ITソリューション企業総覧2015Web
新日鉄住金ソリューションズ

新日鉄住金ソリューションズ

01_総合システム構築 ITソリューション企業編

製鉄業で培った技術とノウハウで
24時間365日稼働続ける堅牢・高信頼システム
~多様な業界で導入進む~


新日鉄住金ソリューションズ

www.nssol.nssmc.com/


 

 新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は、大規模ITユーザーである新日鉄住金の情報システム部門をその前身としている。ここに、ユーザーおよびモノづくりの両立場から成長を遂げてきたシステムインテグレータ(SIer)としての実績と誇りが、他競合にはみられない大きな強みとして地位を確立している。

 

「鉄のDNA」が実現させた他業種への堅牢かつ高信頼のシステム

 もともと製鉄業のシステムは、24時間365日ノンストップ稼働でなければならない宿命にあり、戦略的な経営管理や精密な生産工程管理が不可欠だ。したがって、こうした製鉄現場での業務経験で培われてきたインテグレーション力とシステムライフサイクルサポートの技術やノウハウの蓄積が、いわば「鉄のDNA」としてNSSOLの原動力となっている(図1)。

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図1 新日鉄住金ソリューションズの強み

 NSSOLが投入する数々のソリューションは、新日鉄住金向けに限らず、製造業をはじめ流通、金融、官公庁、通信ほか、多様な業界顧客に対しても、最新ICTを取り入れた堅牢かつ高信頼システムとして導入が進められているところだ。

 図2には、NSSOLが提供するソリューションの業種別売上げ構成を示した。図2からも明らかなように、売上げの80%以上が、新日鉄住金以外の一般の顧客向けで構成されている。

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図2 業界別の売上げ構成(2014年3月期)

 

「鉄のDNA」から生まれたソリューション
―列車運行計画変更支援システムやJリーグ試合組合せなどにも応用―

 鉄のDNAで育まれたソリューションの例を紹介しよう。

(1)組合せ最適化の応用

 とくに、製鉄現場における実績に由来する強さの一例として、「組合せ最適化」に基づくソリューションがあげられる。たとえば、船積みの例だ。1種類の製品を船積みし、1カ所で下ろせばよい、という単純なものではない。現実には、船積みされる製品の種類は100を超え、その重さは数トン~数十トン。それを二段積みにし、複数個所で船下ろしするので、下ろす順番や前後左右の重量バランスを考慮し船積みしなければならない。当初は熟練工たちの経験や勘に頼って、対応していたので時間も要していたが、いまではシステムによる自動化対応で格段にパフォーマンスも向上していることは言うまでもない。

 こうした鉄の世界で培ったものが、鉄以外の世界でも応用されている。たとえば「列車運行計画変更支援システム」だ。時刻通りの運行を誇るわが国の鉄道であるが、一度事故などが発生すると、列車ダイヤは大幅に乱れ、列車は大幅に遅延してしまう。そこで、NSSOLが開発した組合せ最適化を用いたシステムを利用すれば、数秒から10秒程度での変更案作成を可能とし、列車の安全運行に貢献している。ほかにも、Jリーグ・サッカーの試合日程の組合せや、モノづくりにおける調達から生産、出荷などSCM(Supply Chain Management)などへの支援にも応用されている。

 製鉄業には実にさまざまな制約条件があるが、複数の選択肢を選ぶ際に、たとえば距離やコストなどを最小あるいは最大にするといった組合せ最適化に対する実績経験が、こうしたところにも大きく生かされているのだ。

(2)鉄の熱伝導の数理モデルを金融分野に応用

 また、製鉄業で培った数理モデルの活用ノウハウが活かされたものとして、大手金融機関向けにわが国初の「デリバティブシステム」が納入された事例がある。熱伝導の場合、大きな反応や刺激が発生すると、さまざまな方向に広がっていくが、金融の世界でもさまざまな要素が入ったときに、どのような変化が起こるのかシミュレーションをする必要がある。熱伝導方程式を基礎とした鉄の熱伝導の数理モデルと、金融工学でデリバティブの価格を決定する数理モデルの類似性を見つけ出した一例だ。このように、全く異なる業種でも本質的な共通性を見出し、鉄で培った経験やノウハウを活用し、いまでは、金融デリバティブシステムといえばNSSOLといわれるほどまで業界での評価も高まっている。

 

「鉄のDNA」を堅持させるソフトウェアファクトリの重要な役割

 NSSOLでは、システム開発において“品質”および“信頼性”を重視している。この2点を強力にサポートしているのが「ソフトウェアファクトリ」だ。ここでも、製鉄業で培った生産管理ノウハウが脈々と息吹いている。ソフトウェアファクトリは、「アプリケーションアーキテクチャの標準化」をはじめ「クラウドサービスの活用」「教育・利用支援」「PDCA(plan-do-check-act)による組織的な改善」の4つの基本方針で構成されている。

 こうした中、クラウドの活用はソフトウェアファクトリの最大の特徴といえるであろう。NSSOLが誇る「absonne」(アブソンヌ)と呼ばれる最先端ITインフラサービス上に、社内共通で利用可能な開発・テスト環境や豊富なプロセス管理ツール群で構成される「NSSDCクラウド」を構築し、可用性をはじめ信頼性、機密性、安全性を確保した状態での開発が進められているところだ。

 このクラウド化された開発・テスト環境のおかげで、開発・テストはいつでも開始可能で、さらに標準化された環境で繰り返して開発を進めることにより、開発の生産性および品質向上を実現させている。加えて、開発に伴いがちの無理および無駄を排除し、安定した品質と工期の短縮化も実現できる。

 

ハードウェアを作らないSIerがなぜ研究所をもつのか

 メーカーが研究所を所有することは、決して珍しいことではない。しかし、SIerであるNSSOLが研究所を擁しているという事実は、極めて稀なことであり、特筆すべきことだ。3研究部、約200人体制のNSSOLの「システム研究開発センター」では、実に先進的な取組みが展開されており、同社技術力の源泉ともなっている

 かつて、オブジェクト指向がまだ大学における研究機関での取り組み対象であったころ、NSSOLでは、前記の金融機関向けデリバティブシステムにオブジェクト指向を実装したいきさつがある。1995年のことだ。

 システム研究開発センターでは、ITインフラからアプリケーション、サービスにいたるまでの領域で、単に最先端新技術や新製品を追及するということにとどまってはいない。むしろ、世界にある新技術の検証を自ら行い、顧客に対して真にメリットをもたらすことが確証を得られれば、顧客へのシステムに導入していく。いわば3年後の顧客のビジネスに役立つ技術を実証検証しているのである。

 研究開発に加えて、難易度の高いプロジェクトに研究員自らが参画し問題解決をはかる事業支援にも取り組んでおり、NSSOLが提供する高品質なシステム開発の一翼を担っている。さらに、研究開発や事業支援の知見や経験をもとに、産学連携や社内技術教育のサポート活動を通じて次世代を担うプロフェショナルな人材育成にも取り組んでいるのだ(図3)。

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図3 システム研究開発センターの3つの柱

 システム研究開発センターにおける最近のホットなテーマ例としては、AR(Augmented Reality)があげられる。NSSOLは、ARには2009年から取り組んでおり、2011年には米国のVuzix社と共同でARメガネを開発した。たとえば、配線用ラックの点検作業に際して、企業における技能伝承にもつながるような作業マニュアルデータを作業者のARメガネに表示させれば、実際の装置および配線状態の上にARメガネに表示された指示を重ねて点検することができ、どこを点検する、どのケーブルをどのポートに接続しなおせばよいのか、などがリアルにかつ具体的に、作業者にとっては一目瞭然となるのである(写真1)。

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 このARメガネは、作業者の安全性や作業のしやすさ、画像および立体物にも画像を重畳可能にしたことなどが評価されて、2011年に米国で開催された「CES2011」で“Innovation Award”を受賞した。

 

さらにあゆみ続ける「鉄のDNA」

 いま、産業界では、ミッションクリティカル性を不可欠とするシステムのニーズが増大しつつある。NSSOLには、日本で初めてそうしたニーズに応えるべく24時間365日ノンストップのシステムを構築した先駆者としての誇りがある。

 NSSOLは、高度な信頼性と業務知識が求められる製鉄現場のシステムを長年にわたって支え続けてきた。そこで培われた技術を実に上手く別の領域でも生かすことができるノウハウを引き継いできている。こうした環境は、これからもNSSOLの大きな強みとしてビジネスを推進させていくにちがいない。

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