ITソリューション企業総覧2015Web
インタビュー/三菱電機 南澤 一成グループマネージャー

インタビュー/三菱電機 南澤 一成グループマネージャー

特集 特集1 日本の「モノつくり力」を向上させるICTソリューション

IoTやシーケンサなど先端技術を中核に
工場をまるごと“見える化”するe-F@ctory


三菱電機 南澤 一成グループマネージャーに聞く

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 モノづくりを担う工場では、生産現場のシーケンサと、IoTや先端ICTを駆使し、上位システムと直結し、“見える化”を図ることが重要だ。それにより、開発はじめ生産、保守に亘り最適化を実現し、トータルコストを削減することができる。

 ここでは、三菱電機機器計画部制御システムグループグループマネージャー南澤一成氏に、「e―F@ctory」がもたらす“見える化”ソリューションを聞いた。

 

“見える化”の主役はコントローラ「シーケンサ」とIoT環境

 モノづくりにおいて中核となる機器の代表格が、コントローラ機器であるシーケンサだ。シーケンサは、工場内の設備や装置の制御を行う、いわば日頃馴染み深いPCの役割を果たすものである。

 生産現場では実績データや計測データなど多くの重要なデータが機器類やセンサ類から集積される。こうしたデータは即座に生産のために活用されるデータもあれば、ITシステムに蓄積してトレーサビリティなど、万が一のトラブルや品質改善、生産性向上など業務改善などに活用されるデータもある。生産現場で使うデータとITシステムに送るデータの分岐を行い、生産現場とデータベースそれぞれのフェーズをシームレスにつなぐことが求められている。これらを実現するソリューションが、三菱電機が2003年から推進してきているe―F@ctoryだ。しかし、同社のFA機器だけでは解決できないITシステム部分やセンサ部分については、e―F@ctory Allianceパートナーと協力し、技術連携を図った製品も多くラインナップしている。

 e―F@ctoryで構築された工場内システム例を図1に示した。

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図1 e―F@ctoryの概念

 

IoTでモノづくりの支援を行うFA統合ソリューション「e―F@ctory」

 三菱電機では、2003年からFA統合ソリューション「e―F@ctory」と呼ぶコンセプトを様々な企業に対し、提案している。実は、いま注目されるドイツのIndustrie4.0よりも早くから、とくに工場システムの“見える化”についていえば、e―F@ctoryの歴史ははるかに長いものがある、という。

 当初から、e―F@ctoryコンセプトは、生産管理システムや省エネ監視、稼働情報管理をいかに経営情報として“見える化”するか、に重点をおいており、現場の動きやラインの稼働状況、品質状況を上位のMES(製造実行システム)に上げることが最重点課題であったのである。

 一般的に、こうした役割は前記のように、PCが受け持っていたが、その役割をシーケンサに置き換えたのがe―F@ctoryコンセプト誕生のそもそものキッカケだ。2003年当時もそうであるが、PCのOSは頻繁にバージョンアップを繰り返されており、それに伴い工場現場でもプログラムの変更を強いられかなり、困惑させられていた。そのようなとき、注目したのがシーケンサであった。シーケンサは、OSのバージョンアップがないため、そのようなプログラムの変更もなく、さらに長期安定供給しているため、安心して使うことができたのである。かつ、上位に転送する際、図1におけるMESインタフェースとの連携が容易であり、工場の“見える化”も実現しやすくなる。

 

IoTを活用しe―F@ctory化したモデル工場

 三菱電機名古屋製作所では、IoTを活用してe―F@ctory化したモデル工場を稼働、ここでは、情報を統合化したFA製品を中心に生産システムを構築している(図2)。

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図2 e―F@ctory化モデル工場

 

 たとえば、サーボモータ工場ではMESインタフェース中核のシステム構成をもとに、情報システムと制御システム・装置の連携を実現、リアルタイムな品質管理で品質向上を実現させている。モータの製造には、ステータやロータ、モータ組立てラインがあるが、こうした工程の監視情報はじめ品質管理情報、稼働管理情報、消耗性治工具情報などに関連したデータを収集してMESで集約する。このデータがまさに、図2の各ラインにおける数多くの現場装置に取り付けられたIoT環境にあるセンサ群から得られるビッグデータだ。そして品質分析ツールやラインモニタ、設備稼働分析ツールなどでラインモニタリングしている。

 こうした結果、設備稼働率は190%にアップし、生産性は180%アップ、システム構築コスト65%ダウンを実現させた。また、リードタイムは50%ダウンし、さらに加工時間は40%ダウン、製造工期60%ダウン、品質ロス50%ダウン、エネルギーコスト10%ダウンさせるなど、数々のe―F@ctory導入効果をはじき出すことに成功している。

 なお、サーボモータ工場に引き続いて、マグネットスイッチ工場やブレーカ工場などにもe―F@ctoryの導入は進んでいる。

 

デジタル空間を利活用するこれからのモノづくり

 これからのモノづくりは、デジタル空間を利活用するモノづくりが進んでくる、という。

 すなわち、市場情報の収集やこれを分析した傾向予測に基づいて、各工程でデジタル空間の利活用が進むのである。このデジタル空間がまさに、広義のIoTで、この環境と現場をいかに結び付けてシステム化するかが、重要なキーポイントだ。

 このような傾向は、もちろん前記したように既に取り組まれているところもある。具体的な工程でいうと、たとえば、製品開発・設計工程では、3DデザインやVR(バーチャルリアリティ)、試作・評価工程では3Dプリンティングや評価データの蓄積、生産・試験工程では自動化やモニタリング、消費エネルギー管理、梱包・出荷工程では自動包装/発送、トレーサビリティなどのデジタル空間利活用が行われる。

 なお、ここで紹介したe―F@ctoryは、自動車や太陽電池、二次電池、精密機器、半導体、食品、金属加工業界ほかにおいて、これまでに全世界で100社、5000件以上のシステムが稼働中という実績をもつ。

 

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