ITソリューション企業総覧2015Web
野村総合研究所

野村総合研究所

01_総合システム構築 ITソリューション企業編

「ナビゲーション×ソリューション」により
顧客のビジネスに資するサービスを提供


野村総合研究所

www.nri.com/jp



NRIグループの概要

 株式会社野村総合研究所(NRI)は、1965年に野村證券の調査部を母体として生まれた旧野村総合研究所と、同じく野村證券の計算部を母体に、66年に設立された野村電子計算センター(後の野村コンピュータシステム)の2社が、88年に合併して誕生した。2001年12月17日には東京証券取引所第一部に上場し、2015年の今年は、創立50周年を迎える。2015年2月現在で、国内に9つのグループ会社と、欧米・アジアに14の現地法人を含む22の拠点を持ち、グループ全体では9,000名以上の体制で活動している。

 NRIグループの企業理念は「未来創発」である。社会や企業の今後の方向性を洞察し、さまざまな形であるべき姿を提案・提言する「ナビゲーション」と、ITを用いて課題を解決する「ソリューション」を相乗的に機能させるという、斬新なビジネスモデルで使命を果たしていこうとしている。「ナビゲーション×ソリューション」は、こうしたNRIの活動の軸となっている。

 現在のNRIには、(1)コンサルティング、(2)金融ITソリューション、(3)産業ITソリューション、(4)IT基盤サービス、の4つの事業セグメントがある(図1)。これらを通してより良い社会の仕組みの構築や、顧客企業の価値向上を推進し、ひいては、人々の快適な暮らしを支えている。

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図1 4つの事業セグメント

 

NRIの4つの事業

(1)社会や産業、企業の今をとらえ、その先へと導く国内最大規模の「コンサルティング」

 NRIのコンサルティングサービスは、シンクタンクとしての発祥の基盤を活かし、50年の歴史の中で、社会や産業、企業の発展に貢献してきた。広範な分野にわたる600名以上の専門コンサルタントを擁する、国内最大規模のコンサルティング組織である。

・マネジメントコンサルティング

 NRIでは、企業の戦略策定や業務改革、政府・官公庁の政策立案やその実行支援などをテーマとして、顧客と一体となって取り組んでいる。これまで、5,000を超える対象領域(産業分類×テーマ区分)において、累計で2万件以上のプロジェクトを実施してきた。活動の範囲は国内、欧米先進国のみならず、中国、アジア・太平洋地域、インド、ロシアなど、広く新興国にも及んでいる。

 創業以来の実績を通じて蓄積した、知識やコンサルティングノウハウに基づき、顧客の実益にコミットする姿勢がNRIの強みである。多様な専門性を持つコンサルタントが、顧客と共同でチームを構築し、置かれた状況や組織風土・経営資源を踏まえた最適な戦略の立案および実現に努めている。

・システムコンサルティング

 企業の事業戦略や業務プロセスが、IT(情報技術およびそれを活用した情報システム)と不可分となっている中、ITの活用力は企業の競争力を大きく左右する。NRIは、幅広い業種の企業や行政機関を対象に、IT戦略の策定から、ITを活用した業務改革の計画と実行支援、標準アーキテクチャの確立、グループ・グローバルでのITガバナンスの確立にいたるまで、企業などのIT活用力の向上を支援する多様なサービスを提供している。

 業務とITの両方に精通した経験豊富なシステムコンサルタントが、顧客と一体となって、IT活用力の向上に取り組んでいる。

 NRIは、これまで顧客に提供してきた数多くのコンサルティングサービスや、顧客から受託したシステム開発やシステム保守・運用の業務などで培ってきた、IT運営改革に関わるメソドロジ集「SC7M(System Consulting 7 Methods ―IT運営改革メソドロジ―)」を有している(図2)。これは、IT運営に関わる領域を「情報戦略・ITガバナンス(IT Strategy)」、「IT投資管理・コスト管理(Value Management)」など7つに分け、領域毎にIT運営改革の考え方や方法論と、実践にあたって有用な各種ツール・テンプレートなどを提供するものである。

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図2 IT運営改革メソドロジ「SC7M」

(2)安全で高品質なITソリューションサービスを提供する「金融ITソリューション」

 野村電子計算センターの創業以来、NRIは日本の金融・証券制度の頻繁な変更に即応するのみならず、早い段階から制度とシステムの研究に取り組み、時には政策提言を行ったり業界の変化を先取りしたりしながら、金融ビジネスにかかわる多くの顧客にソリューションを提供してきた。2014年、NRIは、世界の金融ITサービス企業のランキング「FinTech Rankings」において、第9位に5年連続で選ばれている。日本企業では唯一のトップ10入りとなった。

 最近では、2016年1月にスタートする「マイナンバー制度」についても、早い段階から調査・研究を実施し研究成果を発表しており、さまざまな企業からの相談を受けている。

・証券ITソリューション

 証券業界において高い信頼を得ている「THE STAR」(ザ・スター)は、証券会社の勘定系とも言うべき証券総合バックオフィスシステムであり、NRIのノウハウが集約されている。これを用いたリテール証券向け共同利用型サービスは、多くの証券会社に利用されている。2013年には、「THE STAR」と親和性の高い、個人投資家を対象とする資産運用相談業務や各種金融商品の提案型営業業務を支援する「NRIアドバイザープラットフォーム」の提供を開始した。

 ホールセール証券業務のバックオフィスソリューションとして、証券業務をトータルにサポートする「I-STAR」(アイスター)は、日本の証券決済制度に準拠しており、外国証券会社の国内市場への参入を支援する。総合バックオフィスシステムのほか、保振決済関連、日銀接続関連、カストディ業務の業務効率化のソリューションがある。

・資産運用ITソリューション

 NRIが提供する資産運用業界向けトータルソリューション「T―STAR」(ティースター)ファミリーは、投資信託の信託財産管理などの資産運用にかかわる業務を、フロントオフィスからバックオフィスに至るまで、幅広くサポートしている。信託銀行や投信委託会社・投資顧問会社、保険会社など、資産運用に関わる業界のインフラとして利用されている。「T―STAR」ファミリーは、専用のクラウドソリューションである「T―MONOLIX」(ティーモノリクス)を通じて提供され、利用企業のシステム運用負荷の軽減とIT統制や災害対策の強化などにも寄与している。

・銀行ITソリューション

 激しい市場環境変化や制度変更の中で、銀行やノンバンクは新事業開拓や業務の見直しを迫られている。NRIは、こうした変化をいち早く把握し、それらへの対応に適したソリューション分野に事業を展開している。ATM事業や電子マネーの仕組みづくりに携わるとともに、共同利用型の投資信託窓口販売業務ソリューション「BESTWAY/JJ」(ベストウェイ/ジェイジェイ)を提供し、銀行業界におけるシェアは約80%、生損保・投信会社などを含めると100社以上に採用されている。さらに、インターネットバンキングソリューション「Value Direct」(バリューダイレクト)などを主軸に、銀行業務をさまざまな角度から支援している。

・保険ITソリューション

 長年培ってきた保険業務に関する知識やシステム開発の実績を活かして、生命保険会社や損害保険会社、直販損害保険会社を対象に、契約管理、営業支援、損害調査など、さまざまな業務システムを開発・運用している。中でも、自動車損害賠償責任保険業務の共同利用型システム「e―JIBAI」(イージバイ)は、損害保険会社などが利用する業界標準システムとなっている。さらに、今後の進展が見込まれる保険料収納のキャッシュレス化などを支える決済サービスも、保険会社に提供している。

(3)業界の枠や既存の仕組みを超え、変革と成長を支える「産業ITソリューション」

 NRIは、流通業やサービス業、製造業など、さまざまな産業でソリューションを提供している。業界の枠組みや常識にとらわれず、顧客がめざす変革をITで実現し、事業の成長を支えている。

・流通ITソリューション

 生活者の嗜好や購買行動の変化に加え、ネットストアなど新たな販売チャネルの登場とともに、流通業界では、製造業、卸売業、小売業が連携し、新たな価値を生み出すことが必要になってきている。NRIは、個別企業に対するコンサルティングやシステムインテグレーションに加えて、多彩な流通ITソリューションやアウトソーシングサービスを提供している。

・産業ITソリューション

 長年の実績とノウハウに基づき、製造業やサービス業に携わる顧客のビジネスを、ITを活用してトータルに支えている。事業戦略、IT戦略、業務改革の推進に関するコンサルティングに始まり、グローバルな生産・物流・販売を支えるサプライチェーンにかかわる戦略システム構築の提案とその開発を行う。製造業、卸売業、小売業を支えるITソリューション群「BizMart」(ビズマート)サービスをはじめ、基幹システムの導入や最適化、アウトソーシングによるコスト削減まで、幅広いサービスを提供している。

味の素とのITサービスにおける戦略的業務提携

 2012年2月に株式会社味の素と合意したITサービスの戦略的業務提携にもとづき、同年4月、グローバル展開で先行する味の素グループの重要な機能を担っている情報子会社の味の素システムテクノを、NRIグループに迎え入れた。社名を「NRIシステムテクノ」とし、NRIの事業基盤やノウハウを活用して、味の素グループの事業競争力の強化を支援している。

丸紅とのITサービスにおける資本・業務提携

 2014年2月には、丸紅株式会社との間で、丸紅が新設するIT子会社の事業運営を共同で行うための資本・業務提携に合意した。この資本・業務提携を通じ、NRIは、総合商社として国内外にさまざまな事業を展開する丸紅の事業開発をITサービスの側面から支援するとともに、共同で新しいビジネスの創出と拡大を図る予定である。

・ヘルスケアITソリューション

 グローバル化や競争激化などの課題に直面している国内外の製薬会社や医療機器製造会社に対し、事業戦略や規制対応、営業活動や業務の効率化などを支援している。

 医薬品業界向けの文書管理サービス「Perma Document」(パーマドキュメント)は、インターネットブラウザを用いて、規制対象ドキュメントの保管をはじめ、バージョン情報や配布・教育履歴、監査証跡などを一元管理・実施することができ、有効な効率化の手段となっている。

(4)安全と信頼、品質を追求し続ける「IT基盤サービス」

 事業活動の拡大やIT活用の深まりとともに、企業のシステムが巨大化・複雑化する中で、その土台となる「システム(IT)基盤」は、ますます重要になっている。NRIは、先端的な技術の動向を見通しながら、戦略的にそれらの技術を各ソリューションに取り入れ、最適なシステム基盤を提供している。

・基盤ITソリューション

 NRIは、創業期から、常に先進的な技術を積極的に活用するとともに、さまざまな技術の組み合わせにより、企業のシステム全体を安定的に稼働させるシステム基盤構築を実現してきた。こうした取り組みを通じて培った高度なマネジメント力と、業務に役立つ技術力を活かし、顧客が抱えるビジネス上の課題解決に最適なシステム基盤を実現する基盤インテグレーションおよび基盤ソリューション群を提供している。次世代SIフレームワーク「ObjectWorks+」(オブジェクトワークスプラス)や、顧客の声やナレッジを活用するためのテキストマイニングソリューション「TRUE TELLER」(トゥルーテラー)など、機動的な経営を実現するシステム基盤構築に向けた、さまざまなソリューションを提供している。

 「TRUE TELLER」は、2014年秋には、IT(情報技術)分野において世界最高峰とされる「世界情報サービス産業機構 IT賞」を唯一の日本企業として受賞した。同ソリューションが国内のみならず、世界的にも高い評価を受けていることの証である。

 今後NRIは、さまざまなクラウドサービスやオンプレミス(自社環境における導入・運用)システムを統合し、迅速かつ最適なコストで提供する「クラウドインテグレーション」により、顧客のシステム基盤の品質・ライフサイクルなどの改革を実現する方向を目指している。

・システム運用ソリューション

 事業活動の広がりとともに、情報システムは企業間連携やグローバル・サプライチェーンなどを支える巨大で複雑な仕組みへと進化しつつある。万が一、これらに支障を来すと、その影響は広く社会全般に達することもある。NRIでは、40年以上にわたる大規模なシステム運用の実績をもち、24時間365日安定したシステム運用を実現するために、必要な設備とさまざまなソリューションを提供している。

 例えば、サーバやネットワークなどの維持・更新と安定的な運用をサポートする「マネージドサービスソリューション」、災害時の事業継続を実現する「BCP(事業継続計画)/DR(災害復旧)ソリューション」などがある。

・先端技術ソリューション

 時代のニーズに応える新たな事業やサービスを創出するために、NRIは情報技術の動向を見据えたうえで、これらの技術がどのような潮流の中に位置づけられ、将来どのように利用されるのか、どんな可能性を持っているのかなどを継続的に分析して、“ロードマップ”(時系列で将来の登場・発展が見込まれる技術や製品をまとめた図表)を作成している。さらに、新しい技術を活用するための先行研究や実証実験などにも注力している。

 

NRIグループの強み

・問題発見から問題解決までを行う「ナビゲーション×ソリューション」の力

 NRIグループの強みは、「トータルソリューション」を提供できる総合力である。トータルソリューションとは、予測、分析などによって顧客の問題を先取りして解決策を導いていく「ナビゲーション」から、その解決策を業務改革やシステムの設計、構築、運用サービスによって実現する「ソリューション」まで、フルラインのサービスを指す。この総合力によって、顧客の企業価値を高めることが我々の使命であり、その軸をなすのが「ナビゲーション×ソリューション」である(図3)。

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図3 問題発見から問題解決まで7つのステップからなる「ナビゲーション×ソリューション」

 さまざまな技術やビジネスが絡み合いながら変化していくこの時代に、断片的な知識や知見、その場限りの解決策を提供するだけでは、顧客の付加価値を高めていくことはできない。NRIは、社会・産業に関する日ごろからの地道な調査研究活動を通じて、未来への深い洞察力を養い、コンサルティングからシステム設計、構築、運用にわたる幅広い能力を活かして、さまざまな問題の解決策を導き出している。

・先進的で大規模なSIの豊富な実績

 NRIグループは、さまざまな業界におけるリーダー企業のシステム構築・運用を手掛けてきた。例えば、国内最大の証券会社である野村證券の基幹業務システムを、導入当初から担当している。また、コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンに対しても、同社の創業期から基幹システムについて支援を行ってきた。同社およびセブン&アイ・ホールディングスに関しては、多様な方向への事業展開に沿って、ATM端末の設置、電子マネーの導入など、利用者の利便性を向上するサービスやビジネスモデルを顧客とともに発展させてきている。

・業界標準のビジネスプラットフォーム提供

 NRIでは、業界や社会全体のインフラとなるシステムサービスの提供を目指している。「共同利用型サービス」は、さまざまな業界におけるリーディング企業のシステム構築や運用で培ったノウハウを生かして、複数の顧客が共同利用できる業界標準のビジネスプラットフォームを提供している。共同利用型を利用することにより、顧客は、自社でシステムを構築する場合に比べ、コスト削減や制度変革へ着実に対応出来る点などで、大きなメリットがある。例えば、証券総合バックオフィスシステム「THE STAR」は、1974年から提供を開始し、既に約70社が採用している。野村證券も、2013年1月からはTHE STARのユーザとなった。

 このほかにも、先に述べた投資信託窓口販売業務ソリューション「BESTWAY/JJ」、資産運用会社向けソリューション群「T―STAR」ファミリー、自賠責保険・共済市場で90%以上のシェアを有する「e―JIBAI」などが、NRIが提供する代表的な業界標準ビジネスプラットフォームである(表1)。

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・堅牢で安心なデータセンター

 昨今、システム運用を取り巻く環境は、BCP/DRの強化、クラウド対応、ビッグデータの活用、省電力や地球環境対策、コンプライアンス向上、情報漏えい対策など、さまざまな重要テーマを抱えている。NRIは、システム運用の専門家集団として、こうした多様な要件に対して、的確に応えるシステム運用ソリューションを提供している。そのコアとなるのがデータセンターである。免震・耐震、電源や空調設備の多重化、情報資産や設備を守る高度なセキュリティ、高負荷サーバ対応、CO2削減などの取り組みで、顧客そして社会に貢献する、国内最高水準のデータセンターを有している。2015年2月現在、国内で5つのデータセンターが稼働し、2016年夏には6つ目のデータセンターを関西地区で開業する予定である。

 なお、最新の東京第一データセンターは、2013年のグッドデザイン賞や、グリーンITアワード2013における経済産業大臣賞などを受賞するとともに、2014年には米国の民間団体Uptime Instituteによるデータセンターの運用品質を定めた基準「Management and Operations」認証を、日本で初めて取得し、設備だけではなく運用面においても、高品質を保ち続けている。

・人材が支えるNRIグループ

 NRIグループは、2014年9月現在、社員約9,300名を擁し、そのうちIT技術者は約6,500名である。これに加えて、システム事業では国内パートナー約8,500名、中国オフショアパートナー約5,000名の人材を効果的に活用している。NRIは中国でオフショアパートナーの活用に早くから取り組み、現在では中国の13地域21社にシステム開発を委託しているが、その開発パワーは顧客のニーズに合わせた柔軟なサービス提供を可能にする点で、NRIグループの強みの一つである。

 

品質へのこだわりとリスク管理の徹底

 NRIは創業以来、たえず提供サービスの品質向上に努めてきた。また、社会インフラとして利用される情報システムを構築・運用する立場を踏まえ、リスクを統合的に管理・予防することにも力を入れている。

・品質向上への取り組み

 システム構築・運用やコンサルティングサービスのプロジェクト実施にあたっては、各事業本部が責任を持って品質管理を行うとともに、各事業本部の品質管理活動を横断的に推進・支援し統括する全社組織を置いている。

・さまざまなリスクを統合的に管理

 NRIでは、リスクを「全社的なリスク」「事業活動に伴うリスク」「災害や事故などによる危機」の3つに大きく分け、それぞれについて管理体制を構築し、互いに連携しながら統合的にリスク管理を行うとともに、常にその体制を点検し、改善を図っている。特に社会的影響の大きい事業・サービスについては、BCPやDRの強化にも取り組んでいる。

 また、「情報セキュリティ統括責任者」(常務執行役員)のもとに、情報セキュリティ部が施策を立案・計画・推進し、組織として情報セキュリティレベルの向上に取り組んでいる。社会の規範となる高度な情報セキュリティ管理の枠組みを、自社のオフィスやデータセンターはもとより、パートナー企業においても確立することで、顧客や社会から信頼され続けることを目指している。

 

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