環境ソリューション企業総覧2015Web
沖電気工業

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■環境ソリューション企業編 08_総合ソリューション

グループ環境方針を実践。
本業である商品・サービスの提供で
地球環境に貢献


沖電気工業

www.oki.com/jp/


 「情報社会の発展に寄与する商品・サービスの提供を通じて、次の世代のために、より良い地球環境を実現し、それを継承します」。これが沖電気工業(OKI)のグループ環境方針だ。商品・サービスの提供という本業で環境問題の解決に貢献する姿勢をはっきりと打ち出している。この方針の下、中期目標「環境ビジョン2020」では「低炭素社会の実現」「汚染の予防」「資源循環」「生物多様性保全」の4つのテーマを設定(図1)。生産など自らの事業活動はもちろん、商品でも4テーマに取り組んでおり、主力事業の中から低炭素社会の実現に貢献する商品が次々に生まれている。

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図1 OKIグループ環境経営の概要

 いま、外出先でATMを見かけないことはないだろう。銀行はもちろんコンビニエンスストア、商業施設、駅など公共交通にも設置されている。買い物や飲食の支払い、鉄道会社のIC乗車券にチャージしたい時もすぐに現金を引き出せる。

 身近にATMがあって便利だが、設置台数が増えるほどATM全体の消費電力が増大するのも事実だ。現金の引き出しや預け入れ、振り込みなど実際の操作に使われる電力の低減以外に、使われていない待機時の省エネ化も課題となる。

 いくら人口の多い東京都内でも、いつもATMが利用されているとは限らない。操作のない待機時間が続いてもATMには電源が入ったまま。利用者がATMの前に立った時にすぐに使ってもらうためだ。不便を感じさせずに待機電力を絞り込むことがATMの課題となっており、ATMメーカー最大手のOKIが解決に挑んでいる。

新ATMは待機電力を60%カット、メンテナンスの環境負荷も低減

 2015年から販売開始した新ATM「CP21Z」は待機時の消費電力を従来機比60%削減した(図2)。一定期間操作がないと自動で周辺ユニットの電源を切る「省エネモード」を搭載した成果だ。

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従来機に比べ待機時の消費電力を大幅削減

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コンビニや
スーパーなどの設置スペースに対応した
ATM「CP21Z」は環境配慮も強化

図2 CP21Z

 60%減ということは、CP21Zを2台設置しても待機電力は従来機1台分に満たない計算になる(CP21Zの1台の待機電力は70ワットなので2台だと合計140ワット。従来機だと1台で185ワット)。つまりCP21Zは設置台数が増えても消費電力の増加を抑え、社会全体の二酸化炭素(CO2)排出抑制につながる。

 CP21Zにはもう一つ、社会の環境負荷低減に貢献する革新があった。CP21Zは設置スペースが限られるコンビニなど店舗への設置を想定し、省スペース型として開発された。一方で現金の収納量を従来機よりも50%も増量した。警備員が現金の補充のために紙幣カセット交換に店舗に出向く頻度が減るので移動に使う車両の燃料を削減する効果が期待できる。間接的だが、メンテナンスの環境負荷も低減できるのがCP21Zだ。

 ATMはディスプレーだけみるとエレクトロニクス製品と思えてしまうが、メカトロニクス製品でもある。紙幣の搬送や収納の駆動部が多いからだ。「機・電」両方の技術と知見がなければ省エネと利便性・信頼性を両立できない。

 OKIの金融系メカトロニクス製品にはATM以外に現金処理機もある。金融機関の営業店舗の後方で現金の出し入れ、残高管理の端末だ。

 「CM21Ex」は標準的なオープン出納機として業界で初めてユニット省エネモードを搭載し、待機電力を50%削減した(写真1)。バラバラに投入した紙幣を束ねて100枚ずつ帯掛けする(小束にする)時に使用する紙帯の消費量を従来比10%削減し、省資源化にも配慮した。

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金融機関の後方オペレーションを支える「CM21Ex」でも
環境負荷を低減

写真1 CM21Ex

プリンターは環境国際規格をダブルで取得

 OKIにとってオフィスプリンターも主力製品であり、代表的な環境商品だ。2015年1月発売のA4モノクロLEDプリンター「B400/500シリーズ」とA4モノクロLED複合機「MB400/500シリーズ」は“国際環境基準”と“世界のお客様ニーズ”を満たすプリンターとして開発された(写真2)。

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A4
モノクロLEDプリンター(B432dnw)

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A4モノクロLED複合機(MB562)

写真2

 環境性能では、プリンターの基幹部品であるLSIと電源などを刷新し、休止モード(ディープスリープモード)の消費電力を3分の1以下に削減(従来比)した。

 省エネルギー性能の高さは、2つの国際環境規格で認められた。一つが「国際エネルギースタープログラム」(図3)。製品の稼働時はもちろん、スリープやオフ時の消費電力も評価対象となり、優れた上位25%の製品が適合となる。もう一つが「ブルー・エンジェル・マーク」(図4)。ドイツの環境配慮製品の認証制度で、環境負荷の少ない製品であることを第三者の審査機関が認めた証だ。

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図3 国際エネルギースタープログラム

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図4 ブルー・エンジェル・マーク

 プリンター「B400/500シリーズ」「MB400/500シリーズ」は使用時以外の環境負荷も低減している。LSI、電源、制御基板、機構部など広範囲にわたる共通プラットフォーム化をハードウエアとファームウェアの両面から進めた成果だ。膨大な共通化によって次のように設計・製造・保守の製品ライフサイクル上における環境負荷を引き下げた。

・開発期間の短縮 共通化したハード、ソフトは新商品ごとに開発しないで済むため設計効率が大きく改善され、設計工程を省エネ。

・部材品種削減 ハードの共通化により管理負荷の低減 製造工程の省エネ・省資源が実現。

・保守部材の種類減少 商品別に保守部材をそろえて管理する負荷が低減され、保守段階を省エネ・省資源化。

 環境性能を向上させても他の性能は犠牲にしていない。むしろ高めた。

 操作性向上のために複合機で大型7インチのカラータッチパネルを採用。見やすいだけでなく、直感的な操作を可能にした。高速・高性能も飛躍的に向上している。毎分45枚を印刷できる高速化とともに用紙トレイ容量の増量(従来の250枚用に530枚用を追加)にも成功。印刷している時に用紙がなくなってしまうことが大幅に減った。ウォームアップ時間の短縮により、しばらく稼働がなかった状態からでもすぐに印刷ができる。

 製品の環境性能を高めても、売れなければ本当のメリットは生まれない。例えば業界No. 1の環境性能を誇る商品は、技術力を社会に示すフラッグシップとしての訴求力はあるだろう。しかし使う人が限られては社会への環境貢献の効果は薄い。商品が売れて普及し、使う人が増えるほど社会の環境負荷を引き下げる効果も大きくなる。

 OKIは新ATM、新プリンターとも環境性能の向上だけでなく、利便性も高めた。新たな価値を認めた顧客が次々に導入し、社会の環境負荷低減に貢献する商品だろう。商品を通した環境貢献はグループ環境方針の実践そのものだ。

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