めた。志牟田部長は「MJSLINK NX-Ⅰのオプション機能もそろっている」と説明する。財務大将のオプションとして、米マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」のアドイン(追加)プログラムをインストールし、エクセルの帳票に財務データを出力できる機能を提供する。経営状況に関連するデータの多彩な分析につなげられる。「経理担当者にとっては業務の手間を減らせる」(志牟田部長)としている。また帳票のレイアウトも簡単に変更可能。項目の配置などをマウスを使って変えることができ、帳票をカスタマイズするための専門知識が必要ない。財務報告書やプロジェクト管理表などの作成に利用できる。


*別途「ソフトウェア運用支援サービス」契約が必要。

 

■発売以降、着実に顧客増

 MJSはMJSLINK NX-Ⅰを発売以降、顧客を着実に増やしている。企業の事業環境の変化が激しい中で、経営を支える要のシステムとして利用が広がっている。ある医療機器メーカーでは、それまで課題だった仕訳の入力ミスの解消につなげた。勘定科目の仕訳には判断が難しいケースも少なくない。そのため経理担当者が自ら調べながら判断しても誤っていたり、余計な時間がかかったりして効率が悪かったという。MJSLINK NX-Ⅰにより、経験が浅い担当者でも正確に仕訳の入力ができ、判断に迷って上司に相談するケースも少なくなった。確認作業も証憑と付き合わせるだけで済み、入力ミスを大幅に減らした。

 会計システムに他のシステムのデータを連携でき、担当者によるデータ入力のミスや作業負担も低減した。財務諸表の信頼性を高められ、内部統制を強化できる。さらに経理部では仕訳入力作業に割いていた時間を別の業務に振り向けることも進めているという。財務データの作成だけでなく、仕事の範囲を業績の評価や分析に広げている。事業環境の変化が早い中で、経営層が重視するこれらの業務に携わることは非常に重要な意味を持つ。MJSLINK NX-Ⅰの導入効果が業務の高度化につながっている。

 MJSはERPの機能を高めるうえで、「変わること」と「変わらないこと」の2つを重視する。具体的には財務・経理、人事、総務部門にとって、制度会計と管理会計の業務で行うことは変わらないといえる。MJSLINK NX-Ⅰの運用により、こうした業務をスムーズに進められる。逆に会計基準の変更や消費増税などの変わることには柔軟に対応し、担当者の負担軽減につなげる。経営者や部門責任者、システム管理者にいたるまで、企業のすべての社員が利用することを想定して提供しているMJS。現在でも業務のIT化をなかなか推進できない中小企業は少なくない。MJSはこうした規模の企業向けERP市場で「MJSLINKシリーズ」を展開し、存在感を放ち続けてきた。企業の消費増税対応などでIT投資の増加が見込まれる中で、MJSLINK NX-Ⅰのさらなる顧客拡大を目指す。

中堅企業向けERP「Galileopt NX-Ⅰ」

 大手企業だけでなく、中堅企業にもグローバル化の波が押し寄せ、競争が一段と激しくなっている。商品開発や販売企画、営業活動などを進めるうえで、全社的な情報を吸い上げて迅速に生かすことが必要だ。BI(データの分析・活用)やビッグデータ(大量データ)の活用など、企業を取り巻くデータを駆使することが最大の武器となる。そのためERPを用いた基幹システムの構築が不可欠。MJSは売上高が100億円規模、社員500~1000人の企業向けに、ERP「Galileopt NX-Ⅰ」を提供している。中核システムである「財務大将」は財務や業績を簡単に分析できる管理会計機能を搭載した。管理会計と制度会計を両立し、攻めの経営に結びつける次世代のシステムだ。

■Galileopt NX-Ⅰ導入効果

 “経営のPDCA(計画・実行・確認・対策)のサイクルを回す”。これが財務会計を核としたGalileopt NX-Ⅰの導入効果だ。

 P(プラン)にあたる経営計画の立案や予算の策定に対応するのがシミュレーション機能だ。人事・給与管理や資産管理の各システムに実装したのに加え、シミュレーション結果や過年度の業績を踏まえた予算策定が可能。経営戦略や事業展開の方向性の決定を支援する。

 日常の業務を円滑に進めるためのD(ドゥー)に関連する機能として、経費精算や書類の提出などに必要なワークフロー(社内承認の仕組み)を強化した。財務や販売管理、人事・給与など、さまざまな業務に共通して利用でき、稟議(りんぎ)書の申請や振替伝票の入力、住所変更の届け出などを一元管理する。申請書類の編集機能も搭載しており、申請書を自由に作成可能。社内で利用している紙の申請書のイメージをそのまま再現できる。国際会計基準(IFRS)といった制度改正にも迅速に対応し、適切な会計処理につなげる。

 C(チェック)に相当する分析やリポート機能により、策定した予算や事業計画を確認し、財務報告の信頼性を担保する。BIにも対応し、財務や人事・給与、販売など各システムを横断して直感的に分析し、多くのデータを経営に生かせる。企業の経営陣が事業戦略を進めるうえでの‘羅針盤’の役割を担う。社内全体での情報共有も可能。「スマートレポーティング」と呼ぶ機能を利用して帳票を簡単に作成でき、ウェブ上に公開することで部門内の全社員に情報を発信・共有できる。特定の参照者を指定し、確認が必要な情報をメールで通知する機能も活用することで、能動的に情報を提供して社内のスムーズなコミュニケーションにつなげられる。

 経営や事業面の課題などを克服するA(アクション)に向けて、精度の高い決算予測機能を搭載した。未承認や見込みデータも活用して業績や経営状態を把握でき、次年度の予算や事業計画の策定に役立つ。ワークフローに関連する統計情報に基づいて、負担がかなりかかっている業務や部門を洗い出せる。PDCAサイクルを回す一連の機能を駆使することで、経営や事業状況をきめ細かく把握できる。刻々と経営環境が変化する中で、迅速で的確な決断を求められる経営陣を支援する。

 MJSはGalileopt NX-Ⅰを拡販し、これまでに多くの導入実績を上げてきた。広告業を手がける顧客企業の場合、導入前まで煩雑な支払い業務が課題だった。広告のため、ライターやデザイナーなど個人への支払いも多かったという。手作業が少なくなかったことで、かなりの時間がかかっていた。この顧客企業では電子記録債権を導入する方針だったため、対応するシステムとしてGalileopt NX-Ⅰを選定した。これにより取引先ごとに異なる支払い方法や金額を自動で振り分けることができ、支払い業務での手作業の撤廃を実現。毎月の業務にかかっていた工数を4分の1まで削減した。所得税の申告・納付も効率化した。電子記録債権も円滑に導入した。取引先から受け取った電子記録債権のデータから売掛金を消し込むのが現在は手作業のため、今後はシステム化する方針という。

情報通信技術(ICT)企業と連携

 MJSは中堅・中小企業のIT化の促進に向けて、情報通信技術(ICT)企業と連携を進めている。NTTPCコミュニケーションズ(東京都港区)と協業し、同社の専用サーバサービス「WebARENA」でGalileopt NX-Ⅰを動作させるプライベートクラウドサービスを提供している。情報システム部門や専任の担当者を置くのが難しい中小企業にとって、NTTPCのデータセンター(DC)の設備を活用するため信頼性とコストパフォーマンスが高い。企業の経営課題に挙がることが多い事業継続計画(BCP)や災害時の迅速な復旧(ディザスター・リカバリー)にも有効。また顧客のニーズに合わせて、NTTPCのグループウエアなどのクラウドサービスや高速回線も提供し、社内の情報共有システムから基幹システムまで幅広く対応する。ITガバナンス(統治)や情報セキュリティーの強化にもつながりそうだ。

 連結決算システムを提供するプライマル(東京都港区)とは13年秋に資本・業務提携を締結。MJSのGalileopt NX-Ⅰ、MJSLINK NX-Ⅰとプライマルの連結決算システム「Conglue(コングルー)」との連携機能を強化する。顧客企業の個別会計や連結会計のニーズを取り込む。さまざまな相乗効果も見込んでおり、MJSはプライマルが持つ連結会計のノウハウやコンサルティング力の吸収を狙う。一方、プライマルもMJSの全国販売網や顧客基盤を活用し、コングルーなどの拡販を見込む。

 また個別会計から連結会計、企業情報の開示、連結納税まで、グループ経営を幅広く支援するソリューションの展開も視野に入れる。MJSが持つ個別会計や税務申告システム分野の技術力、プライマルの連結会計システム分野でのノウハウを生かし、XBRL(財務情報が作成・流通・再利用できるように標準化されたXMLベースの言語)を活用した先進的なシステムを共同開発する方針。金融庁の次世代企業情報開示システムで、XBRL化の範囲が開示書類全体に広がることや日本版IFRSへの対応が必要な企業のニーズを取り込む。

 このほかMJSのERPは、サーバやストレージ(外部記憶装置)などをネットワーク経由で利用する日本ユニシスのクラウド基盤サービス「U-Cloud IaaS」、仮想化技術を用いた丸紅情報システムズ(東京都渋谷区)の同サービス「VPO」とも連携可能。ソリューション事業本部ソリューション企画・販促部の竹内洋二副部長は「グループ会社を持つ企業の場合、我々のERPとクラウド基盤サービスをセットで導入することで、基幹システムを効率的に運用できる」と説明する。情報システムを自社運用(オンプレミス)からクラウド環境での運用に移行する企業が増える中で、ICT企業との連携を生かして顧客のさらなる拡大を狙う。

BCP(事業継続計画)へのニーズに対応

 東日本大震災以降、企業ではBCP(事業継続計画)に対する意識が急速に高まっている。激しい揺れや沿岸部を襲った巨大津波で顧客情報をはじめ重要なデータを失った企業が少なくなかったためだ。今後も首都直下型地震や南海トラフを震源とする巨大地震の発生が懸念されており、データを守るためにバックアップ(保管)のニーズが増している。 一方で、データを電子化して管理することで別のリスクが生まれる可能性がある。会計CP事業本部営業推進部サービス企画グループの加藤武史部長は「電子化されているがゆえに、誰もがデータにアクセスでき、どのように利用しているのかを把握するのが難しい」と指摘する。データを紙文書として管理していれば、いわば文書をしまうための鍵を持つ担当者だけがデータを扱うので情報セキュリティを確保できた。電子化により、極端にいえばUSBメモリーなどで簡単にデータを持ち出せてしまう。ITを駆使したワークスタイルや利便性を重視することで、逆に情報セキュリティがおざなりになってしまうことも考えられる。さらにコンピュータウイルスの感染や特定の企業を狙う標的型サイバー攻撃の危険性も高まっている。

■情報セキュリティ対策支援製品「SOXBOX NX」

 MJSは情報セキュリティ対策支援製品「SOXBOX NX」を提供している。USBメモリーやファイル共有ソフトなどのアプリケーションの利用制限、特定のウェブサイトへのアクセス禁止が可能。企業内部でのデータの改変や漏えいを防ぐ。バックアップしたデータの管理にSOXBOX NXを利用することで、「社内のリスクマネジメントが可能で、内部統制を強化できる」(加藤部長)としている。業務効率を保ちながら安全なデータ管理につなげられる。

 SOXBOX NXは標的型サイバー攻撃の対策にも役立つ。社内ネットワークに不正に接続したパソコンを検知・遮断し、不正アクセスに対応する。悪意のある人物が狙うのは、もはや大手企業だけにとどまらない。取引関係を持つ下請けの中小企業にも攻撃の手がおよぶ可能性もある。大手に比べて情報セキュリティに対する意識が十分に高まっていないだけに、SOXBOX NXの導入で安全対策を強化できる。またハードウエア構成や基本ソフト(OS)のバージョン、アプリケーションのインストール状況、パッチ(修正プログラム)の適用などの情報も自動的に収集し、情報システムの管理に利用できる。

 中小企業の場合、情報システムに関連する業務に手が回らないことが少なくない。SOXBOX NXはわかりやすいリポート機能により社内の対策状況を把握でき、日常業務の負担にならずに運用できる。この他にデータをインターネット経由でデータセンターのストレージに保管する「MJSセキュアストレージサービス」や、ファイアーウオールとウイルス対策を両立する製品などを提供している。ERPの展開で培った技術やノウハウを生かし、中小企業の情報セキュリティを支援する。

 MJSLINK NX-ⅠやGalileopt NX-Ⅰ、情報システムの安全対策サービスにより、中小企業のIT化を支えるMJS。全国約8400の会計事務所との取引が、他のソフト会社にはない強みだ。会計事務所を通じて、その顧問先企業にERPなどを販売できる。また定期的に開いているセミナーも、中小企業にとっては重要だ。特に「消費増税に関連するセミナーを各地で開き、参加者の興味がかなり高かった」(志牟田部長)という。今後、税率が10%まで引き上げられることが予想され、財務や情報システム面での対応が課題になる。増税に備える中小企業にとって、MJSは心強い味方だ。1977年の設立からこれまで、中小企業向けソフト事業を展開してきたMJSが担う役割はこれまで以上に大きくなりそうだ。

 

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