環境ソリューション企業総覧2015Web
大陽日酸株式会社

大陽日酸株式会社

■環境ソリューション企業編 09_環境対応型技術・製品編

超電導電力機器向け冷却システムへの取り組み


大陽日酸株式会社

www.tn-sanso.co.jp/


 電気抵抗がゼロとなる現象は一般的に超電導と呼ばれ、特定の材料を-200℃以下まで冷却することで得ることができる。この特長を活用すると効率的な電力機器や強力なマグネットが実現可能となるため応用研究が幅広く進められている。このうち送電ケーブルへの応用では、都市部の既存送電網の大容量化、直流送電における送電損失(電圧降下)低減、漏れ磁場のない送電網の実現などの経済的および環境負荷低減のメリットが期待されている。超電導の分野では液体窒素温度(-196℃)域の冷却で超電導現象が作り出せる高温超電導材料が30年ほど前に発見され、液体ヘリウム温度(-296℃)までの冷却を必要とする低温超電導と比べて冷却に必要なエネルギーを飛躍的に低減することが可能となった。

 超電導電力機器用冷却システムの模式図を図1に示す。超電導電力機器では飽和温度以下(サブクール)の液体窒素を循環させ機器を極低温状態に保つのが一般的である。液体窒素は冷凍機で冷やされ超電導電力機器に戻される。

 大陽日酸では超電導電力機器の冷却に不可欠な冷凍機、液体窒素循環システム、超電導電力機器を収納する容器(ケーブル端末)および遠隔監視システムなどを組み合わせて冷却システムを構築しユーザーに提供している。特に冷却システムの核となる冷凍機については、同社の空気分離装置で培われたターボ圧縮機や膨張タービン技術の活用により自社開発した。2013年5月には、ネオンを冷媒とするターボ式冷凍機(冷凍能力2kW)を超電導電力機器向けとして世界で初めて商品化した(図2)。超電導電力機器の分野では冷凍機の冷凍能力、冷却効率、メンテナンス性に対する改善要望があり、同社の冷凍機は従来の冷凍機に比して、冷凍能力を約2倍に高め、メンテナンス間隔を4倍以上に伸ばすことに成功した。現在、北海道の石狩市で進められている超電導直流送電プロジェクトに3台の冷凍機が既に納入され運用が開始されようとしている。

 今後の超電導ケーブル実用化研究では長さ1km程度のケーブルを冷却するために10kW級冷凍機へのニーズが高まりつつある。超電導機器の実用化に合わせた研究・開発に積極的に取り組むことで、超電導機器の普及による環境負荷低減に貢献することができる。

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図1 超伝導電力機器用冷却システム模式図

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図2 超伝導電力機器向けターボ式冷凍機

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