ITソリューション企業総覧2015Web
日本オラクル

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04_情報活用/ソーシャルメディア ITソリューション企業編

 

IoTやビッグデータ解析を活用し
社会課題の解決に挑むOracle


日本オラクル

www.oracle.co.jp/


最新IT技術を組み合わせて社会課題を解決する

 2020年に開催される東京五輪。この一大イベントに向け、日本ではさまざまな社会課題の解決が求められる。短期間に大勢が海外から訪れた際の安全性をどう確保すればいいのか。また、観衆が競技会場へ集中するような際に、効率的な誘導なども必要となるだろう。

 さまざまな社会課題解決のために、オープンデータと呼ばれるビッグデータを活用すべきだという提案もある。IoT(Internet Of Things)技術などを用い、センサーデータをリアルタイムに収集して解析し、その結果をもとに事故などの発生を未然に防ぐ。さらには、慢性的な交通渋滞を緩和し大会関係者の安全を確保した上で交通輸送をスムーズにするといったことも期待される。

 そのような状況の中、日本オラクルでは2020年に向け中期経営計画「VISION 2020」を策定し「No.1 Cloud Company(ナンバーワンのクラウド企業に)」をテーマに掲げた。このVISION 2020では、2020年までにOracleが日本で何をしていけばいいかも示している。これは単に製品やサービスをより多く売ることでクラウドと言えばOracleという存在になるための計画ではない。Oracleが提供する製品やサービスを組み合わせて、効率的で便利な社会インフラを構築すること。それにより、さまざまな社会課題の解決を目指すための指針でもあるのだ。

 そのようなOracleの社会課題解決の取り組みは、すでに始まっている。海外での事例となるが、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市で実施しているIoTを活用した交通ビッグデータの活用もその1つだ。

 サンフランシスコ市のダウンタウン地区には、慢性的な交通渋滞という社会課題がある。渋滞を解消したいが土地には限りがあり道路を増やすような対策は簡単にとることができない。

 考えられたのがITを使った課題の解決だった。これは2008年に米国運輸省の都市パートナーシッププログラムにおける「ビッグデータ活用実証実験」としてスタートする。交通渋滞の原因の1つに、駐車場問題がある。

 特定地区の駐車場が混むことにより、路上に駐車待ちのクルマの列ができてしまうのだ。あるいは、空いている駐車スペースを探し回り目的地周辺の道路を無駄に周回するクルマが増えるという弊害もあるだろう。

 この問題の解決のために取り組んだのが、すぐにクルマを駐車できるスペースがどこにあるかの情報を、ドライバーにわかりやすく示すことだった。また、単に駐車スペース状況の可視化だけでなく、空いている駐車スペースにドライバーをスムースに誘導し駐車スペース全体の稼働率を平準化することも目指した。それによる違法駐車の削減なども考えたのだ。

 

IoTを活用したインテリジェントパーキング・システム

 このために構築されたのがリアルタイムにデータを収集し活用できるまったく新しい取り組みだった。これは、サンフランシスコ市内に27,000台あるパーキングメーターのうち8,200台をセンサー付きのインテリジェントなものに交換する。

 さらに公共駐車場の13,000スペースにもセンサーを取り付け、空き状況をリアルタイムに可視化できるようにしたのだ。また、利便性向上のためにクレジットカード支払いやモバイルペイメントにも対応した。さらに、サーバー側からの制御で個々のスペースに対し需給に応じた変動型駐車料金の設定ができるようにもした。

 ドライバーが空き状況を確認する方法には、iOS、Androidに対応したスマートフォン用アプリケーションが用意された。またWebページ(http://sfpark.org)からもリアルタイムに駐車場の空き状況、その時点での駐車スペースの利用料金は把握可能だ。

 ドライバーが見てすぐに状況がわかるように、混み具合や駐車料金の違いは色の濃淡で表すなど、利用者の使い勝手面での工夫もなされている。

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図1 SFpark

 パーキングメーターの利用状況の情報は、ワイヤレスセンサーテクノロジーを活用しデータはエンタープライズ・サーバーに集められる。駐車場の情報についてはWi―Fiを使い駐車場ゲートウェイを経由して、インターネット越しにエンタープライズ・サーバーに集められる。

 その他にも交通モニタリング・セキュリティカメラの情報もサーバーには集められる。データがサーバーに渡されるところでは認証も行っており、そこでセキュリティ的に問題がないかも確認される。

 駐車場および交通情報は「満車」や「事故」などの「鍵となるトラフィックパターン」として、即時にレスポンスが求められるデータとなり送信される。パターンに応じてリアルタイム処理をするため、イベントプロセッシングの仕組みを用い、関連システムに対し各種処理のトリガー情報として渡される。それにより変動型駐車料金設定やトラフィック分散のプロセスが自動的に動き、結果はSOAの仕組みを使ってWebおよびスマートフォン用の交通管理アプリケーションに即時に反映される。

 一方で、データ処理の流れやシステム間の連携はより複雑化するためそれらの処理の過程を容易に管理できる仕組みとしてoracle service Busが活用されている。

 リアルタイムに交通管理アプリケーションのプレゼンテーション層のデータは更新されるので、ドライバーは最新の空き状況や駐車料金などをスマートフォンから参照できるようになる。同時に、各パーキングメーターに対してルールに応じた駐車料金変更の指示も行われることになる。

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図2 北米サンフランシスコインテリジェントパーキング事例

蓄積したビッグデータを分析してさらなる改善を継続する

 利用したセンサーデータなどは捨てられるわけではない。ビッグデータとしてOracle Databaseに蓄積され、Oracle BIを用い分析され市全体の駐車場の利用状況や混雑パターンの解析に使われる。

 パーキングメーターは稼働率が60から80%となるように調製される。そして、空いているスペースへクルマを誘導するために、稼働率が80%を超えたパーキングメーターは駐車料金が1時間あたり0.25ドル上乗せされる。これにより、少し遠くても安い駐車スペースを利用するようにドライバーを促すというわけだ。逆に稼働率が60から30%に下がれば1時間あたり0.25ドル料金は下げられる。同様に駐車場の場合には、稼動率が50から85%になるように調整される。これらのルールも蓄積されたビッグデータをロジック分析し、継続的にその効果が評価されている。

 SFparkの取り組みは、実証実験段階でさまざまな効果が確認されている。変動型の駐車料金を導入したことで、駐車場利用者が支払う駐車料金は減少している。その上で一極集中がなくなり駐車スペース全体の可用性も向上した。

 具体的な効果数値としては、たとえば平日昼間にドライバーが駐車場を探す平均時間は11分36秒から6分36秒へと43%削減された。1日あたりのCO2排出量も30%削減されている。さらに、駐車違反のチケット発行枚数が削減されるといった効果も出ている。

 今回の取り組みでは、センサーを取り付けていない駐車スペースについても稼動率の平準化がなされている。つまり、すべてのパーキングメーターにセンサーを付けなくても、IoTの導入、活用の効果は発揮できるということだ。

 このようにさまざまな効果が確認されたこともあり、実証実験後もこの仕組みはサンフランシスコ市で本格運用されており、さらなる交通渋滞の解消に貢献している。

 このIoT事例のポイントは、センサーデータを集め分析し状況をリアルタイムに把握できるようにしただけではないところにある。分析結果からベストプラクティスとなるルールを作る。そして収集されるデータをリアルタイムに処理し、導き出されたルールを適用して具体的な改善アクションを自動実施する。

 この一連のプロセスが、PDCAのサイクルとしてうまく回せるようになったことで交通渋滞という社会課題の解決に至ったのだ。

 Oracleでは、ビッグデータ活用やIoTなどを実現するためのさまざまな技術要素を提供するだけではない。この事例のように、製品やサービスを組み合わせて実際の社会課題を具体的に解決するソリューションを提案し、実現しているのだ。

 

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