ITソリューション企業総覧2014Web
インタビュー 横浜市政策局 大友康明氏/関口昌幸氏

インタビュー 横浜市政策局 大友康明氏/関口昌幸氏

特集 特集2 IT利活用が創出するビジネス新潮流

国際的理系人材の育成と
女性の働き方支援に取り組む
政令都市「横浜市」


横浜市政策局 政策部政策課 担当課長 大友康明氏/担当係長 関口昌幸氏に聞く

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横浜市政策局
www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/

聞き手:ITソリューション編集部


 アベノミクス成長戦略において、女性の社会進出が重要な課題として掲げられた。一方、経団連では、理工系人材育成戦略の策定に関する提言を公表した。これら二つの課題は、今後わが国産業の国際競争力や革新などの見地からしてもきわめて重要な意味をもっている。横浜市及び横浜市教育委員会、日本マイクロソフトでは、女性の多様な働き方支援と、重要な手段であるオープンデータ活用推進を目指して2013年に連携、さまざまな取組みを展開中だ。ここでは横浜市政策局政策部政策課担当課長大友康明氏(写真左)、担当係長関口昌幸氏(同右)に近況を聞いた。

市立高校へ広がる「科学者等の人材育成支援」

 2013年、横浜市及び横浜市教育委員会、日本マイクロソフトは、女性の働き方支援とオープンデータ活用推進をめざして、これまで取組んできた連携をさらに拡大することを発表した(写真1)。実は、横浜市と日本マイクロソフトは、すでに2010年、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校(以降、YSFH)において「将来を担う科学者等の人材育成支援」を基軸とした協定を締結している。そして、昨年発表された連携拡大は、2010年に締結された協定の拡充をめざしたもので、大友氏は「人材育成支援の取組みをYSFHから、横浜市における他市立高校へも拡大させることに加えて、ICT活用による女性の多様な働き方支援、そしてオープンデータ推進による市内経済の活性化をめざします」と、その新たな目的を語る。

 

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写真1 連携拡大の記者会見。連携協定書と林 文子・横浜市長(写真中央)、
岡田 優子・横浜市教育委員会委員長(左)、
日本マイクロソフト樋口 泰行・代表執行役社長(右)。

 

 YSFHにおける取組みは、ICT活用の情報教育環境づくりを目標に、高校生たちは日本マイクロソフトを訪問したり、同社最高技術責任者による教育内容の指導やアドバイスを受けるなどした。YSFHにおけるこうした取組みは、2013年の連携拡大により、日本マイクロソフトがこれまで無償提供してきた自宅でも学習や活用ができるようにするソフトウェア開発製品などのプログラム「Microsoft DreamSpark」を他の横浜市立高校にも提供し、またWindows8アプリケーション開発ワークショップ、プログラミング講座も実施しようというものだ。いま、こうした取組みが、科学者やエンジニアになりたい夢をもつ若者たちへの応援を加速させることになっている。

 とくにそうした専門家の指導を受けつつ開発した成果には、たとえば高校生たち自らの手によって開発された防災関連あるいはゲーム関連のアプリケーションがあり、それらに関する発表をイベント「横浜インターナショナルオープンデータディ」(2014年は2月22日に横浜港大さん橋にて開催)にて行った(写真2)。「それらアプリケーションの出来栄えは、オープンデータを活用したものも含まれており、専門家たちからみても上々で、将来を担う科学者及びエンジニア等の理工系人材育成は着実に進んでいます」と大友氏は確信をもって語る。

 

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写真2 横浜インターナショナルオープンデータディの参加者

 

ICT活用で女性の多様な働き方を支援

 将来の科学者やエンジニアたち理工系の人材育成と同時に、いま働くことを切に望む女性への支援が、重要な社会的課題となっている。昨年の連係拡大では、この課題にフォーカスされた。関口氏は「最近では、子育てなどのためにフリーランスで働きたい女性や、働きたくても困難を抱え叶わない女性の方たちが少なくありません。そうした方たちのために、就労支援やテレワーク事例紹介、関連ノウハウの提供などで支援させていただくというものです」と、その意義を語る。

 ここでも、日本マイクロソフトは、就労が困難な女性を対象にICTスキルトレーニングの実施について、NPO法人等と連係するとともに、関連教材を提供している。また、イベントの開催や運営などの協力を通じて、女性企業家の育成をも支援する。さらに横浜市のテレワーク施策に対して、自社の取組みや海外事例等のノウハウを提供している。

 さらに「横浜ウーマンビジネスフェスタ2013」の中で、横浜市と日本マイクロソフトが、女性の多様な働き方支援及びオープンデータの活用を進めるため社会的課題の解決や豊かな暮らしを実現するアイディアの種を女性の視点から発掘、オープンデータを活用して、新しいサービスや仕事の創出をめざそうというイベントを実施した。昨年、9月に“オープンデータの活用とは? アイディアを生み出すには?”のセッションが開催されたり、グループ毎にアイディアを出しあいワークショップ手法でまとめあげる「アイディアソン」と呼ばれる取組みが行われた。さらに、日本マイクロソフトのエンジニア等によるサポートのもと、それらアイディアは実用化めざしてブラッシュアップするセッションも行われた。その結果、同イベントでは、介護と子育てを両立させ時間を有効に使いながら仕事が可能な環境を支援するアプリケーションが最優秀賞に選ばれ、前記「横浜インターナショナルオープンデータディ」においても、高校生たちとともに発表された。

 関口氏は「オープンデータを活用したアイディアコンテスト、しかも女性の手によるものは、全国でも初めてのことで、きわめて意義深いものであると思います。昨今、ベンチャーやインターネット活用によるビジネスなどで成功したという女性の話題が注目されることがあります。ですが、いま重要かつ最優先すべきことは、働きたくても働けない女性のために、その要因である社会的な課題を解決して働き方を支援するという、まさに足が地についた地道な対策ではないでしょうか」と感慨深く語る。

オープンデータ利活用でめざす市内経済の活性化

 これまで、オープンデータの利活用にふれてきた。これは、企業や団体、一般の人々が自由に利用できるデータのことで、とくに公共機関が保有するデータをさらに有効活用することによって、新しいサービスやビジネスを創出するものとして期待が高まっているものだ。このたびの連携拡大においては、ソフトウェア開発製品などの無償提供プログラム「Microsoft BizSpark」を横浜市内の企業に提供することで、オープンデータを活用したアプリケーション開発のための環境構築を支援する。また、特定テーマのもと、チームごとにアイディアを出し合いまとめていくイベント「アイディアソン」や、特定の開発テーマ技術に興味をもつ開発者が集まり、一緒にアイディアを出し合ってソフトウェアを開発するイベント「ハッカソン」など、オープンデータを利活用するイベント開催を支援する。そして、日本マイクロソフトが、オープンデータに関する海外の先進的な事例やノウハウを横浜市に提供する。

 なお、大友氏は「横浜オープンデータポータルという地域におけるオープンデータカタログサイトが開設されています。ここでは現在、公開データとしては、防災・減災はじめ観光、子育て、医療、白書、予算・調達などにわたる6種類のデータグループを参照できるようになっています」と補足する(写真3)(http://yokohamaopendata.jp/)。

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写真3 横浜オープンデータポータル
   (横浜オープンデータソリューション発展委員会が運営)

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