ITソリューション企業総覧2015Web
内田洋行

内田洋行

08_環境・省エネ ITソリューション企業編

 

再びスポットライトを浴びる
生産性向上のキーワードは「環境構築」


内田洋行

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空間構築、コミュニケーションそして「環境構築」

 各企業においては、これまで永きにわたってコスト削減に向けて、精力的な取組みが続けられてきた。しかし、ここへきて景気の上向き傾向等を反映して、かつて事業の柱にすえられていた「生産性向上」に再びスポットライトがあてられるようになってきている。

 以前から内田洋行がオフィス分野で取り組んでいるのは「空間構築」である。すなわち“企業で生産性向上のためにあるべき空間の姿”を追究し続けているのである。

 一方、生産性向上は当然、人が関与する。そこには「コミュニケーション」が存在することになる。このために内田洋行では、SNSの社内活用などコミュニケーションインフラの構築にも取り組んでいる。

 内田洋行 スマートビル事業推進部 部長 山本哲之氏は「これら空間構築およびコミュニケーションとともに、もう一つ重要な要素があります。それが“環境構築”なのです」という。具体的には、“どうすれば居心地がよくなるか”や“どうすれば仕事により集中できるか”の追究だ。山本氏は「部屋の明るさや、温度・湿度、そしてCO2濃度も特に仕事に向けた集中度には極めて重要な要素ですね」と、生産性向上を実現させるための「環境構築」の役割を指摘する。CO2濃度と人の集中力には、相関関係があるといわれている。CO2濃度が必要以上に上昇すると集中力が低下し、生産性の低下につながる可能性もある。それを防ぐためにも、ICTの力を借りて自動的に換気を開始させなければならない。

 同社スマートビル事業推進部は、こうした「環境構築」を重要なビジネスの柱に据えているのである。山本氏は「お客様は空間構築およびコミュニケーションそして環境構築の3要素を一体化したソリューションをお求めになっており、これら相関関係のあるソリューションを実現させることができるのは、当社の強みと自負しています」と、アピールする(図1)。

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図1「空間構築」、「コミュニケーション」、「環境構築」三位一体の戦略

 

「環境構築」を実現させるオープンアーキテクチャを統合監視・制御装置に採用

 IoTがICTにおけるトレンドの一つとして注目されている。いまは、専ら通信機能をもたせたモノからのデータをインターネット経由でデータセンタに集積させて自動認識や自動制御、遠隔計測などに利活用法するということにフォーカスされている。ここで、一つ重要なことがある。それは「オフィスや工場などの設備が持つ環境情報を収集する基盤が必要なことです」(内田洋行 スマートビル事業推進部 事業推進課 谷澤直人氏)という。すなわち、温度や湿度、照度、CO2などの諸データをオフィスや工場の設備から収集するためのインフラを整えなければならないのである。

 しかし、そうしたデータを収集するには、実はネットワーク・インフラ部分に課題が潜んでいるのだ。IoTで活用されるネットワークのプロトコル(通信手順)にはさまざまなものがあるが、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)がインターネッットをはじめとして多くの場面で使われており、それらデータもTCP/IPにのせたいところである。しかし谷澤氏は「温度や湿度、照度、CO2などの環境に関するデータは建築設備のネットワークに流れています。そこでは、設備メーカーの独自のプロトコルになっていることが多く、BACnetやLONWORKS、Modbus等のオープンなプロトコルがようやく使われるようになったところです。このままではなかなかTCP/IPにのせられません」と現状を語る。そこで、内田洋行では、従来から使用されている中央監視・制御装置と呼ばれるインフラ部分に、設備系のプロトコルでもTCP/IPにのせられるようなオープンアーキテクチャを採用したのである。

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図2 IPネットワークと空間構築に基づいた新しい中央監視システム

 

多彩な設備管理システムをも統合化した統合監視・制御装置

 こうした「環境構築」のコンセプトやオープンアーキテクチャに基づく統合監視・制御装置などによって、内田洋行ではいま、多彩な設備管理システムも統合可能なビル設備の統合制御ソリューションの普及をめざしている。

(1)オープン環境に取り込まれるさまざまな設備管理システム

 図2に示したように、空調をはじめ照明、電力量、熱源ほか、さまざまな設備管理システムからのデータは、BACnetやLONWORKS、Modbusなどのプロトコルによって、統合監視・制御装置のオープンプロトコル対応の中央制御サーバに送られる。そのサーバはTCP/IPネットワークに接続されており他のシステムともつながる。このため、IPカメラといったといったセキュリティシステムとも統合可能だ。セキュリティシステムと統合されると、統合監視システムが警報を上げた際、現場に確認にいく前に設備の状態と現場の様子の両方を同じシステム上で確認することができる。また、警報発生現場にいった担当者との間で、設備のデータとカメラ画像をみながら対応でき、それが、タブレット端末を使って実現可能なのである。

 また、空調や照明の制御には、バッテリーも配線も不要な無給電無線対応型コントローラと各種センサを連動させたシステム構築を可能としている。これにより、温度・湿度管理などを行うセンサデバイスを、適切な場所に設置して管理を行えるほか、機器間の配線も削減させることができるようになる。

 なお、ここでのセンサデバイス類との接続には、EnOcean(エンオーシャン)と呼ばれるオープンな無線技術が採用されている。たとえばオン・オフするスイッチには小さなコイルと磁石が入っており、オン・オフの動作による電磁誘導で発生する微弱の電力のみで通信できるので、メンテナンスフリーでの安定運用も可能という。

 こうしたソリューションにより、一つの建物の中でも人が集まるところと集まらないところなど、照明や温度などをゾーン単位での管理がいとも容易に実現可能となった。

(2)変貌する中央監視・中央制御

 中央監視の守備範囲はこのように大きく変わってきている(図3を参照)。当初、中央監視は設備稼働監視をはじめ設備自動制御、BEMS(見える化)、防災やセキュリティなどといったような主部範囲にとどまっていた。

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図3 変わる中央監視の守備範囲

 しかし、オープン化や遠隔接続、無線技術などの技術進化に伴って、安全・安心から快適・自由といった用途範囲も拡大している。その結果、生産性の向上に寄与する環境構築が可能となる。しかも、その技術進化と用途拡大は加速しており、そこへの期待はますます高まっていくのである。

 なお内田洋行では平成25年12月に、大和ハウス工業が建設したマルチテナント型物流センターで、同社と共同で主として施設全体およびテナントごとのエネルギー使用量可視化をはじめ温・湿度センサによる庫内環境の適正化、空調・照明・換気など施設内設備をタブレット端末で統合管理するシステム「D―LEMS(ディーレムス)」を開発して、実証実験を展開中だ。

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写真1 統合監視システムを体験できるショールーム(内田洋行 新川第2オフィス)

もはや設備系システムもICTステージに上っている

 かつてのオフコン時代は、A社製PCにはA社製プリンタしかつながらないのが当たり前だった。現在は、A社製のPCでもプリンタはB社製がつながることは極めて当然である。まさにオープン化のわかりやすい例だ。

 しかし、設備系システム環境では、これまでそのような状況に到ることはなかった。山本氏は「こうした状況に当社は変革をもたらし、お客様の利便性を一層向上していきたいと思っています。現に、この分野の歴史の浅い当社ソリューションが、大手企業にも採用されるようになりました。このことは、もはや設備系システムもICTのジャンルに入ってきているといえ、ICTやIPなどにも造詣が深い企業に発注したいという昨今の趨勢を物語っているのではないでしょうか」と語る。

 内田洋行はいま、これまで融合することのなかった領域同士をつなぎ合わせて、新しい領域を構築することに挑もうとしている。

(本ソリューションの詳細は「内田洋行 ビル管理システム」で検索)

 

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