ITソリューション企業総覧2014Web
電通国際情報サービス(ISID)

電通国際情報サービス(ISID)

01_総合システム構築 ITソリューション企業編

世界初のソーシャルシティをつくろう
~人と街がつながるをコンセプトに
 ソリューション開発を加速~


電通国際情報サービス(ISID)

www.isid.co.jp/


 電通国際情報サービス(以下、ISID)は金融や製造業向けを中心とする多様なソリューション提供に加え、ここ数年は親会社の電通との協業拡大に力を注いでいる。さらなる成長に向けて、釜井節生社長が掲げるのは「オープンイノベーション」と「価値協創」。2011年に立ち上げたオープンイノベーション研究所(イノラボ)などを基軸に新しいソリューションの開発を加速させている(写真1)。

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写真1 イノラボの活動拠点「イノラボ・コネクティングスタジオ」

 

動きだしたソーシャルシティ

 「世界初のソーシャルシティをつくろう」。ISIDは「人と街がつながる」をコンセプトに「+fooop!(プラ・フープ)」と呼ぶ、ソーシャルシティ・プラットフォームを世界に先駆けて実用化した。渡邊信彦イノラボ所長は「クーポンで人が集まるような街はおもしろくない。お得感や利便性だけでなく、その街にいくと、新しい気づきや発見が得られる。それがソーシャルシティだ」と語る。

 ソーシャルシティを実証する場となるのは、JR大阪駅と直結した大型複合施設「グランドフロント大阪(GFO)」(写真2)。ISIDは運営主体を担う企業連合と共同で、GFOのコミュニケーション基盤「コンパスサービス」を導入した。「街に集まる人々の動きはもとより、人間関係を可視化することで数十万人規模のソーシャルグラフを作る」(渡邊氏)という構想を描く。来場者が街のどこで何時にどういう人間関係で過ごしているか。これらをログ(履歴)としてリアルタイムに収集し、ビッグデータとして格納していく街、それがソーシャルシティでもある。

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写真2 GFO外観

 

 GFOには街中の至るところにスポットIDがあり、店舗だけでなく、広場や階段などでもチェックインできる。その数は数千カ所と膨大。しかもWi-Fiを使った屋内測位技術によって、来場者の現在位置に応じて最適な情報を提供する。「無駄のように見える空間や広場がたくさんあり、そこに人が集まることで日々の風景が変わってくる」(同)という仕掛けだ。

 ユーザーインターフェースとしては、スマートフォン向けアプリと、施設内36カ所に設置されたタッチパネル式デジタルサイネージを提供(写真3)。アプリをスマートフォンにダウンロードしていくつかの質問に答えると、ナビゲーションキャラクター「クビ」が画面上に登場。クビの案内で街を楽しみながら、ツイートや写真投稿もできる。

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写真3 GFOに設置されたデジタルサイネージ

 

 来場者がICカードでデジタルサイネージの画面をタッチすると、ここでもクビが登場し、お店の情報だけではなく、お勧めやパーソナライズされた情報が提供される。

 コンパスサービスのソーシャルネットワークを使って、偶然居合わせた人同士がつながり、コミュニティに参加する。街にきて音楽を演奏したり、文化活動をしたりするコミュニティを自分たちで作ることも可能だ。

 GFOの運営側では集めたデータが個人情報と結びつかないように匿名化する一方で、人々の導線や街を回遊する様子をみて、イベントの開催などを通して、今まで知り合いにならなかった人たちが知り合うような機会も提供。街のデータを使ったサービスをだれもが提供できるようにアプリケーション仕様(API)を開放している。こうした取り組みは世界でも類がなく、新サービスの登場とともにソーシャルシティの進化が加速している。

中小企業の融資支援でサービス基盤を提供

 企業が付加価値を生む構造を見える化し、それを生み出す価値連鎖に金融機関が関わることで、当該企業の経営を金融(ファイナンス)を通して支援する。ISIDは「バリューチェーンファイナンス」と呼ぶ概念を描き、金融機関向けに提唱している。

 その一環として中小企業向け融資の活性化を支援するサービス基盤「VCFプラットフォーム」を提供。第1弾として企業の財務情報と、経営戦略や人的要因などの定性情報を統合的にとらえて経営状態を可視化し、成長力を人間ドックのように診断するツール「VCF財務経営力診断サービス」を発売した。中小企業の経営支援や融資を担当する税理士や銀行などが使うツールだ。

 飯田哲夫金融ソリューション事業部金融事業戦略部長は「ポイントは目利き力だ。企業が持つ付加価値を理解したうえで、それを伸ばすためにファイナンスがある。財務的情報だけで融資の実行を判断していては企業経営の実態が見えず、地域経済も活性化しない」と指摘する。

 VCF財務経営力診断の提供に当たり、TKCと提携した。カギとなるのは6000社の経営者へのアンケートと、TKC加盟の税理士約1万人の協力に基づく22万社以上に及ぶ財務データだ。これらを組み合わせたデータベース(DB)を構築し、「どのような定性的な特性を備えている企業が財務的にも優れているか」を分析し、診断サービスに活用できるようにした。

 経営者への質問はヒット商品の数や経営者としてのビジョンなど、24項目に及ぶ。経営者との対話を通して、中小企業の強みや弱みを洗い出し、22万社以上を網羅したDBを用いて対比する。「財務を表面的にみて、売り上げを伸ばせとといっても意味がない。伸びない原因まで踏み込んで会話することで、どうすれば成長できるかを議論できる」(飯田氏)。VCFはクラウド型サービスであり、情報がどんどん蓄積されていくと、分析の精度も上がる。

 企業を1本の「経営の木」に見立てると、業績が「果実」、経営資源が「根」となる(図1)。成長力を持った企業はしっかりと根を張っており、そこをあぶり出し、根をどう伸ばすかをコンサルティングするのがVCF財務経営力診断サービスの利点でもある。

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図1 経営の木

 

モデルベース開発(MBD)で「勝てる技術」を支援

 製品開発に大きな変革をもたらす「モデルベース開発(MBD)」。ISIDは2009年に構想設計支援ソリューション「iQUAVIS(アイクアビス)」を発売し、MBD市場に参入した。

 MBDは実機試作を極力行わず、数式や実験データなどのモデルを用いたバーチャル試作がポイント。この手法を開発の上流からダイナミックに導入することで「飛躍的に開発効率を高め、ブレークスルー製品を生み出すことができる」(荒木克文エンタープライズソリューション技術統括本部MBD/CAEユニット長)。自動車メーカーや精密機器メーカーを中心に引き合いが増え、すでに約60社への採用実績を持つ。

 MBDは一言でいえば「考えるためのツール」。3次元CADで形状設計を具体化する前の企画段階で、市場の要求をととらえ、システムのアーキテクチャーはどうあるべきか、システムの構成や機能をどうすればよいかなどについて、モデルを使って素性評価する。ゴーサインがでれば実際にハードや制御部分の設計を行い、試作から量産へと進める。従来のようなボトムアップ型の開発と比べて作業効率が向上するうえ、試作工程が減り、期間と工数を大幅に削減できる。

 ただ、MBDの価値は効率化だけではない。「今までできなかった目標レベルに到達し、勝てる技術を作ることだ」(荒木氏)。

 例えば燃費の向上。従来ならばエンジンやボディなどの開発部門にそれぞれ目標が与えられるが、相互作用もあって思うようにはいかない。MBDの場合、到達したい目標に基づいて、各開発部門の目標値や実現すべき機能を、整合性のある形で適切に分解し割り当てる。それぞれが目標を達成することで、全体としての目標に着実に到達できるため、「ブレークスルーできることを開発者が実感できる」(同)。

 一般にMBDといえば「論理モデル」や「物理モデル」を用いる。これらはコンピューターで計算して検証するためのモデルであり、設計図面などに表されたデータの整合性を確認する行為だ。成果としては「試作機が減り、早い段階で結果が分かるといった利点があるが、これだけでは本質的な開発プロセスは変わらない。」(同)。

 アイクアビスはより上流の「機能モデル」や「要求モデル」の活用を提案する。市場の要求をとらえ、機能の分解や物理的な実現方法など、人の頭の中にある考え方を見える化することで、開発者の英知を結集し、従来型の改良設計では到達できない新しい設計案などを生み出すことが可能。「勝てる技術」を実現できる。

 ISIDはアイクアビスを中核に、コンサルティングや3次元CAEなど、一気通貫のMBDソリューションを提供する(図2)。日本メーカーの要求をいち早く取り入れ、密着して開発強化していく方針だ。

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図2 ISIDが提供するモデルベース開発ソリューション

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