ITソリューション企業総覧2015Web
インタビュー/NEC 関 行秀部長

インタビュー/NEC 関 行秀部長

特集 特集1 日本の「モノつくり力」を向上させるICTソリューション

長年蓄積された
モノづくりの確かなノウハウで
わが国製造業を活性化


NEC 関 行秀部長に聞く

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聞き手:ITソリューション編集部


 モノづくりニッポンといわれるわが国製造業でもいま、「大量在庫にもかかわらず欠品が発生」をはじめ「正確に納期回答ができない」、「工場のどこに何があるのか不明」、「設計情報のグローバル共有ができず開発リードタイムが長くなる」などの課題を抱え、モノづくりにおける仕組みの革新・強化が求められている。

 こうした深刻な課題に対処するためNECでは、失敗さえも栄養にしつつたゆまぬ実践努力で築き上げてきた「ものづくり共創プログラム」コンセプトでわが国製造業を支援、活性化をめざしているところだ。

 ここではNEC第一製造業ソリューション事業部販売促進部長 関 行秀氏に、その肝となる部分を中心に聞いた。

 

顧客のモノづくり支援は
システム構築のみならず業務改革支援が肝要

 「ものづくり共創プログラム」が立ち上がったのは2012年12月だ。周知のように同社は、サーバはじめPC、ストレージ他を提供したりシステムのインプリメンテーションを行うICTベンダだが、単にシステムやプラットフォームを提供するにとどまらず、顧客の価値を創出させるようなソリューション提供を最重点課題に据えている。

 したがって、顧客からRFI(Request For Information:調達に関わる情報提供依頼書)やRFP(Request For Proposal:システム提案に関わる依頼書)があっても、それらに応えてシステム化することが、顧客にとってベストか否か、を考慮すると必ずしもそうではない局面も生ずるので、顧客サイドの業務改革も含めて提供・支援する。このことが、わが国製造業をより強固にするというコンセプトおよび信念で活動している。

 

失敗経験こそ確かなモノづくりに貢献

 重要なことは、モノづくりにおける生々しい実績、すなわち失敗なども含めて、実に赤裸々な形で顧客に接し、“ありのまま”を伝えることだ。同社も1990年代に前記の深刻な課題に直面、国内工場の存続が危ぶまれたことがあった。その時点でサプライチェーン全体の刷新に取り組まなければモノづくりの継承はなかったかもしれない、と振り返る。したがって、顧客が身をもって実体験できるよう同社の工場訪問にも積極的に対応している。

 実は、システムを導入しても、そこに業務プロセスの標準化がなければ、グローバル展開する際、次から次にアドオンになり、さまざまなカスタマイズが発生して、ガバナンスが効かなくなる。また、個別最適の仕組みに陥りがちにもなり、システム導入に走りすぎた結果、現場改革がうまくいかないのである。

 そこで、“見える化”の仕組みをどう作るべきか、などを顧客に伝えているのだ。

 

モノづくりでキーポイントとなる4つのコンセプト

 ものづくり共創プログラムは、NECが長年蓄積してきたノウハウに基づいており、大きく4つのキーポイントとなるコンセプトがある。

 まず「匠」だ。これは、まさに匠たる現場担当者が顧客現場を訪れ、業務プロセスの標準化や効率化に取り組むなど改革改善の指導を行う。こうした際NECの強みは、二つある。

 第一が、実にさまざまなモノを作っている点だ。たとえば、人工衛星など個別受注生産からPCやサーバなどの受注生産、プロセス系の生産まで実に多彩で、それだけに改革改善には経験豊富である。第二が、単に時間短縮にとどまらず、調達から販売までのサプライチェーンの高度化や最適化ができる点だ。すなわち、サプライチェーン全体を可視化させて、在庫場所などムダを把握できる。これら顧客支援にかかわる二つの強みで実現する業務の標準化は極めて重要で、自社工場をみせたり顧客の工場をみたりで、顧客からの評価も極めて大なるものがある。

 次が「繋」だ。業務とICTシステムを繋いで、システムのインプリメンテーションやサービスを提供することで顧客支援を行う。サプライチェーンの仕組みや全体の再構築には、現場改善や業務プロセス革新とともにシステム改革は要になる。この現場改善・業務プロセス革新とICTシステムを繋いだ一体改革を提供し、生産現場の効率化や業務標準化、グローバル対応を実現させる。まさにNECのお家芸たるICTによるグローバルなモノづくりの土台がここで構築される(図1)。

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図1 グローバルを含めた企業全体のサプライチェーンを標準化・統合化

 そして、次が「活」かすだ。これはコンサルティングやシステム導入に加えて、NECグループ保有のモノづくり・SCM構築に関わるアセットを提供する。たとえば「製造受託(EMS)サービス」やグローバルな部品の調達業務、保守・サポート品質管理などを行う「業務受託サービス」ほか多種多様なアセットが用意されており、自社コア領域に注力できる環境を整備するとともに、SCM全体のさらなる効率化、設備の安定稼働、コスト削減、法の遵守、BCP対応などを支援する。

 そして、最後が「共」に、である。これは、NECグループの工場見学会や顧客どうしでさまざまな情報交換・共有できる場「ものづくり研究グループ」を提供、ここでの交流を通じて新たな発見や気づきを得ることができる。同社ではこのための交流会の会員を募っているが、これまでのメンバーは、ほとんどが情報システム部門以外の顧客たちという。2015年1月現在、520社、1300名超の会員からなっているが、あくまで会員同士が課題をもちよりコミュニケーションをはかり、NECグループの工場に加えて互いの工場見学会などにも取り組んでいる。

 

モノづくりを支援するこれからの新しいソリューション

 いま、インダストリー4.0にもフォーカスし、ICTによる工場の見える化や生産性効率向上などを検討するユーザが目につくようになってきた。NECでは、日本の製造現場は、さまざまな改善活動を続けてきたことで洗練されており、これを支援する各情報システムもインダストリー4.0の発想に近い。

 だが、システムを超えた連携を考えると、タイムラグやリードタイムが発生するので、重要なのはそれらを超えたシームレスな仕組みを作って経営層や営業から生産現場までを繋ぎ、一体となって市場の要求に柔軟で迅速に応えうる体制をつくることである(図2)。

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図2 インダストリー4.0時代のモノづくりシステム

 またビッグデータについては、2014年12月の「ものづくり研究グループ」でも、物流や在庫の最適化をめざす現場から、これまで勘頼りの部分をロジカルに出せるのでは、とその利活用に関心がよせられるようになっている。NECおよびNECフィールディングは2014年、ビッグデータ分析を活用して、製造業の共通課題である補修用部品在庫量の最適化を支援するソリューションを投入した。サプライチェーンにおけるデータ同士の関連性を自動抽出して、状況の変化が起こっても高精度で需要予測できるようになっており、いよいよ製造現場にも押し寄せるビッグデータの波音を感じさせるようになってきた(図3)。

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図3 補修用部品在庫量の最適化システム

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