ITソリューション企業総覧2015Web
電通国際情報サービス(ISID)

電通国際情報サービス(ISID)

01_総合システム構築 ITソリューション企業編

 

モデルベース開発(MBD)支援と
電通協業の拡大を最重点テーマに据えるISID


電通国際情報サービス(ISID)

www.isid.co.jp/


 電通国際情報サービス(ISID)は製造や金融業向けソリューションに加え、親会社の電通との協業拡大に力を注いでいる。製造業向けでは設計開発に変革をもたらす「モデルベース開発(MBD)」手法で先陣を切る一方、電通協業では2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に新たな取り組みを始めた。

 

モデルベース開発(MBD)支援で新展開

 MBD関連では「iQUAVIS(アイクアビス)」が中核製品となり、自動車業界を中心に70社以上への採用実績を持つ。iTiDコンサルティングやISIDエンジニアリングなどのグループ会社とともに、設計開発プロセス最適化に向けたコンサルティングサービスや、高精度なモデル生成を支援するエンジニアリングサービスなど、トータルなMBDソリューションを提供している。

 iQUAVISは一言でいえば「考えるためのツール」。3次元CADで形状設計を具体化する前の構想段階で、人の頭の中の考え方を見える化し「皆の英知を結集し、従来型の改良設計では到達できない新しい設計案を生み出すことができる」(荒木克文ISIDエンジニアリング取締役)。

 1月にはiQUAVISの最新版(3.0版)を投入した。エンジンや車両などの開発で求められる大規模なチーム設計の支援に加え、既存の構成部品にとらわれず、目標達成に向けた理想的な技術シナリオの検討を支援する機能を実装した(図1)。

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図1 構想設計におけるiQUAVIS活用イメージ

 iQUAVISは欧米流のトップダウン型のMBD手法と、日本流のすり合わせ開発の両立が可能。開発初期からシステム上ですり合わせることで、手間とコストがかかる実機試作や開発の手戻りを大幅に減らすとともに、既存技術にとらわれずに技術革新に挑むことができる。

 3.0版では、製品に求められる要求、達成すべき機能や物理的な実現手段、技術的な課題対策、業務計画等のさまざまな情報を連携させ、トレーサビリティが取れた状態で、検討の粒度を段階的に詳細化していくことができる(図2)。

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図2 iQUAVISが支援するすり合わせ設計の段階的詳細化イメージ

 

 また、シミュレーション機能を強化し、設計の妥当性検証を可能とした。「未達の部分が明確に分かるため、限界値に向けてブレークスルーできる」(荒木氏)という。

 新設のISIDエンジニアリングはオンサイトでの技術支援やモデルの作成支援、ビッグデータ(大量データ)活用などに加え、知的情報基盤の設計・構築やエンジニアリング作業を支援する。目指すのは「日本の製造業が求める要求をいち早く取り入れ、勝てる技術を作ること」(同)。自動車以外にも複写機や精密機械などへの展開も本格化している。

 

2020年に向け電通協業を拡大

 ISIDは2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)のマーケティング専任代理店である電通との協業により、企業の新事業創出支援や新たなソリューション開発に取り組む。

 「日本に住む人たち、日本に来る人たちにスマートでワクワクする体験を提供したい。ITの力で美しい国ニッポンを感じてもらいたい」という想いを込めて、14年12月に新組織「2020テクノロジー&ビジネス開発室」を立ち上げた。

 街づくり、映像、観光の三つの領域に焦点を当て、都市計画やエンターテインメントなどの領域で多くの企業や機関とのコラボレーション(協働)を促進する方針だ。

 その中核となるのが新しい街づくりをITで支援するソーシャルシティ・プラットフォーム「+fooop!(プラフープ)」。大阪駅と直結した大型複合施設「グランフロント大阪(GFO)」での実証実験(写真1)で得た知見やノウハウを集約・発展させ、「スポーツをテーマとした街づくり」を提唱する。

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写真1 グランフロント大阪における実証実験の様子

 14年8月に発足した「スポーツ&ライフテクノロジーラボ」とも連携。センシングやウエアラブル技術などで得られる運動や健康のデータと、日常の行動履歴などのビッグデータを統合した街づくりを推進する(写真2)。「街の中に埋め込まれたさまざまなセンサーを活用して、そこに集まる人たちがスポーツを楽しみながら意図せずに街とつながる、といった新しい街のあり方を提案していく」(斎藤実コミュニケーションIT事業部長兼2020テクノロジー&ビジネス開発室長)。

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写真2 「スポーツ&ライフテクノロジーラボ」実験スタジオの様子

 映像分野ではスポーツをどう楽しむかがカギとなる。このためWi-Fiマルチキャスト配信プラットフォーム「potaVee(ポタビ)」や、多視点動画配信ソリューション「VIXT(ビクスト)」などを進化させるとともに新しい映像視聴体験の提供に取り組む。

 potaVeeはWi-Fiを活用したエリア限定型マルチキャスト配信技術で、エリアワンセグのような使い方ができる。免許申請不要なため、導入が簡単。信州大学では松本キャンパスのエリアワンセグ放送で配信しているコンテンツを県内5カ所のキャンパスのすべてで、スマートフォンやタブレット端末に同時配信できる仕組みを導入。平常時に施設案内や大学からのお知らせ情報を、また災害時や防災訓練の際には避難場所の位置や緊急伝達事項などを全キャンパスに一斉配信できる(写真3)。

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写真3 potaVeeによる平常時(左)・災害時(右)の学内放送例

 2020年に向けて外国人観光客がより便利に日本を楽しめるようなITソリューションが求められている。ISIDは訪日客一人ひとりに対して、観光・決済・情報閲覧などのサービスを一元化して母国語で提供する統合ICカードシステムの実証実験に着手している(写真4)。「決済も含めて、観光に必要なことをカード1枚ですべてできるようにする」(斎藤氏)のが狙い。こうした街づくりは2020年以降の新しいビジネスにもつながっている。2020年に向けたさまざまな事業拡大機会を捉えるべく、ISIDは大きく踏み出そうとしている。

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写真4 実証実験用ICカードをサイネージにかざすと、母国語でメニューや施設案内が表示される

 

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