環境ソリューション企業総覧2015Web
パナ・ケミカル

パナ・ケミカル

■環境ソリューション企業編 03_リサイクル・廃棄物対策

創業40年 全国2,000社以上から回収する
再生プラスチックは月7,000トン


パナ・ケミカル

www.panachemical.co.jp/


 パナ・ケミカルは廃発泡スチロールや廃プラスチックを処理するリサイクル処理機を、日本全国の工場や、魚などの卸売市場、そしてリサイクル事業者のサイトへ設置してプラスチックを減容化、粉砕・選別処理し、高純度の再生材として有価で購入して、中国を中心に、東南アジア各国へも90%の比率で輸出、成形業者が再生する事業を展開する老舗企業。同社は2015年創立40周年を迎えた。

 全国2,000社以上から回収する再生プラスチックの規模は現在月7,000トン(うち発泡は3,000トン)になる。最初に事業化した廃発泡スチロールのリサイクルはトップシェアで実に日本国内で発生する廃発泡スチロール全体の80%程度を同社が取り扱っている。現在は原油など資源価格の高騰を受けて、発泡スチロール以外の廃プラスチックのリサイクルがメイン事業に成長してきた。廃プラスチックのリサイクルでは月間4,000トン、多いときは4,500トン超を処理。品質と物量を確保して事業を拡大している。

1970年代からプラスチックリサイクルを手掛ける

 同社は現会長の犬飼重平氏がリサイクルという言葉がまだ使われず、環境問題の中心が公害防止だった1970年代からプラスチックリサイクルを手掛けてきた。松下電工(現パナソニック)の化学品の代理店としての樹脂商社の観点から、廃プラスチックを適正価格で循環するシステムを作るため、オイルショックによる資源問題を背景に独自のリサイクルシステムを事業として立ち上げた。発泡スチロールの完全有価での引き取りである。 

 このための処理機を機械メーカーと共同開発し、発生源であるユーザーのサイトに設置。処理した再生材を同社が原料として買い取り、国内外に販売するリサイクルシステムを作り上げた。処理機は現在も同社のエースの処理機であるエコロボエースとハイメルター、クリーンヒートパッカーだ。いずれも発泡スチロール減容処理機で、機械メーカーが開発、製造し、同社が総代理店として全国に設置している。

エコロボエース、ハイメルター、クリーンヒートパッカー

 エコロボエースは摩擦熱によって発泡スチロールを減容処理、安全で大量の処理ができる。処理能力は時間50kgから400kgと大量に一括処理できる。ハイメルターはオーソドックスなスクリュータイプであるが、時間50kgの中型機としてはブロックを一体型で自動成形する。クリーンヒートパッカーは小型市場向きで、ダストボックスのようなコンパクト設計と、臭いや煙の発生が少ない、粉砕しないため騒音がないといった無公害処理を実現する。処理能力は時間10~180kgだ。(写真1、写真2に環境展2015に出品した同製品群と展示風景を示した)

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写真1 環境展2015発泡スチロールコーナー

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写真2 環境展2015プラスチックリサイクルコーナー

 発泡スチロール減容処理機は最初に東京・築地の中央卸売市場へ78年に導入。これにより築地市場は焼却処分していた発泡スチロールを、120℃の摩擦熱で50分の1に、箱では100分の1に減容化してブロック状に圧縮する方法に転換。焼却による黒煙発生がなくなり、半分を東京湾に埋め立てていた処理費の負担もなくなった。しかも処理したブロックは有価で買い上げてくれる、メリットのある資源循環システムとなった。日本最大の市場による導入で全国の市場が注目、現在は全国の市場にこの処理機が設置されている。「現在までに全国に導入した処理機はエコロボエースが500台、ハイメルターが150台、ヒートパッカーは1,100台に上る」と犬飼健太郎社長は全国にネットワークが整備されてきていることを数字で上げて示してくれた。

廃プラスチックのリサイクル

 成長している発泡スチロール以外の廃プラスチックのリサイクルでは、2機種の容器・成形品向けの減容機と圧縮梱包機、フィルム、PETボトル、PPバンド向けの破砕機を展開。さらにPETボトルリサイクルシステムや中小規模の廃プラの減容・固形燃料化、油化装置なども揃える。廃プラスチックのリサイクル工場向けのエンジニアリング事業も強化しており、新設工場の設計を手がけて既存事業とのシナジーを目指している。

 近年では農業用フィルムのリサイクル工場を設計し、処理機を納入。同工場から出る樹脂の回収まで請け負っている。同社の全体の処理・販売量(2014年)は安定的に月6,500トン~7,000トンを取り扱ってきたが、今後は約1,000トン多い8,000トンに引き上げる方針。この増加分は発泡スチロール以外のポリスチレン、ポリプロピレン、エンプラなどで実現する構想だ。市場の成熟化による国内消費の減少分を取り込む考えで、経済成長にともなって需要の拡大が見込まれるインドネシアやベトナム、タイ、マレーシアで新規ユーザーの開拓に取り組んでいる。

 廃プラのリサイクルは破砕し、圧縮、その他PETなどは洗浄・破砕・乾燥、ペレット化も行い、再生材の高純度リサイクルを提供、廃プラ処理機は計1,000台を設置している。処理機を設置した国内ユーザーは発泡スチロールが1,700社、廃プラスチックが500社、両方を扱う企業が600社と計2,000社以上に上り、産廃事業者とリサイクル業者が半々の全国ネットワークとなる。

最大市場は中国

 同社の発泡スチロール、プラスチック再生の最大市場は中国。ポリプロピレンのバージン材は2008年のリーマン・ショックで海外価格がわずか2週間で3分の1に、国内も2009年に半分に市況が下がって、リサイクル品の出口も不況で縮小した。同社も影響を受けたが、37年間の再生事業による高品質の再生材供給、排出事業者の要望を把握したユーザーサービスの徹底などにより、立ち直りの早さは業界でも際立った。

 廃プラの貿易では中国が11年に年間900万トンとアジア市場の96%を輸入、うち日本からは150万トンが入っている。この量は減ってはいないが、廃プラの相場がプラスチックバージン材の大幅な価格下落もあって大きく下落、しかもリサイクル品は純度が悪い材料が市場からはじき出され、高純度の材質と、しっかりした供給・販売ネットワークを持っていないと事業が相当に困難になってきている。

 2008年以来これまでに廃プラの輸出業者は国内に数百社あったとみられていたが、「現在は3分の1がなくなり、3分の1はかなりのダメージを受け、残る3分の1が今後とも残っていく構図になってきている」(関係者)。さらに,近年は中東地域で化学プラントが相次いで建設され、安価な原料を用いた低価格の汎用樹脂のアジア地域への流入拡大が見込まれる。こうした動きがリサイクル原料にも影響を与える可能性がある。加えて中国は現在、廃プラスチックの輸入には品質チェックを厳しくしている。こうした状況が、逆に同社がこれまで進めてきた廃プラを品質で勝負し、市場で回るものでないと扱わないという創業以来の経営姿勢に追い風になっている。

 同社は香港や中国を核にベトナム、マレーシア、フィリピン、インドといった東南アジアも含め計50社の現地工場に販売してきた。香港系の華僑系企業とは30年来の関係を構築、中国国内に輸出する発泡スチロールのブロックは成形されて再商品化、ビデオテープやCDケース、OA、雑貨などに再生され、出口は多様化しており、「リサイクル材料の用途は広がってきた」(犬飼社長)。リサイクル材といっても、商品として提供するには高い品質と、ユーザーの操業を妨げない供給量の確保が欠かせない。用途が高度化すれば、それだけ良いリサイクル材が求められる。廃プラは中国を中心に純度95%で建材関係やジュエリーボックス、工事作業用材など様々に利用される。廃プラのうちエンジニアリングプラスチックは700~800トンになる品質の良い国内の家電リサイクルや企業のリサイクルルートからでる廃プラへの需要は高い。

 国内13カ所の大型倉庫(写真3)から在庫でチェックして出荷、信頼に基づいた長期間の取引がある再生業者は100社以上に上る。こうした流れの中で、同社は基本的なリサイクル戦略は変えることなく、既設のユーザーへのサービスを中心に、新規ユーザーを獲得しつつ物量はキチンと確保してきた。「発泡インゴットもプラも提携工場直接とやっており出口は多方面にあるので、価値が高い製品を、市場で大きく下がった価格が上がるまで待ち、在庫をコントロールして市場へ投入してきている。同業者が購入をストップする中、昨年以来の厳しい情勢の時にユーザーにキチンと対応したことが、ユーザーに評価されている」(犬飼社長)。

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写真3 横浜倉庫 全国13カ所の倉庫の一つ

 同社が長年かけて培ってきた・目利き力・ユーザーとの情報共有が武器となり、同社では従来、訪問型の営業スタイルだったが、最近は企業から同社を指名しての問い合わせが増えている。同社はユーザーを対象とするセミナーなどにも積極的。例えば、排出事業者を集めたリサイクルセミナー(写真4)なども年に数回のペースで行う。「先が見えないこのような時期だからこそ、排出事業者との情報交換が重要」(犬飼社長)としている。

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写真4 リサイクルセミナー

 再生樹脂は海外の80%が中国で、20%が東南アジアなどと市場が広がってきている。欧州の代理店に続きカナダの代理店も立ち上げた。国内の発泡スチロールは収集の60%が卸売市場からである。長年の既設ユーザーとの信頼関係が新規ユーザーの獲得にもつながっていく。「目標は月1万トンへ持っていきたい。現在は急がず、愚直に既設のユーザーとの関係を高め、品質を保ちつつ、よい提案をしながら着実に量を増やしていく」(犬飼社長)としている。

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