ITソリューション企業総覧2015Web
日本ユニシスグループ

日本ユニシスグループ

01_総合システム構築 ITソリューション企業編

ユーザ・オリエンテッドな
ビッグデータ・ソリューションをめざして


日本ユニシスグループ

www.unisys.co.jp/


 ビッグデータの本格活用期といわれているが、データそのものを収集し、統合して分析して経営に活かす、というこのITプロセス自体は従来の情報活用のプロセスと大きな差異はない。

 日本ユニシスグループ(以降、日本ユニシス)では、むしろユーザにとってビッグデータの御利益はどのようなところにあるのか、その観点からソリューションを投入すべく、ビジネス戦略に取り組んでいる。したがって、ここでは、事例をベースに、日本ユニシスのめざすユーザ・オリエンテッドなビッグデータ・ソリューションの具体像にせまりたい。

 

日本ユニシスのビッグデータ・ソリューションを一望

 ビッグデータを活用してビジネスを展開していくとき、そのITプロセス自体には従来の情報活用のプロセスと大きな差異はない、と日本ユニシスではみている。

 図1は、日本ユニシスが考えるビッグデータに関する技術や領域をまとめたものである。まず、ソーシャル・データをはじめログ、RDB(Relational Data Base)、トランザクション、センサー・データなどの構造化データや非構造化データ、さらにストリーム・データといった膨大なソース・データは、処理基盤で収集そして統合される。さらに利活用基盤において、テキスト・マイニングやデータ・マイニング、BI(Business Intelligence)、ルール/CEP(Complex Event Processing)エンジンなどで分析し人間にとって意味のある結論を導く。そしてそれらを、たとえばカスタマ・インテリジェンスや社会・公共・環境、コンプライアンス・統制などの領域に活用していく、というものである。

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図1 日本ユニシスグループのビジネス・ドメイン

 こうしてみるとビッグデータは、これまでのデータによる処理形態とは大きな差異はみられない。ただ、あえてその違いを指摘するならば、ソーシャル・データのような非構造化データや映像のようなストリーム・データなど、従来のコンピュータでは直接の認識が容易ではないデータまでも対象にしなければならない点であろう。ビッグデータ・ソリューションを実現するためには、こうしたデータたちに向けた処理の工夫が必要になってくるのである。

 日本ユニシスでは、そうしたデータに対しても、対応可能なソリューションの開発に取り組んでいる。ユーザはデータの処理や分析に関心があるのではなく、どう活用できるかに興味があるはずである。このことから、図1でいう活用シーンにおいてユーザに価値をもたらし、かつ他社との差別化をはかる戦略で臨んでいく。

 

ビッグデータの適用シナリオ

 図2は、図1から活用シーンを取り出したものである。アプリケーション・ビジネスは、データを分析するシーンが顧客ごとや業務ごとに実に様々なケースが考えられるので、日本ユニシスでは各シーンをビッグデータの適用シナリオと位置付けており、それらを用途に応じて図のように分類した。

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図2 日本ユニシスグループが考えるビッグデータの適用シナリオ

 まず、「マーケティングの強化」であるが、これは企業が自分たちの顧客と接点をもち、その関係をよりよいものにするという視点である。CRM(Customer Relationship Management)の領域(図3)であり、EC(Electronic Commerce)やデジタルマーケティングなど、現在ビッグデータの活用シーンとしては、もっとも多いところである。日本ユニシスでも、この領域には並々ならぬ力の入れ方をしている。

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図3 CRM領域:ソリューションマップ

 次に、「産業インフラの自動制御」、「社会インフラの運営効率化」であるが、ここでは、国民全体が身近にメリットを享受しうる領域である。たとえば、走行中の車に搭載したドライブ・レコーダから大量のデータが高頻度で発生するケースである。これらデータを分析することで、道路の渋滞情報や事故情報などから回避ルートを設定することができる、といった具合である。

 この領域は、かなり拡大するとみられており、民間のみならず、国民の生活レベルの向上をめざして、国家レベルでも精力的に取り組んでいるところである。

 さらに「企業統制の運営管理効率化」では、ビッグデータを収集して、法の遵守やセキュリティの強化、犯罪の防止などで役立てる、といったシーンが考えられる。たとえば、画像を瞬時に分析して、不穏な動きがないか、などの事前察知などに活用される。

 また、業種を問わず活用が考えられる領域もある。たとえば、ビッグデータを支える核となる技術であるHadoopを利用して、これまで非常に時間がかかっていたバッチ処理時間を、分散処理技術により、格段に短縮させる、といったシーンである。

 こうした適用シナリオ例では、一つ一つ使用する技術も異なるし、またどのようなデータを収集すればよいのか、も異なるので、日本ユニシスでは、お客様と一緒にこれらを整理してビッグデータの活用を支える専任の担当者を用意している。

 

事例及び想定例でみるビッグデータの活用

 ここでは、前記4つの適用シナリオをより具体化させるために、日本ユニシスにおける代表的な事例(想定例含む)を示した。ここで紹介する事例は主として、(1)~(3)が図1でいう「カスタマ・インテリジェンス」の、また(4)と(5)が「業種共通」のケースとなっている。

(1)自社SNS(Social Networking Service)で市場の声を分析

 これは、小売業における事例で、ツイッタやフェイスブックなどを利用して、Webマーケティングの一環として、会員向けのWebコミュニティ・サイトに寄せられるクチコミ情報を分析しようというものである(図4)。

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図4 自社SNSによる市場の声の分析

 この小売業では、自社のホームページ内にユーザ間のコミュニティ機能を実現させるためにクチコミ・サイトを設けている。ここではユーザどうしが、この小売業の商品について投稿している内容をもとに、今後の商品開発にも活かそうというものである。具体的には、ここから取り込まれた大量のクチコミ投稿によるデータを、日本ユニシスのソーシャル・メディア対応のテキスト・マイニング・ツールであるTopicExplorerを用いて、商品の評価を視覚的に把握したり、あるいは売上げや評点などの数値項目との相関も分析できるようにした。それにより、どの年齢からどのような声があるかが把握でき、評価の高い年齢層に向けてプロモーションを強化するといった、販売戦略がとれるようになる。当然、新商品企画へのフィードバックも可能となった。

 これにより、商品に対する評価や、これまで想定もしていなかった利用シーンが発見でき、ひいては新しい訴求方法の発見にも結び付いた。また、キャンペーンの効果を可視化でき、それが浸透した購買層の把握を容易にした。さらに、社内情報である売上げと社外からの情報であるクチコミ中のキーワードの関係を可視化でき、今後の販売戦略の強力な手段とすることができた。

(2)モニタ・アンケート分析

 これは、マーケティング業における事例である。各種レポートを作成するコンサルティング会社が、2つのソーシャル・ゲームに関するモニタ・アンケートをTopicExplorerを使って、比較分析するというものである(図5)。

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図5 モニタ・アンケート分析

 これにより、モニタ・アンケートの自由回答欄を分析し、それを有効活用することで、ユーザレポートの内容を強化できるようになった。

(3)市場の声を分析

 これは、芳香剤を扱う日用品メーカの例である(図6)。芳香剤とはいってもある種の香りをつけることになるが、この企業では、どの香りに人気があるかが、売れ行きが決まる重要なキーポイントになると考えている。これまでは、それを知るためにアンケートをとる専門会社に委託し、企画段階から試作品段階、そして製品化段階などと、その都度アンケートをとっていた。その方法では、タイムラグが伴い、またコストもかかる。

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図6 市場の声の分析

 そこで、圧倒的にデータ量も多いソーシャル・メディアからのクチコミ情報を利用することにした。すなわち年齢はじめ評点、投稿日時、クチコミ原文などソーシャル・メディアの情報をTopicExplorerで分析することで、マーケットの香りのトレンドや自社の香り商品の評判分析などを明確に得られるようになった。

 また、このような分析を行うことによって、他社に先駆けた製品リリースや、消費者の声や社内情報を加味した製品開発なども可能となり、業務プロセスの効率化におおいに貢献することとなった。

(4)準リアルタイム帳票作成

 これは流通業における事例(図7)で、ビッグデータというとデータ量を取り沙汰されるが、むしろデータの鮮度を活用する例である。DWH(Data WareHouse)を中核としたシステムを構築する場合、基幹系ホストコンピュータからのデータを夜間に取り込み、翌日出勤した営業担当者がそれをみて、何かの判断をする、という使われ方が多い。そこには明らかに、タイムラグが発生してしまいがちである。この例では、データの取り込みを30分ごとに行うことで、ほぼリアルタイムに近いDWH環境を構築した。この対応により、営業担当者が見るデータの鮮度が高くなり、よりタイムリな判断ができるようになった。

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図7 準リアルタイム帳票作成

 すなわち、営業活動の指標データ鮮度がアップすることで、事業部門の営業戦略策定に利用されていたデータが、担当営業ごとの日々の営業活動に利用できるようになるし、この結果、売上げや在庫などの変化に現場が即座に対応できるようになったのである。

(5)バッチ処理時間の短縮

 これは、流通業における事例であるが(図8)、各店舗で商品の売れ行き状況をみながら、どれくらい発注するとよいか、を支援するシステムである。

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図8 バッチ処理時間の短縮

 過去の大量の在庫データを長きに亘ってストックすることが要求されるが、店舗数が増えてくると五月雨式に入ってくるデータの中、処理はオーバフローしてしまう。

 そこで、これまでのホストコンピュータではこうした状況には対応しきれないので、クラウド環境も利用しながらHadoopクラスタにより大量データの更新処理を実現させ、その後自動発注につなごうというものである。このHadoopクラスタの並列分散処理によりバッチ処理時間は大幅に短縮できるなど、スループットを向上させることができる。

 ビッグデータの活用事例を紹介してきたが、とくに上記(1)~(3)のように市場の声をビジネス展開上の参考にするとき、注意が必要となる。すなわち、ツイッタなどは概して若い人向きといえるので、これによって高齢者の声を分析するというのは、無理な話となることが多い。また、対象者の特性等の分析が必要な場合はツイッタからでは無理で、アンケートやクチコミ・サイトからの方が適している。何を分析したいのかで、データソースを選択したり、組み合わせたりする必要があろう。

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 ここでは、ビッグデータの取り扱いにおいて、とくにはふれてはいなかったが、セキュリティ対策はいうまでもなく、必須事項である。とくに、大量のデータにおいては、個人情報が絡んでくる場合もあるので、慎重な取り扱いが必要であろう。日本ユニシスでも、この点を重視しており、暗号化ほかさまざまな技術をもって取り組んでいる。

 これまでは、ユーザサイドのシステム構築でビッグデータ・ソリューションを実現させるというものであった。しかしこれからは、日本ユニシス自身がビッグデータを収集し、ユーザからの要望を聞いて、利活用基盤により意味のある結論を導き出し、ユーザにフィードバックするようなビッグデータ・ソリューションを目指している。むしろそのような形態は、今後の確かな流れになるだろう。

 

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