環境ソリューション企業総覧2015Web
月島機械

月島機械

■環境ソリューション企業編 08_総合ソリューション

「環境・エネルギー分野への注力」で、
最新の汚泥処理システムと
ビジネスモデルを提供


月島機械

www.tsk-g.co.jp/


 月島機械グループは、中期経営計画(平成25年4月~平成28年3月)において「環境・エネルギー分野への注力」、「海外ビジネスの拡大」、および「全社コストダウンの推進」を重点施策としている。主な事業として、上下水道設備を主要マーケットとする水環境事業[官公需]と、国内外の化学、鉄鋼、食品等の産業用設備および廃液や固形廃棄物処理等の環境関連設備を主要マーケットとする産業事業[民需]の2つを展開している。

 水環境事業においては、PFI、DBO事業や包括O&M業務、FIT制度を活用した消化ガス発電事業などの「ライフサイクルビジネス」による安定収益化を推進し、産業事業においては、新興国や資源国へ各種プラントの提供とともに、廃液燃焼システムや固形焼却設備など環境関連プラントの営業活動を積極展開することで、海外ビジネスの拡大を図っている。

 浄水場および下水処理場は人々が生活していく上で、無くてはならない重要な社会インフラの一つである。現在、そのインフラを安定稼働させるとともに、稼働に必要な消費エネルギーおよび排出される温室効果ガスの削減、ならびにエネルギーの有効利用として下水汚泥などのバイオマス資源を活用していくことが求められている。

 月島機械はこの市場ニーズに応えるため、「汚泥燃料化システム」と「次世代型汚泥焼却システム:過給式流動燃焼システム」、それに加え「FIT(固定価格買い取り制度)を活用した消化ガス発電事業」の営業展開を推進している。

長期安定的なリサイクルシステムを確立、
着実に実績を積み上げる

 以前より、汚泥の有効利用技術は数多く開発されてきたが、有効利用技術から製造される品(モノ)を利用するユーザーの確保が困難だったため、技術が普及していくことは少なかった。「汚泥燃料化システム」は、技術の開発とともに長期安定的なユーザーを確保し、「汚泥燃料化事業」を実現するという視点に立ったビジネス開発の側面も持つ。よって、燃料としての価値が高く、その燃料を使用するユーザーが継続的に引き取る仕組みであることが求められる。その実現を図るため、月島機械は電力会社である電源開発(株)(Jパワー)との共同研究を推進してきた。

 その結果、「低温炭化技術」と呼ぶ新技術により、価値の高い(①高い発熱量 ②汚泥臭気の低減 ③自然発火性の抑制)燃料の開発・製造に成功した。

 両者は互いのニーズを共有し、また市場に受け入れられる形を作り上げることで、下水道業界に新しいビジネスモデルを確立したのである。

 汚泥燃料化システムにより製造された燃料は、Jパワーが保有する石炭火力発電所に燃料として供給され、石炭と混焼する。下水処理場側は下水汚泥の有効利用と処理時の温室効果ガス発生を削減でき、かつ石炭火力発電所側はバイオマス燃料を確保し、石炭由来の温室効果ガス排出量を削減することができる、画期的なビジネスモデルである。

 既に両者は本システムを活用した大型案件を5件獲得しており(図2)、汚泥燃料化のリーディングカンパニーとして位置づけられている。今後も、大・中規模自治体を中心に、両者共同で営業活動に注力していく予定である。

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図1 汚泥燃料化のエネルギー循環イメージ

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汚泥焼却処理に伴う省エネルギーと温室効果ガス削減の切り札

 汚泥燃料化システムが登場するまでは、下水汚泥は減容化および無害化するために焼却もしくは溶融処理が進められてきた。これらは減容化および無害化するには最良の処理であるが、処理に伴う消費エネルギーが膨大であり、昨今の地球温暖化防止の流れの中では、消費エネルギーの削減が自治体から求められていた。

 そのような状況の中、月島機械では汚泥焼却処理の消費エネルギーを大幅に削減する最新技術の開発に力を入れていた。その技術の名称は「過給式流動燃焼システム」。平成13年頃から、国立研究開発法人土木研究所、国立研究開発法人産業技術総合研究所、他の焼却炉メーカーとの勉強会から派生した共同研究をスタート。平成17年には実証プラント稼働を目指し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究に採択され、実証を進めた。

 過給式流動燃焼システムの技術概要は、主に図3のとおりである。

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図3 過給式流動燃焼システムの技術概要

 下水汚泥の焼却技術として業界標準であった「流動焼却技術」の良いところはそのまま残し、その稼働に必要な送風機類を簡素化することで省エネルギーを目指したものである。

 流動焼却技術は、炉本体下部の砂の流動に大きな動力が必要であったことと、排ガスの誘引に大きな送風機動力が必要であった。過給式流動燃焼システムは、その2点の動力を車や船舶で使用されている過給機(ターボチャージャー)で賄うシステムとして再構築したものである。過給機自体は動力を持たないが、燃焼炉を加圧状態で運転することで、加圧状態で炉外へ排出される燃焼ガスが過給機を駆動し、かつその過給機が大気から燃焼空気を炉へ供給する仕組みを担っている。上記2点の大型送風機を不要とすることで、全体消費電力の約4割削減を実現した。

 さらに加圧状態での燃焼をすることで燃焼効率が向上し、CO2の310倍の温暖化効果をもつN2O(一酸化二窒素)の生成を既存機種比で約半分に削減。また、加圧下での燃焼をさせることで炉の容積を小さくすることが出来るため、放熱面積を削減し燃費の向上にも寄与する。各種効果を組み合わせると、焼却設備の運転で発生する温室効果ガスを既存機種比で半減させることができる。このように「省エネ」と「温室効果ガス削減」の両方を大幅に実現した、画期的な次世代型焼却技術の開発に成功したのである。

 開発に成功した後は東京都下水道局との共同研究にも参画し、都の求めるシステムとしての長期運転データおよび信頼性の確保を実証。平成22年度には東京都葛西水再生センター向けに1号機を受注した。現在までに5機が稼働および建設中である。今後、昭和60年代、平成初期に建設された下水汚泥焼却設備の更新需要が出てくると予想されており、本システムは環境面での優位性を活かし、それら更新需要を取り込むための戦略技術として展開している。

 本システムは、その省エネ性能と技術的信頼性の高さが評価され、平成27年7月に社団法人日本産業機械工業会の優秀環境装置表彰において「経済産業大臣賞」(写真1)を、続いて同月に一般財団法人国土技術センター/沿岸技術研究センターの表彰において「国土交通大臣最優秀賞」を受賞した。

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写真1 日本産業機械工業会 経済産業大臣賞を受賞

再生可能エネルギーを活用したビジネスの開始

 また、昨年より下水処理場で発生する再生可能エネルギーである消化ガス(メタンガス)を燃料として利用し、発電した電力を売電するビジネスを開始した(図4)。
 月島機械は下水汚泥から発生する消化ガスを貯留するガスホルダのシェアとして80%以上を持ち、メタンガスの増量技術も併せて保有している。汚泥処理工程の全体とともに消化ガス回りの知見を活かし、焼却廃棄処理していた余剰のメタンガスを月島機械が買い取り、発電設備を自己投資により設置して発電する。発電電力はFIT制度*により電力会社等が買い取り、月島機械の収益となる。その収益からガスの購入代金と土地の賃借料等を自治体へ支払うスキームである。廃棄処理していた未利用エネルギーを活用することで自治体はより効率的な下水道事業を推進し、電力会社は再生可能エネルギーから生み出される電力供給を受ける。
 未利用の再生可能エネルギーを活用するビジネスであることから、今期以降も複数件の案件への対応を計画中である。自社グループで保有している汚泥処理技術を、既存のEPCやO&Mビジネスだけでなく新しい切り口として自らの事業投資にも活用している。
 今後も月島機械は、地球温暖化防止と再生可能エネルギーの普及拡大を進めることで、環境・エネルギー分野でのトップランナーを目指していく。
*FIT制度:固定価格買い取り制度のこと

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図4 全国8箇所における契約実績

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