環境ソリューション企業総覧2015Web
旭化成ホームズ

旭化成ホームズ

■環境ソリューション企業編 06_住・生活環境対策

エネルギー自給と自然の満喫を両立した
「太陽光発電×屋上利用」を提案


旭化成ホームズ

www.asahi-kasei.co.jp/hebel/


 都市での生活は交通面や公共・公益施設などの利便性が高く、居住者にとって願ってもないもの。しかし、住宅が密集しているために公園や緑地が少なく自然と触れ合えず、自然の光や通風も十分に得られないなど、充実した毎日が過ごしにくいというデメリットがあるのも事実だ。都市型住宅を供給している旭化成ホームズでは、住宅メーカーに先駆けて自然を享受しながら楽しく暮らすことを提唱。

 その一環として、自宅の屋上に家族だけの“緑の庭”をつくるという「屋上利用」を提案して、都市での生活を満喫できるようにしている。最近では太陽光発電パネルを設置するユーザーが増加し、屋上利用のスペースが狭くなる傾向がみられたが、パネル架台の工夫や発電パネルの発電効率アップによって、自然エネルギーの享受と従来通りの屋上利用を両立させている。加えて住環境シミュレーションシステムもバージョンアップさせて、快適な屋上利用を楽しめるようにした。屋上利用は都市型環境配慮住宅の好例ともいえ、今後の環境を生かした快適な都市生活のモデルケースになっている。

ガーデニングなど利用法はさまざま
屋上採用者の86%が屋上利用に満足

 東京都の調査によると、今年4月現在の東京都民1人あたりの公園・緑地面積は約5.8m2となっている。世界の主要都市と比べるとアメリカ・ニューヨークの約5分の1、オーストラリア・キャンベラの約13分の1という狭さである。

 都市生活では緑は貴重な存在。主要都市と比べて極端に狭い公園の代替えのほかに、温室効果を緩和する策や家族のプライベートスペースとしても、緑化を施した屋上利用が脚光を浴びている。

 屋上利用を可能とした背景には、旭化成ホームズ独自の躯体構造がある。鉄骨構造の強度と100ミリ厚のALCコンクリート「へーベル」を屋根面に使用していることから、屋上利用に求められる頑強さを担保している。ALCコンクリート「へーベル」は完全無機質で腐ることがなく、素材自体に耐久性や強度があるため、長年の経年変化や万一の災害時にも耐え抜く素材である。屋上の設置ができにくい構法もある中で、同社の鉄骨ALC住宅は屋上利用に適した構法といえる。

 こうした商品特徴などを基に、旭化成ホームズでは1979年から眺望や自然の恵みが得られる都市の貴重な空間として、屋上利用を提唱してきた。

 利用の方法はさまざま。ガーデニングや家庭菜園を楽しんでいるほか、アウトドアのパーティ会場、眺望を生かした天体観測や花火大会を観賞するスペース、ペットの遊び場といった具合に、家族がふれあう“場”として活用されている(写真1、2)。人工土壌を敷き詰めた上に木々を植栽して、都心に居ながら森林浴を楽しんだり、ゴルフ愛好家の中には芝を植えてパッティングができるミニゴルフ場を造った例もある。屋上利用では外からの視線を気にすることなく、プライベートスペースとして利用できる。

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写真1 屋上

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写真2 屋上

 同社の意識調査では、屋上を採用した顧客の86%が屋上のある生活に満足していたことが分かった。

架台の設置スペースを大幅に縮小
発電効率のアップで約2割も広く

 ところが、自然エネルギーの買い取り制度のスタートによって、省エネ性やコスト意識の高い年齢層を中心に、経済的メリットの高い太陽光発電パネルを屋根の全面に設置するケースが増加し、近年では屋上利用が伸び悩む傾向が見られた。

 このような状況の変化に対して、旭化成ホームズでは太陽光発電と屋上利用の両立を提案し、双方のメリットを享受しながら毎日の生活を楽しめるようにした。

 それは、コンパクトな屋上スペースでも生活に必要なエネルギーを十分にまかなえる分の太陽光発電パネルを搭載できるよう、屋上の屋根面に最大限配置搭載が可能な仕組みを開発したこと。

 具体的には、従来まで太陽光発電パネルの点検・交換作業や、屋根の防水シートのメンテナンスに使っていたスペースを大幅に縮小できる太陽光発電システム用の架台を標準仕様に切り替えた。

 また、現在では太陽光発電パネルの発電効率が数年前と比べて約2割も向上したことから、これまでよりも狭い面積でも以前と同等の発電量の確保が可能となったことも加わって、屋上利用のスペースを20%程度広くできるようになった。

 これまでの屋上利用か太陽光発電かという二者択一ではなく、都市部のコンパクトな住居でも必要とする発電量を確保しながら、余ったスペースを屋上利用することが容易となった。

総2階プランで年間消費電力を賄い
ながら6畳大の屋上スペースを確保

 旭化成ホームズでは、都市部に多い延べ床面積が35坪程度の総2階プランの住宅で、屋根面に家族4人の年間消費電力をまかなうことのできる4.84kWの太陽光発電パネルを搭載し、十分な発電量を確保しながら6畳大の屋上利用スペースを設置できると試算している。

 52坪程度の2階建て住宅では、3.96kWを発電できる太陽光発電パネルを設置しても10.6畳大のスペースを設けることができる。都市部の狭小地に建つ42坪程度の3階建て住宅でも、10畳大の屋上利用スペースを確保しながら1.32kWの発電効率が見込めることになった。

 さらに断熱仕様や設備の提案と合わせることによって、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)基準を満たすことも可能としている。

 こうした技術革新と最新の太陽光発電システムの採用によって、旭化成ホームズでは太陽光発電で省エネ性を高めてエネルギーの自給生活を行いながら、屋上利用で家族がプラスアルファの生活を満喫することができるという「太陽光発電×屋上利用」を提案している。

「2階リビング×屋上」も提案
フェア開催で新規受注が2倍に

 同時に都市での暮らしを楽しむ仕組みとして、「2階リビング×屋上」も提案している。リビングを2階に配置することによって、1階では届きにくい自然の光や風を取り入れやすくなり、都市部の日照条件や住環境の問題が解決できることにもなる。

 現在、2階建て単世帯住宅の約2割が2階リビングを採用しているが、2階にリビングを設けたことによって、屋上利用の際にキッチンでつくった料理を持ち運びやすく、後片付けも容易になるといったメリットも生まれてくる。主婦にとっては屋上で洗濯物を干す際の動線が短くなる。自然の恵みが享受できるだけでなく、一層と屋上利用が進む提案といえる。

 旭化成ホームズでは、今年のゴールデンウィーク中に、屋上利用を提案する「へーベルハウス屋上アウトドアフェア」を全国で開催した。その結果、6月の新規受注棟数のうちで、屋上利用を取り入れた棟数は前年同月比で203%に、7月も同220%とともに2倍以上にも増加した。根強い屋上利用志向を示すと同時に、エネルギーの自給と自然を満喫したいというユーザーの双方の要望に応えた形となった。

通風シミュレーションに新機能
隣家からの風の影響も検証可能

 快適な屋上利用がより一層と楽しめるように機能アップも図った。旭化成ホームズでは、プランニング段階で室内の日照や日射・通風・採光を邸別に科学的な検証をすることができるシステム「ARIOS(アリオス)」を2002年に独自開発している。このほど、この「ARIOS」の通風シミュレーションに、新たに周辺建物の影響を反映できるよう新機能を追加した。

 新機能は、①隣家の影響を加味したリアルな通風の実現、②室内に流れる風を「風速」と部屋全体の「通風量」で評価、③すべり出し窓のウインドキャッチ効果を反映―などである(図1、2)。

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図1

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図2

 都市部の密集地などでは隣家の影響を強く受けるもの。例えば風が隣家に当たって跳ね返って風向きが逆になったり、密集度によっては思った以上の強風になったりするケースもある。新機能の追加によって、密集地などの複雑な屋上の風の流れを正確に把握することができ、プランニング段階から検証できることになった。

 新機能の追加で、強い風が発生することが見込まれるような場合には、風上側にペントハウスなどを設けて風を和らげる設計とするなど、実際に屋上を設置してから思わぬ風の影響を受けて、快適な屋上利用ができなくなることを未然に防ぐことが可能となった。

 室内の風が流れる場所と「風速」がより詳細にシミュレーションすることもでき、心地よい場所に「くつろぎのスペース」を配置することができる。また、夏の時期に風が当たり過ぎて寝冷えしてしまうようなプランニングの寝室では、「風速」ではなく1時間に5回以上の空気の入れ替えができる「通風量」に見合った配置ができるようになった(図3)。

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 旭化成ホームズでは、「環境を生かした快適な都市の暮らしの提供」を目指している。屋上利用は都市に不足気味の公園・緑地に代わるスペースが確保できるだけでなく、都市のヒートアイランド化を防ぐ方策ともいえ、環境を考慮した都市の密集地での暮らし方になろうとしている。

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