ITソリューション企業総覧2015Web
SCSK

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01_総合システム構築 ITソリューション企業編

クロスセル、グローバル、クラウドを
主軸に据えたビジネス戦略


SCSK

www.scsk.jp/



 SCSKは2011年、住商情報システム(SCS)とCSKの合併で誕生、“グローバルITサービス”をビジネスの主軸においている。この合併により、両社は互いのサービス内容や顧客などを活かし、それぞれの強みが効果的に噛み合ったビジネスを展開し続けている。合併以来の中期経営計画の基本戦略は、「クロスセルの推進」「グローバル関連ビジネスの拡大」「クラウドビジネスの拡充」の3つに集約されている。

 

クロスセルの推進~進化がもたらす新たな付加価値の創造~

 合併後、全社をあげて推進する“クロスセル”戦略は、両社のサービスを最適な形で組み合わせて提供することだ。実は、この両社は、それぞれが得意とするサービスや顧客も、ほとんど重複していなかったのである。SCSK事業戦略グループ営業戦略企画部長 堂面聡氏は「合併時、住商情報システムとCSKのお客様の重複は20%程度でした。そこでお互いのお客様にそれぞれの商材を提案するクロスセルを展開すれば、かなりのビジネス拡大を予測できたのです」と振り返る。

 商材面でも、たとえば両社ともにシステム開発が得意だったが、CSKは運用面すなわちITマネジメント、BPO(Business Process Outsourcing)にも強みを持っていた。一方住商情報システムは、顧客が必要とするハードやソフトの導入・保守に関連するプラットフォーム系ビジネスにも強みを持っていた。システム構築を受注した場合、「必要なハードを導入する際、CSKにおいて従来は社外から調達していました。ところが合併後は、住商情報システムのルートがありますので、社内から好条件で調達でき、まさにクロスセルが自然と進むのです」と早速の効果を説明する。そうした両社互いの強みを活かすことで、ビジネス拡大に取り組んできた。

 最近、新たなクロスセルの形態が生まれつつある。それは、7つの事業部門が横断的に連携する効果だ。すなわち産業システムを始め金融システム、グローバルシステム、ソリューション、ビジネスサービス、ITマネジメント、プラットフォームの事業部門があるが、各部門にはそれぞれの領域で豊富な実績と深いスキルのあるプロフェッショナルを擁している。堂面氏は「お客様からの相談に対し訪問する際、これらプロフェッショナルが一緒にお客様の悩みを聞き、複合(共同)提案するようになってきた」と新たな進化を語る。

 このことで、顧客の課題をより的確に理解し、顧客と一緒に解決策を考え、オールSCSKの“新たな付加価値の提供”により、顧客からの信頼感がさらに高まってきたのである。「こうしたことからSCSKの総合力は確実に向上してきていることを実感できます」と堂面氏は感慨深く語る。

 こうしてシステム開発をはじめ、ITインフラ構築、ITマネジメント、BPO、ITハード/ソフト販売に至るまでITに関わるフルラインナップサービスを複合的に顧客へ提案・提供することで、SCSKは新たな付加価値を創造し新たな進化を遂げようとしている。

 

グローバル関連ビジネスの拡大~SIerからSolution Providerめざして~

 SCSKのグローバルビジネスは、約25年という長い歴史に育まれている。100%子会社である現地法人を1987年米国に、1990年欧州に、2007年中国およびアジアに設立し、グローバルネットワークを確立してきた(図1)。これら拠点ネットワークを介して、SCSKは世界38カ国200拠点以上に対して、システムの導入を始め保守、運用サービスを提供してきている。そして、顧客の海外進出時におけるサポートから、グローバルシステムなどへの展開、現地における保守・運用まで広範囲なITサービスを提供している。

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図1 全世界をカバーするSCSKのグローバルネットワーク

 SCSKグローバルシステム事業本部営業企画部長坂本剛氏は「こうした歴史の上に立つ実績は私たちのビジネス展開上、強い武器なのです」と確信する。もちろん親会社の住友商事向けにも、フルアウトソーシングでアプリケーション、インフラネットワークなどワンストップサービスを展開している。

 SCSKにおけるグローバルビジネスは、この“ワンストップサービス”が基本にある。坂本氏は「このように当社は、IT先進企業である住友商事のグローバルレベルでの取り組みを、アウトソーサとして活用可能なことから生まれた実績やノウハウを擁しています。これらを他のお客様に展開可能なことは我々の大きな強みです」と語る。

 もう一つのSCSKの強みは、日本をキーステーションとして、海外4拠点が面的に連携してサービス提供を行っている点だ。日系顧客が日本でプロジェクトを立ち上げ海外に展開する際、日本でしっかり顧客との連携ができ、また海外でもSCSKの拠点との連携が成立する。このコミュニケーションパスは容易に構築できるものではなく、SCSKだからこそ顧客と一体化したプロジェクト展開が可能かつ安心感をもたらすものといえる。

 今後の課題として坂本氏は「これまでのシステムを構築して納入するSIer的立場からもう一つ踏み出して、お客様とご一緒に真にグローバルなIT化を考えたり、ご提案できるSolution Providerビジネスを目指します」という。これは、顧客の現状で抱える課題、潜在ニーズから、いかにすればグローバルIT化が叶うのかに取り組む企画立案の内容だ。こうした上流的な要素は、グローバルビジネス上、今後必須条件になる、と坂本氏はみている。もちろん、価格もさることながら、品質には細心の注意を払い、TCOでみた際、顧客の採算にあうビジネスに照準をあわせることは言うまでもない。とくに、品質が国内と海外でバラツキが生じてはならないし、標準やガバナンスにあわせた一元化が必要となるはずだ。

 

クラウドビジネスの拡充
~国内最高水準のデータセンタで顧客支援~

 SCSKはクラウドビジネスにおける強力な武器として、国内の主要拠点にデーターセンターを保有している。現在、関東圏に6カ所、関西圏に3カ所あり、その面積は約7万m2に及ぶ。SCSK基盤インテグレーション事業本部クラウドインテグレーション部長川村純氏は「データセンターは24時間365日有人運用体制で、東京都内4カ所と大阪府内2カ所は都市型で交通利便性を重視し、千葉県および兵庫県の3カ所は郊外型で事業継続性を重視しています」と、関東圏および関西圏で顧客のさまざまなニーズに対応する役割をアピールする。これらが、SCSKのITアウトソーシングやDR(Disaster Recovery:災害対策)サービスの拠点として多彩なITマネジメントサービスを提供するクラウドインフラのベースとなる(図2)。

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図2 国内最高水準のファシリティを誇るソリューション指向のデータセンター

 SCSKは、クラウド登場以前の2004年から、すでに従量課金型のインフラサービス「USiZE」を提供しており、現在では従量課金型から進化したクラウド基盤サービスの総称として利用している。川村氏は「USiZEはハイブリッドクラウド前提が最大の特徴です。これはオンプレミスに加えて、プライベートおよびシェアード、パブリックのクラウド3モデルにラインナップされます」と説明。オンプレミスは、従来からの顧客ニーズにあわせた専有/顧客所有がある。そして「USiZE」は、プライベートモデルが専有・個別構築型で、完全カスタマイズ型基盤を月額従量課金で提供する。シェアードモデルは複数の顧客共有型で、画面から自由にサーバなど構築可能なセルフサービス型あるいは運用一体型のマネージドなどのタイプがある。そしてパブリックモデルはAWSやWindowsAzureが利用可能だ。このハイブリッドクラウドは、SCSK自社開発による「PrimeCloud Controller」で複数クラウドを等価的かつ一元管理できる(図3)。

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図3 顧客ニーズに合わせ最適なクラウド環境を実現するハイブリッドクラウド

 オプションには、Job管理「Job Centric」やファイルサーバ「Cloud File Server」、顧客のオンプレミスシステムと連携する「Connect」ほかサービスも豊富。さらにアプリケーション間連携や、スマクラ(小売り・卸・メーカ間取引きを電子化する流通BMSクラウドサービス)、グループ企業向けグローバルプライベートクラウド、遠隔監視などセキュリティサービス、SCSK自社開発アプリケーションもクラウドサービス化されている。

 川村氏は「現在は当社データセンターに自社システムをラックで所有するハウジングのお客様が、さらにシステム効率化や最適化を目指してクラウドも利用される組み合わせが増えています。重要なことは、お客様の既存資産を有効活用し極力ご負担をかけずクラウド化を推進するサービスです。お客様からもコスト削減やシステム立ち上げまでの期間短縮、増強のしやすさなどを評価いただいております」と効果を語る。

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 SCSKは、顧客へ最高品質のサービスを提供できる要因の一つに、「社員にとって働きやすくやりがいのある会社」であるべきだ、と確信している。すなわち、情報サービス事業における最大の経営資源は、社員にほかならない。同時に、同社経営理念「夢ある未来を、共に創る」を実践する上での約束の一つとして、「一人ひとりの個性や価値観を尊重し、互いの力を最大限に活かす」ことを定めており、女性活躍支援や障がい者雇用など“ダイバーシティの推進”は経営理念具現化の一つとも位置付けている。

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図4 働きやすい、やりがいのある会社への環境整備のイメージ

 

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