環境ソリューション企業総覧2015Web
インタビュー 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課

インタビュー 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課

■特集 特集2 社会生活に恩恵をもたらす最新環境対策

FIT(固定価格買取制度)の動向は
再生可能エネルギーの将来にどう影響するか


経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課に聞く

聞き手:環境ソリューション編集部


 再生可能エネルギーは、2012(平成24)年7月の固定価格買取制度(FIT)スタート以来、2015年4月末までに導入量ベースで約2012万kW増加している。FIT開始前と比較して、約90%増加した計算であり、FIT導入の効果は着実に現れているといえる。

 こうしたFITについて、今般の運用見直し等も含め、最近の動向と再生可能エネルギーの今後の展望について概観してみたい。

わが国の再生可能エネルギーの実情

 わが国のエネルギー自給率は、2010年に19.9%であったが、東日本大震災を経て、現在では6%まで低下している。また、日本の発電用燃料の輸入費用は約3.6兆円にまで膨らんでいる。こうした中で、国際的な政情不安や資源獲得競争に備えて国産エネルギー増大の努力が叫ばれるようになるとともに、中国やインド等新興国でのエネルギー消費の増大によるCO2排出量の急増に伴い、地球温暖化防止の観点からも、再生可能エネルギーの開発及び普及が期待されている。

 他方、わが国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの発電比率は、2014年度で、12.2%にすぎない(他のエネルギーは天然ガス46.2%、石油その他が10.6%、石炭31.0%、原子力0.0%)。この12.2%から、従来より普及している水力を除けば3.2%である。これに対して、諸外国の再生可能エネルギーの発電比率をみると、たとえばドイツでは20.9%、スペインでは26.4%と、大きく水をあけられているのが実情だ。

 そこで、エネルギー需給に関する長期的、総合的な計画が必要とされ、2014年に閣議決定されたエネルギー基本計画において、再生可能エネルギーについては、2013年から3年間程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくこととされた。
 そこでクローズアップされたのが、FITだ。

FITとは

 FIT(Feed―In Tariff:固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を最大限加速するべく、2012年7月に導入された。

 具体的な制度内容としては、各電力会社に対して、再生可能エネルギー発電事業者から、同制度を通して電力系統への接続や、売電の申し込みがあった場合に、それに応ずるよう義務づけたものだ。その際、政府が定める電源別・規模別の調達価格と期間での買取が義務づけられている。また、調達価格・期間の決定方法をはじめ、買取義務対象となるために必要な設備の認定、買取費用を支えるための電力需要者からの賦課金徴収・調整、例外的な契約・接続拒否事由等も併せて規定されている。図1にFITの仕組みを図解した。

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図1 FITの基本的なしくみ

FIT開始に伴う再生可能エネルギーによる
電力供給の状況―開始前と比較して約90%増へ

 FIT導入以前の再生可能エネルギーの導入量は、太陽光(住宅・非住宅)、風力、地熱、中小水力、バイオマスの合計で約2060万kWであった(2012年6月末までの累積)。他方、2012年7月のFIT導入以降、2013年度には前年度比32%上昇するなど、急速に導入拡大することとなった。現時点で、新たに運転を開始した設備は約2012万kWにのぼり(2015年4月時点)、これをFIT開始前までの導入分と合わせると、約4072万kWにまで達し、FIT導入後、実に約90%増大したことになる。中でも、FIT導入後設備導入量及び認定量のいずれにしても、太陽光が90%以上を占めている。

FIT導入に伴う調達価格及び賦課金

 2015年度の調達価格及び調達期間は表1のとおりだ。たとえば、太陽光の場合、住宅用(10kW未満)の価格は出力制御対応機器設置義務なしの場合が33円/kWhで期間は20年、出力制御対応機器設置義務ありの場合が35円/kWhで期間は10年である。また、住宅用(10kW以上)の価格は、2015年4月1日から6月30日までが29円/kWh、同年7月1日以降では27円/kWhで期間は20年である。その他の再生可能エネルギーの調達価格と期間は表1を参照されたい。


表1 2015年度買取価格及び機関
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 一方、電力需要者に対する賦課金の単価は、調達価格をふまえて算定され、2015年度は1kWhあたり1.58円となっている(標準家庭1か月電力使用量が300kWhでは月額474円となる)。

再生可能エネルギーの最大限導入をめざしたFITの今後

 FITについては、最大限の再生可能エネルギーを引き続き推すると同時に、国民負担の抑制、電力との安定供給を図ることが重要であるというのが、基本的な考え方である。

 このために、今後以下のような再生エネルギーを受け入れうる仕組みを検討していく。

(1)太陽光のきめ細かな出力制御システム導入による受入れ可能量の拡大
 出力制御は、30日単位から時間単位への移行と同時に制御対象を拡大する(太陽光及び風力の500kW未満も対象)。また遠隔出力制御システム導入の義務化や、九州電力のように受入可能量が上限に達した電力会社は30日を超える出力制御前提に接続の再開。

(2)地熱、水力、風力等の今後の受入れ方針の明確化
 地熱や水力は出力制御を行わず原則受け入れる。風力は太陽光とは別枠管理とし、各社ごと公表の接続枠上限まで受け入れ、それ以上は30日を超える出力制御前提に接続。

(3)福島被災地の再エネルギー優遇
 東京電力にも接続可能なよう送変電設備を整備するほか、福島県と連携し再エネルギー発電設備・送電線等の導入を支援する。避難解除区域等における優先的接続枠を確保(受入れ可能量は定期的に見直し、受入れ可能量増加時は効果的に配分する)。

(4)FITの運用見直し
 太陽光発電が過剰な利益を生まないよう価格決定時期を「接続申込時」から「接続契約時」に見直す(2015年4月以降の申込みを対象)とともに、出力増加や太陽電池の基本仕様の変更時にも原則として認定の変更を行う。接続枠を確保したまま事業に到らない案件の接続枠を解除する。立地の円滑化をはかるために地方自治体への認定情報を提供。

(5)蓄電池の導入
 再生可能エネルギー事業者が設置する蓄電池導入を支援したり、電力会社の系統に大規模蓄電池を設置し受入れ量を拡大。

(6)今後の検討課題としてさらなる系統の活用・増強をはかる
 広域的系統利用が可能なシステム構築のための優先給電指令や地域間連携線の利用ルールの見直しや、FIT全体の見直しの中で広域的な再生可能エネルギー受入れを可能とする費用負担・清算ルールのあり方等の検討を行う。

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