環境ソリューション企業総覧2015Web
積水化学工業・住宅カンパニー

積水化学工業・住宅カンパニー

■環境ソリューション企業編 06_住・生活環境対策

独自の「V to Heimシリーズ」を
PHEV車に対応、

エネルギーの自給自足とCO2排出量を削減


積水化学工業・住宅カンパニー

www.sekisuiheim.com


 住宅や建築物の省エネルギー化が、低炭素社会の実現や地球環境を改善する上からも緊急な課題に挙げられている。同時に車社会の進展に伴い、住宅と車の共存やエネルギーの相互利用も重要な課題となっている。昨年12月末現在で約16万棟もの太陽光発電システム搭載住宅を建設して、住宅業界1位の実績を誇る積水化学工業・住宅カンパニーは、2014年に相次いで発売した「V to Heimシリーズ」に、今年8月からプラグインハイブリッド車(PHEV)との連携対応を開始した。これまでの電気自動車(EV)に加えて、ソーラー住宅とPHEVと電力系統の連系を実現したのは、同社が初めてのこと。積水化学工業・住宅カンパニーでは、今回の連携を契機に「経済性」と「環境性」を重視した暮らしを実現することを目指し、自宅で発電した電力を可能な限り使用し、売電するのではなく自宅で活用するという「エネルギー自給自足住宅」の促進を早めることにしている。

16万棟超の太陽光発電システム搭載住宅建設実績

 積水化学工業・住宅カンパニーでは、住宅メーカーに先立って1997年に太陽光発電システムを導入した。翌年から太陽光発電搭載住宅の販売を本格化させ、2003年には累計3万棟に、2009年には7万棟を達成した。さらに2年後に10万8,000棟、2012年には12万4,000棟を突破、昨年12月末にはリフォーム工事などを含めて約16万棟もの太陽光発電搭載住宅を建設している。

 同時に住宅のエネルギー自給自足率の向上やエネルギー収支の改善をスマートハウスの指標にし、エネルギーの自給自足を図った商品開発を積極化した。2011年に「スマートハウス」を発売、続いて大容量の太陽光発電システムと定置型リチウムイオン蓄電池、コンサルティング型HEMSの「スマートハイム・ナビ」の3点セットを標準搭載した「進・スマートハイム」を、2013年には実邸規模の建物でエネルギー収支ゼロを実現する「スマートパワーステーション」を相次いで発売している。

 東日本大震災とそれに伴う原発事故の発生によって、エネルギー問題が大きな関心事になった。こうした電力需給と環境対策を背景に開発されたのが「V to Heimシリーズ」である(図1)。エネルギーの自給自足を可能とする技術革新として、「V to Heimシリーズ」ではEVと系統連系して住宅と車の間で電力のやり取りができる「V2Hシステム」を搭載。2014年5月に木質系の「グランツーユー」で先行発売し、続いて同年10月から鉄骨系の「スマートハイム」にも拡大し、全商品に展開している。

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図1 『V to Heim』(鉄骨系)代表外観

 EVとの系統連系は業界初のことで、この分野では一歩も二歩も抜きんでたものとなっていた。

 住宅用の定置型蓄電池に比べてEVは蓄電容量が大きく、「V to Heimシリーズ」ではEVや大容量太陽光発電システムと電力会社からの電力という3つの電源を最適利用することができる。環境配慮志向や家計の節約志向層といった建築者のニーズに合わせた運転モードの選択も可能となった。

 住宅カンパニーの試算によると、自給自足率75%を達成できるレベルまで高まったことになる。

停電時でも10日間にわたって電力供給
ポータブル蓄電池の約6倍もの電力量

 今回の「V to Heimシリーズ」のPHEVとの連携対応では、これまでのEV対応としていた三菱自動車工業(株)の「MiEVシリーズ」(3車種)と日産自動車(株)の「リーフ」以外に、新たに三菱自動車工業の「アウトランダーPHEV」が加わったことになる。

 この連携対応によって、従来のEVと同様に万一の停電時に太陽光発電システムで得た電力を、PHEVに充電することができる。さらにPHEVでは、雨天などで太陽光発電システムが十分に発電できない日が続き、万一停電時間が長引いた場合であっても、エンジンでの発電を組み合わせることによって生活に必要な電力を確保することが可能となった(図2)。

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図2

 東日本大震災では、停電した住宅の約2割が4日間以上にもわたって電気が使えない生活を余儀なくされ、計画停電も数度となく実施されて、不自由な毎日を送らざるを得なかった。自然災害が多発するわが国では、数日間にわたって続く停電への対策を欠かすことができない。

 「V to Heimシリーズ」では万一の停電時でも約6,000Wまで同時に利用することが可能となっている。これはPHEVが大容量のバッテリーを搭載しているためで、一般的なポータブル蓄電池と比べて、同時に使用できる電力量は6倍にもなる。このため最新の情報を入手するためのパソコンやテレビのほかに、200VのIH調理器や冷暖房設備などの電力も利用できる。

 万一の停電時で不安な中にあっても、平常時とほぼ同様な生活を過ごすことができる電気量である。

 PHEVのガソリンを満タン(45リットル)にして、一般家庭の1日あたり使用電気量を約10kWh/日として試算すると、最大10日間にわたって必要な電力を賄うことができるという“優れもの”である。

一般住宅と比べ年間約63万円の支出削減
3つの運転モードで安全・安心性を向上

 PHEVは持続走行距離が長く、その分、今回の連携対応によって年間光熱費大幅に削減できるだけでなく、住宅と車が排出するCO2も大幅に減少でき、地球環境の改善に寄与することができる。

 積水化学工業・住宅カンパニーでは、一般家庭でガソリン車を利用した場合と比較すると、今回の「V to Heimシリーズ」ではプランなどによって異なることもあるが、年間の光熱費と自動車燃料代を合わせて約63万円もの支出削減が見込めると試算している(図3)。PHEVの特徴からCO2排出量をゼロにすることも可能で、「経済的でかつ環境に配慮した生活」という、願ってもない毎日を実現できることになる。

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図3 年間光熱費・自動車燃料費比較

 積水化学工業・住宅カンパニーでは、運転モードを①グリーンモード②エコノミーモード③非常運転モード―に分け、それぞれの使い方を示している。グリーンモードでは日中は大容量太陽光発電システムで発電した電力を、夜間は日照時間に発電した余剰電力を貯めたPHEVの電力をそれぞれ使う。太陽光発電システムによるクリーンエネルギーが直接PHEVと家庭の電力になる、エネルギー自給率が高まり、CO2排出量も大きく削減できる。

 エコノミーモードでは、日中は大容量太陽光発電システムの電力で生活し、余剰電力を電力会社に売電する。電気料金が割安な深夜電力をPHEVに貯め、朝晩に使用する。光熱費だけでなく自動車の燃費が特になる。電力需要の高い時のピークカットにも貢献できる。非常運転モードは、停電時にPHEVに貯めこんだ電気を家庭内に供給する。日中は大容量太陽光発電システムで発電した電力を使用し、余った電力をPHEVに充電することで夜間や翌日以降も電気を使えるようにするというものである。3つの運転モードによって、万が一の場合でも安全・安心な暮らしが叶うことになる。

 新車販売でEVとPHEVは年々増加傾向を示している。「V to Heimシリーズ」も2014年の発売以来順調に受注棟数を伸ばしており、今年7月末までに累計で380棟を数えるまでになっている。

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図4 「V to Heimシリーズ」代表外観

 積水化学工業・住宅カンパニーでは、今後、「V to Heimシリーズ」を中心に環境時代における最先端の住まいづくりを展開することにしている。自動車メーカーとの技術開発や協力体制も強化し、スマートハウス市場の拡大を図りながら、この分野のリーディングカンパニーとして確固たる地位の確立を目指すことにしている。

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