ITソリューション企業総覧2014Web
インタビュー 電算システム 小林領司氏

インタビュー 電算システム 小林領司氏

特集 特集2 IT利活用が創出するビジネス新潮流

クラウド業務サービスを支える
不変の情報処理思考


電算システム 常務取締役 執行役員 小林領司氏に聞く

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電算システム
www.densan-s.co.jp/

聞き手:ITソリューション編集部


 世はまさに、クラウド全盛期突入のさなかではあるが“顧客に対する情報処理サービスの根幹には、汎用コンピュータ主役時代のデータ処理センターが果たしてきた役割が脈々と生き続けている”という。

 電算システム常務取締役執行役員IDソリューション事業本部本部長小林領司氏は、「クラウドなど利用技術がいかに進歩しようとも、顧客サービスへの基本理念がここにあることを決して忘れてはならない」とアドバイスする。

汎用コンピュータからクラウド利活用への進化

 コンピュータというよりも、電子計算機という表現の方がしっくりきそうな汎用機が登場した頃の情報処理サービスは、ペーパーに書かれた情報が顧客から渡され、それを基にデータを作成し入力、さらに汎用コンピュータで処理後、再びペーパーに出力して印刷物の形で納品していた。

 小林氏は「当社のビジネスモデルもそのようなプロセスに起源があります」と述懐する。「よく考えてみますと、お客様からの情報をコンピュータで処理してその結果をお返しする、というモデルの根幹は、昔もクラウド全盛のいまも変わっていないのです」という。

 「変わってきたのは、汎用コンピュータから、デスクトップやノートなど様々なPC、さらにはスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器にも代表されるハードウェアの進化と、インターネットに代表されるネットワークの進化ですね。その結果、顧客からペーパーで渡されていた情報もモバイル機器を利用することにより、いつどこからでも顧客自身の手によって、入力も可能になり、結果はリアルタイムで画面や電子帳票で知ることができるようになりました」と、その進化ぶりを語る。

 この間、情報処理サービスには、確かに処理形態の進化もあった。当時の汎用コンピュータが垂直処理形態と呼ばれたのに対し、ビジネスにおいてネットワークの比重が高まる中、新たにクライアントサーバと呼ばれるLAN(Local Area Network)上で展開するいわゆる水平分散処理形態が主役の座を占めることになる。この処理形態は確かに、サーバやファイル、プリンタなどのリソース(資源)を複数クライアントでシェアリング(共有)できるほか革新的なご利益をユーザは得ることができた。

 「ですが、反面、クライアントOSに依存した環境であったことは否めません。それが、いまやインターネット回線を利用したブラウザベースの形態で大変フレキシブルに利用できるようになっており、ここからクラウド環境の基盤が固まってきました」と、小林氏は新たなネットワーク利活用への進化を強調する。

すでに存在したSaaSの予兆

 クラウド環境を利活用できるようになって得られた利用者のメリットは、インターネットがもたらした時間や場所の制約を取り払った以外に、扱う情報量が膨大になってきたことがあげられる。

 いま、手元に情報を置いておくことは、企業にしても個人にしても限界を否めない。インターネットによって随所からデータを収集してきた大きなデータを使えるが、さらに小林氏は「クラウドでは、扱える膨大な情報量を利用者の手元ではなくデータセンターにおくことができます。当社でもこうした最新事情に鑑み、岐阜県大垣市に加えて、2013年11月には同県土岐市に新たにビル型の堅牢性及びコンテナ型の省コスト・省エネルギー・省スペースのメリットを併せもったモジュール型データセンターが竣工しました」と新たな同社の取組みを語る。

 「当社は2000年に、給与計算・会計・顧客管理の仕組みをインターネット経由で提供するサービスを開始しました。当時このようなサービスはASP(Application Service Provider)と呼ばれていました。このサービスはアカウント管理のもと複数のお客様にご利用いただく形態を採用しており、いまでいうSaaS(Software as a Service)モデルのはしりです。コンピュータもLinuxを用い、極力安価なサービス提供をめざしていましたが、当時はネットワークの伝送容量等の制約があり、期待したほどの広がりはありませんでした。しかし最近は光伝送などのインフラが整備され、SaaSビジネスの環境が整ってきたと実感します」という。

多様なクラウドサービスを展開

 「なんといっても、情報処理サービスを推進する上で中核に位置するのはデータセンターに尽きます。他社データセンターを利用することも考えられますが、私たちは自ら所有することに意義を感じています。前述、土岐市に構えたデータセンターが、モジュール型である理由は、通常のビル型ですと、技術進歩の流れに追従しにくいハンディがありますが、モジュール型ですと短期間に増設が可能です。現在3モジュール構築済みですが、10モジュールまで増設可能となっています」と小林氏はいう(図1)。

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図1 電算システムのサービス構成

 

 クラウドサービスの市場ニーズはきわめて多様性を帯びている。しかもインターネットベースのサービスもきわめて豊富であり、そうしたニーズも急ピッチで変化していくのが昨今の特徴といえよう。こうした市場ニーズに一社単独で応えていくのは決して容易なことではない。電算システムもその点には、いちはやく注意深い対策を講じている。「当社では特にGoogle社関連サービスにウエイトをおいており、このビジネス規模も拡大しつつあります。クラウドとしては、“Google Apps for Business”が主力です。このサービスは、いつでも、どこでも、どの端末からでも利用可能というオフィス生産性ツールです」。

 「メールをはじめスケジュール、ドキュメント共有、ポータルサイト、TV電話システムなど多機能な上に、メンテナンス不要のサービスであり、ワールドワイドで500万以上の企業で採用されているというものです。当社ではこのサービスを、導入から運用まで一貫してサポートさせていただいております」という。他にも、セールスフォースドットコム社の“CRM/SFA”も営業支援システムとしてユーザ企業への導入がすすみ、セールスフォースのプラットフォームを使った企業向けアプリケーション開発により、企業の経営資源の無駄使い削減提案も行っている。

 もちろん、電算システム自身の手によるオリジナルの各種業務支援サービスも台頭しつつある。たとえば、センター処理型のガソリンスタンド向け勘定システムである「N―RUXシステム」や、インターネット利用のSaaS方式LPガス販売店業務支援サービス「GAS―X、GAS21」は、検針業務から配送管理、販売管理まで総合的に業務支援を行うものだ。

 ここでは、電算システムのクラウドサービス事業を中心に紹介したが、図1は同社の主力事業である情報サービス事業や収納代行サービス事業、クラウドサービス事業をあらわしている。

 小林氏は「実は、お客様からペーパーによる情報でお渡しいただくパターンはまだ多く残っているのです。たとえば、お中元や歳暮の時期等のギフトの際デパートで相手の送付先等を手書きにしていますね。以前は手書きした注文票をパンチしてコンピュータにデータ入力していました。いまは、クラウドを利用しているのです」(図2)。

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図2 ギフト販売業務BPO(BusinessProcessing Outsourcing)のしくみ

 

 「当社の業務支援サービスも、こうした利用技術の進歩に伴い、市場自体の広がりの中で展開していきます。しかし、冒頭に申し上げましたように、いかにクラウド時代が進んでも、お客様からお預かりする情報を、限りなく自社経営に活かしていただけますよう処理し、それをお返しする私どものサービス事業のあり方の根幹は、いつの時代になっても変わることはないのです。そのサービスが、いつでもお客様にご満足いただけますようお努めすることこそ私どもの使命なのです」と小林氏は熱をこめて語る。

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