ITソリューション企業総覧2015Web
富士通ビー・エス・シー

富士通ビー・エス・シー

05_ネットワーク・通信基盤 ITソリューション企業編

 

MCM市場に参入。
デジタルカタログソリューション
「FENCE-Mobile ContentsManager」で
新展開に挑む


富士通ビー・エス・シー

www.bsc.fujitsu.com/


 富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)は富士通グループのシステムエンジニアリング(SE)会社。システム開発に加え、組み込み開発でも定評がある。ここ数年は新たな成長を目指して、スマートデバイス向けソリューションに力を注いでいる。先駆けはスマートフォンなどの業務利用を支援するモバイル・デバイス・マネジメント(MDM)サービス。特定の基本ソフト(OS)や通信事業者に依存しないマルチプラットフォーム対応や高信頼のサービスなどをテコにシェアを拡大。サービス開始から約4年で顧客数27万人を獲得した。ここにきてスマートデバイスの業務活用の領域が広がるなか、新たなステップとして、モバイル・コンテンツ・マネジメント(MCM)市場に参入。3月にデジタルカタログソリューション「FENCE-Mobile ContentsManager(フェンスモバイルコンテンツマネージャー)」を発売した(図1)。

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図1

MCMとは

 MCMとは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス(モバイル端末)で利用する業務データや文章ファイルなどをクラウド上で管理し、業務利用で必須となるセキュアな環境のもとで、いつでもアクセスして活用できるようにする手法を指す。MDMではどちらかといえば携帯端末からスマートフォンへの置き換え需要がメーン。セキュリティ対策ではスマートデバイス(端末)を紛失しても遠隔でデータを消去できる機能などが脚光を浴びた。

 これに対して、MCMの活用は携帯電話の置き換えではなく、「モバイルファースト(モバイル活用ありき)」の視点から、スマートデバイスを積極的に業務利用しようとする要望が背景にある。利用するスマートデバイスも会社支給のものから、私物の端末へと拡大。個人で所有する端末を業務でも活用する「BYOD(Bring Your Own Device)」というキーワードが脚光を浴びている。海外企業を中心とするBYODの波は国内にも押し寄せており、BYOD時代のスマートデバイス管理ではMCMが主役の座に躍り出ようとしている。

 MCMの適用領域はInB(企業内)から始まり、B2B(企業間)、B2C(企業と一般消費者間)と拡大しつつある。注目はB2Cへの広がり。エンドユーザ(一般消費者)は用途に応じて、簡単なタッチ操作のみでコンテンツをダウンロードしたり、端末にデータを残さずにストリーミングで参照したりと選択できる。

 たとえば通販業者の場合、通常はカタログ冊子を印刷して配布するが、MCMを用いればカタログをすべて電子データとして取り込むことができる。エンドユーザーはアンドロイド対応の「GooglePlay」やアップルの「AppStore」を介して、専用のアプリケーションをダウンロードし、アクセスすればいつでも電子カタログを閲覧できる。さらに「カタログをウェブサイトに連携させれば注文もできる」(新谷剛サービスビジネス本部アウトソーソングサービス事業部クラウドサービス部部長)というわけだ。

 このようにMCMでは「単なるファイル共有ではなく、営業や接客で必要な表現力の高い電子カタログ・マニュアルや、インタラクティブ性を持たせた教育向けのコンテンツなどを活用できる」(新谷部長)。FENCE-Mobile ContentsManagerは紙媒体やファイルサーバに比べてセキュリティーレベルが高く、しかもアンケートやログ(履歴)収集によるコンテンツ分析、ペーパーレス会議などの機能も備えている。ストリーミングの場合は利用者側にデータが残らないため、端末を紛失しても問題ない。

 富士通BSCはもともとオンプレミス(自前構築型)の電子カタログソリューションを持っていて、ショールーム向けなどで限定して販売していた。今回はMCMの新潮流を踏まえ、クラウド対応版として再構築し、多様な機能を備えたデジタルカタログソリューション「FENCE-Mobile ContentsManager」として商品化した。

 

FENCE-Mobile ContentsManagerの特徴

 FENCE―Mobile ContentsManagerでは競争優位性として「利用者人数に依存しない料金体系」、「専用アプリケーションの提供」、「他サービスとの連携」の三つを掲げている(図2)。このうち料金体系では用途に応じて選択できるように3種類のサービスプランを用意している。

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図2

 利用者が少ない場合は「ビジネスプラン」、利用者が多い場合は「ビジネスユーザ無制限」。いずれも共有サーバ対応で、初期料金は各4万円。月額料金はビジネスプランが50人までが1人当たり500円。51―350人までが同300円。ビジネスユーザ無制限は月額12万円で使い放題。

 このほか、取り扱いデータが多い場合は専用サーバ対応の「エンタープライズプラン」がある。初期費用は25万円、月額料金は22万円。別途アプリケーションの作成費用として68万円が必要となる。

 専用アプリケーションはGooglePlayやAppStoreからダウンロードし、共通で利用できる。エンドユーザは、アクセスしたい企業の「コード」を入力すれば目的とする利用環境につながる。特定の企業向けにカスタマイズ(個別対応)することも可能だ。

 他サービスとの連携ではログ(履歴)収集によるコンテンツの分析がメーンとなる。コンテンツからウェブの販売サイトなどとの連携が可能。コンテンツごとの参照人数や時間を把握することもできる。

 

多様な機能で使い勝手を向上

 FENCE-Mobile ContentsManagerは使い勝手を考慮し、多様な機能を備えている。第一はパソコンのウェブブラウザから、誰でも簡単にコンテンツ制作や管理、配信、更新ができること。ログイン画面を通して、動画や音楽を埋め込むなど、いろいろな設定ができる。また、電子カタログがほしいというお客さんがいる場合にはメールで送ることができる。

 第二は分析結果を見える化する機能(図3)。コンテンツへのアクセス状況をログ分析し、その結果を円グラフや縦グラフで一目で分かるように表示できる。ログ分析結果をもとに、ドキュメントの閲覧数やどの社員がどのコンテンツを見ていたかといったことも分かる。分析結果から、利用者のニーズに合ったコンテンツを用意することも可能だ。

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図3

 

 第三はコンテンツの一覧表示。スマートデバイスでおなじみの「ブックライブラリー」のようなスタイルでコンテンツを一覧表示する。利用者はタッチ操作だけで必要なコンテンツを参照できる。

 第四はタッチ操作を補完するきめ細かな機能。ペンの書き込み機能では重要な箇所に手書きで入力できる。メモ機能はコメントなどの入力が可能。しおり機能は参照したいページを瞬時に表示させることができる。

 

業種業態に合わせた活用シーン

 富士通BSCでは業種業態に合わせて、FENCE-Mobile ContentsManagerの活用シーンを提案している。業種を問わず、需要が見込めるのは社内教育用途だ。教育資料や研修映像を共有することで、紙の印刷費や管理コストを削減できる。従業員は必要な情報がすぐに見つかり、いつでも、どこでもスマホでドキュメントや映像をみながら学習できる。

(1)飲食業

 業種別で最も引き合いが多いのは飲食業だ。飲食業は社員以外にアルバイトの採用も多く、食の安全への対応や接客マニュアルなどで教育の徹底が求められている。マニュアルが増える中で、紙ベースで全従業員に周知徹底させるのは難しく、MCMの活用が注目されている(図4)。

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図4

 従業員向けでは店舗間の情報共有に加え、スタッフ教育にも有効。新メニューなどの最新情報も迅速に共有できる。端末は個人所有のスマートフォンやタブレット端末で対応し、プッシュ型で最新の情報を送れる。従業員はいつでもどこでもアクセスすることが可能となり、接客マニュアルや研修資料を全店舗で共有することで従業員教育を徹底できる。また全店舗にキャンペーンチラシなどの一斉配信も簡単にできる。

 エンドユーザ(お客さん)側のメリットも多い。第一はクーポンの発行。エンドユーザに対し、クーポン券を発行して販売促進ツールとして活用できる。第二は新メニューの情報発信。最新のメニューや旬の食材情報などをタイムリーに発信できる。第三は飲食店の予約と食材の購入。他サイトと連動して、店の予約や自店取り扱い食材などの販売を大々的に展開できる。

(2)通信販売業

 カタログ冊子をすべて電子データとして取り込むことで、手間とコストがかかる紙ベースの仕事をデジタル化して効率化できる。カタログの配送手続きがなくなり、印刷費用も必要なくなる。また、チラシやパンフレットなども適時発信するなど営業活動にも展開できる。カタログやチラシ、パンフレットへのアクセスログを取得して、人気のある商材を把握することも可能。エンドユーザはプッシュ機能を活用して、最新情報をリアルタイムに確認できる。さらにクーポン発行などの特典を受けることができる。通信販売業での活用シーンは小売業や流通業向けでも共通した部分が多く、まずは社員教育やデジタルカタログ販売などでの活用が期待される。

(3)不動産業

 MCMとの相性がよいのは中古物件の案内など。専用サイトを閲覧して、検索条件などを入力すれば物件情報を得ることができるが、「帯に短し、たすきに長し」といった内容も少なくない。FENCE-Mobile ContentsMana-gerならばいつでもどこでも簡単に検索でき、内見資料や物件の写真・映像などを閲覧できる(図5)。見積書を作る機能もあり、営業が客先で説明して、その場で見積もりを作り、即時発行することも可能。物件情報は常に更新されるので、一元管理することで常に最新の情報で営業活動を行うことが可能となる。
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図5

(4)官公庁・自治体

 自治体向けにはペーパーレス会議を提案している。市議会や区議会では一般に紙の資料を用いているが、急な差し替えへの対応が難しいうえ、機密情報は回収するなどで手間が掛かる。FENCE-Mobile ContentsManagerならば会議資料の共有や、紙の印刷物やそれにかかる時間を削減できる。急な差し替えにも即応でき、機密情報はダウンロードせずに閲覧できる。「将来的には発表者のプレゼン画面に連動して、見ている画面を連動させることも検討している」(新谷部長)という。

(5)建設/建築業

 図面や現場施工写真の共有など、現場間の情報共有ツールとしての活用シーンを提案している。建築現場ではCADによる設計図面の参照、営業ツールとしては提案書などの共有が有効。概算見積書の即時発行など、その場ですぐに見積もりを発行できる。クライアントへのレイアウト図やパース提示、新製品のカタログも発信できる。

(6)旅行業

 活用シーンとして力を注ぐのは添乗員向け。観光案内などの研修内容を共有することで、社員の育成に役立つほか、各添乗員の観光地のアピールポイントをMCMに書き込み共有することにより、接客レベルを標準化することが可能。チラシやパンフレットなどの発信により、顧客開拓にも活用できる。お客さん向けには映像の発信機能を活用することで、旅行先のイメージを具体化して見せることができる。プッシュ機能により、お客さんに最新情報をリアルタイムに伝えたり、クーポン発行などの特典を付与したりもできる。

(7)教育業

 主には小中学生向けの活用シーンを想定している。MCMの仕組みを活用して授業内容を映像化すればいつでも受講できるうえ、欠席した授業内容も振り返ることが可能。もとよりログ取得により、学習履歴を記録することも可能。FENCE-Mobile ContentsManagerでは電子書籍用ファイル・フォーマット規格の一つである「EPUB(イーパブ)」形式にもいち早く対応していて、静止画だけでなく、インタラクティブに絵が動く。

 富士通BSCでは音楽業やウェディング業、美容業、医療業向けの活用シーンなども提案している。新谷部長は「当社が提供するのは囲い込みサービスだ。自社商品だけをみせることで顧客を囲い込み、ファンになってもらうことができる」と語るとともに「当社のもう一つの強みは企業の基幹システムとの連携もできることだ」と意欲をみせる。

 

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