環境ソリューション企業総覧2015Web
三菱重工冷熱

三菱重工冷熱

■環境ソリューション企業編 05_省エネルギー

総合エンジニアリング力で、
地球温暖化防止・省エネ化に貢献


三菱重工冷熱

www.mhiair.co.jp


 三菱重工冷熱は2013年10月、家庭用・業務用空調機、暖房機、冷凍・冷蔵製品を扱う三菱重工空調システムと大型冷凍機を扱う三菱重工冷熱システムを統合し発足した。2014年10月には、暖房機の製造・販売据付・サービスを手掛けるクサカベと統合。2015年7月には冷熱・環境エンジニアリングの設計・施工サービス及び設備用空調機の製造・販売・サービスなど、冷凍・空調技術を幅広い分野で展開している東洋製作所と統合した。

 エンジニアリング部門では、冷凍冷蔵倉庫向けの自然冷媒採用冷凍システム、ビール工場向けの炭酸ガス液化・精製装置、各種排熱回収システム、自動車メーカー向けの雪や雨、晴天など実際に自動車が走行する自然環境を再現する環境試験装置や、人工降雪装置など幅広く手掛けている。

 また、同社は神奈川県大和市に製造、開発拠点である「大和事業所」を持つ。設計から部品加工、機器の組み立てまで一貫した生産システムで、顧客の要求に応じたモノづくりを展開するとともに、より信頼性が高い製品への研究開発に取り組んでいる。

 顧客の要求に対応可能な製造・開発拠点があることは、同社のエンジニアリング事業にとって、優位性をもつものとなっている。通常、エンジニアリングの工程では、顧客からの引合が出ると見積を出し、案件を受注。その後、設計や機器の調達、施工というステップを踏んでいく。

 一般のエンジニアリング会社では、自前の製造拠点を持たない企業が多く、機器は他社から調達する必要がある。一方、三菱重工冷熱では大和事業所で機器を製造するため、顧客の要求に合った機器を作れるほか、施工後の試運転についても他社に引き渡すことなく自前で行うことが可能。これにより、高品質なエンジニアリングサービスを実現している。

 また、高品質を追及する中で重要となるのが、プラントを引き渡した後のメンテナンス業務だ。万が一、機器に不具合などが発生した際に緊急対応できる技術者を抱えることで顧客に安心感を与えられ、顧客満足度の向上にも繋がる。そのため、自社メンテナンス体制をいかに充実させるかも高品質サービスの実現には欠かせない要素といえる。

 同社では、自社のサービス専門社員300人のほか、協力会社や外注先の人員も加えることで、全国約600人という手厚い体制を整えている。専門技術者が、機器の整備や点検を行うことでトラブルの未然防止を図るとともに、機器の更新提案などまで幅広く対応。安全や品質だけでなく、顧客からの信頼性まで含めたサービスの追及に余念がない。

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図1 自動車環境試験装置「パース」

自然冷媒冷凍システム CLTS

 日本政府は、二酸化炭素などの温室効果ガス排出量削減の2020年目標として、1990年比25%に代わる新たな削減目標、2005年比3.8%削減を掲げるなど、日本国内での地球温暖化対策の動きが加速している。

 冷凍・空調業界でも、環境にやさしい機器・システムを提供し、顧客の環境対策を支えることを強く求められている。これに伴い、各メーカーは冷凍機に使用する冷媒の脱フロン化を図る動きが活発になっている。

 三菱重工冷熱では、二酸化炭素とアンモニアを組み合わせた自然冷媒システムを採用した冷凍機「CLTS」シリーズを提供している。圧縮機の電動機定格出力24キロワットのタイプから、125キロワットまで全7機種をそろえ、工場の広さや用途に応じて顧客の要求に細かく対応できる製品シリーズ構成となっている。

 「CLTS」シリーズは冷却されたアンモニアとの熱交換で二酸化炭素を冷やし、冷凍倉庫を二酸化炭素で冷却するシステムで、フロン冷媒システムに比べて二酸化炭素の年間排出量を40%削減可能。2005年に開催された愛知万博で、マンモス展示室の冷却システムに採用されたことも大きな話題を呼んだ。

 アンモニア冷媒は、自然冷媒として古くから冷凍機に使用されていたが、臭気があること、弱燃性をもつことから、徐々にフロン冷媒などに置き換えられてきた。しかし、昨今のオゾン層破壊、地球温暖化による環境意識の高まりにより、再び環境にやさしい自然冷媒として注目を集めている。

 同社の自然冷媒システムは「アンモニアの充填量を非常に少なくできる」(三菱重工冷熱)のが特徴。アンモニア冷媒が冷凍機本体のみで使用され、顧客生産設備などの負荷側にアンモニア冷媒で冷やされた二酸化炭素だけが送られるシステムとなっている。内蔵機器などの最適化も図り、アンモニア充填量を少なく抑えている。万が一アンモニアが漏れても、冷凍機本体側のみであり、更に安全に処理できる除害設備を設置することで、「人体に影響を及ぼすまでには至らない」(同)ため、安全性が高く、安心して作業に取り組める環境を実現する。

 「CLTS」シリーズは、従来機器からの更新需要に対応できるように機器のサイズにも着目。フロン冷媒を用いる冷凍機と同じ大きさに抑えたことで、新たな設置スペースを設ける必要がなく「昔の機械から、そのまま置き換えることが可能となった」(同)。製品導入への垣根を取り払った格好だ。

 たとえば、同社のフロン冷凍機「LTS」は、これまでに約5,000台を納入しているが、そのうち約2,000台がまだ使われているという。そのため既存顧客からのCLTSへの置き換えが見込めるほか、他社のフロン冷凍機も大きさはほぼ同じなので、新規顧客の開拓も期待できる。

 また、メンテナンス性の高さも強みの一つだ。圧縮機の配置などを工夫したことで、機器を分解して点検、修理するオーバーホール作業の現地対応を実現した。

 通常のオーバーホールでは、機器を工場に持ち帰って分解、修理するが、その場合だと最低でも3日程度を要し、その間は顧客設備の生産性低下を招く恐れもある。一方CLTSシリーズでは、現地対応が可能になるため、作業日数を早ければ半日程度にまで短縮できる。

 同シリーズは、これまでに食品会社のアイスクリーム保管庫や製氷工場などに約140台納入している。環境対応能力はもちろん、豊富なラインナップやメンテナンス性を強みに、今後も企業の環境対策を後押ししていく方針だ。

 同製品は日刊工業新聞主催「第14回オゾン層保護・温暖化防止大賞」において最優秀賞を受賞した。

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写真1 小型C-LTS

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写真2 大型C-TS

エコウォーム

 これまでの排熱回収装置の販売を通じて顧客のニーズを捉え、能力を大容量とし、低温排熱を利用可能な装置としてエコウォームを開発。エコウォームの加熱能力は117.5kWと前機種の約二倍となり、排熱温度も15℃以上であれば利用可能となった。製造温水の出入口温度差を10℃~80℃と幅広くとることができ、一過式の温水供給のみならず循環式の温水供給でも利用可能となり、様々な用途での使用可能となった。また、排熱回収後の排熱出口温度を10℃まで下げて運転できるので、温水と同時に冷水も利用できる。

 一過式の使用例としては、冷凍機の冷却水を熱源として温水を製造してタンクに貯湯し、食品製造設備の生産終了後の洗浄温水として使うことなどがある。一方、循環式の使用例としては、暖房用の温水供給があり、暖房に使われた温水をエコウォームで再加熱することで、暖房に使われる温水の温度を維持することが可能となる。

 このように使用温度帯が広いエコウォームは、幅広い用途で使用できる優れた装置だ。

 企業の省エネ化は温水を作って終わりではない。排熱回収装置を通じて作った温水を有効利用するには、排熱の知識を持った専門技術者が、利用者側へ使い道などの指導、提案することも不可欠と言える。工場のどの部分で、どれだけの熱を使っているかなどを調べた上で、その熱を何に使えるかなどを明確に提案することで、利用者側は「より排熱の有効利用が可能となる」(同)。排熱の利用方法などを積極的に提案していくことで、システム導入と企業の省エネ支援につなげる方針だ。

 また、企業側で省エネ意識が強まっていることも大きな追い風だ。以前まではコストメリットを重視していたのに対し、現在は「二酸化炭素排出量が少なくなるのであれば導入を検討する考え方に変わってきた」(同)という。省エネ推進の動きが加速することで、今後の排熱回収装置の普及が期待される。

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写真3 エコウォーム

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