環境ソリューション企業総覧2015Web
インタビュー フォーアールエナジー 塩見 達郎副社長

インタビュー フォーアールエナジー 塩見 達郎副社長

■特集 特集2 社会生活に恩恵をもたらす最新環境対策

EV用Liイオン蓄電池の
残存容量をいかした4Rで社会貢献


フォーアールエナジー 塩見 達郎副社長に聞く

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聞き手:環境ソリューション編集部


 4Rとは、Reuse(再利用)、Refabricate(再製品化)、Resell(再販売)、Recycle(リサイクル)のことだ。5~10年経ってEVに搭載した蓄電池が劣化して航続距離が短くなっても蓄電池自体は、本来のEV以外の用途でさらに利活用可能という残存容量がある。そこで、ビジネスへの思いを込めた4Rを会社名にも掲げるフォーアールエナジー 取締役副社長 塩見達郎氏に、EVでその役目を果たしたLiイオン蓄電池がその後どう生かされ、そして地球環境にも貢献することになるのか聞いた。

4Rビジネスの世界

 フォーアールエナジーは、ゼロ・エミッション車を普及させると同時に、再生可能エネルギーの分野で二次利用することによってCO2削減を加速させ、低炭素社会の実現に貢献することを重要な目標に据えている。同社は、日産自動車及び住友商事により2010年9月に設立された。

 とくに、EV(Electric Vehicle:電気自動車)で使用されるLiイオン蓄電池の4R事業に取り組み、エネルギーを貯蔵させて二次利用する観点からのビジネス確立に向けて精力的な取組みを展開しているところだ。

 4Rビジネスとは具体的にどのようなものか、もう少し掘り下げてみよう。

(1)Reuseとは、EVで5~10年使用後も70~80%といった高い残存容量をもつ蓄電池を二次利用するもので、EVから取り外した幅1.7mというバッテリーパックをそのまま利用する(図1参照)。すなわち、エネルギーの貯蔵ソリューションとして新たな価値の創出が期待されるのである。

(2)Refabricateとは、上記1.7m幅のバッテリーでは大きくそのまま利用できないようなニーズの場合、原単位はモジュール構成になっているので、クライアント・ニーズに合わせて構成数を変更し、電圧や容量の異なる新たなパッケージを再製品化させようというものである(図1参照)。

(3)Resellとは、太陽光等の再生可能エネルギーの貯蔵や災害時におけるバックアップ電源等さまざまな用途に向けて再販売するというものである。

(4)Recycleとは、やがては寿命がくるLiイオン蓄電池をリサイクルしようというもので、たとえばアスファルトに混ぜて利活用されることもあるが、将来は正極材料や負極材料、セパレータ、電解液等を取り出して、原材料確保のための文字通りリサイクルをめざすというものである。

 図1には、(1)Reuseから(4)Recycleまでのイメージを示した。

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図1 4Rビジネスのイメージ(フォーアールエナジー)

4Rバッテリーとは

 4Rコンセプトのもと、新たに生み出される4Rバッテリーとは何か。たとえば日産“LEAF”には、Liイオン蓄電池が搭載されている。この特徴は、従来の鉛蓄電池と比べると同容量比1/3~1/4という大きさで、かなりコンパクト設計である。入出力への応答性も高く、様々な用途に適用可能な高出力という強みがある。また、充放電効率は95%以上、エネルギーロスが小さい高効率性を誇るし、さらに、補水や使用時の昇温なども不要で、ランニングコストも軽減される。

 そして、このLiイオン蓄電池がLEAFでの役目を終えると、4Rバッテリーとして再利用という段になる。再利用できる最大の理由は、EVでの5~10使用後も70~80%の残存性能を維持しているからだ。残存性能をもっと具体的にいうと、EV使用時の航続距離が、充電を繰り返していくうちに蓄電池が劣化し、徐々に落ちてくるというものだ。一般的には、5年走行すると20%、10年の走行で30%劣化するという。

 4Rバッテリーの特徴は、この残存性能に加えて、車の過酷な使用環境にも耐えうるだけの高い信頼性があるし、EVにおける使用履歴を考慮した性能把握技術に支えられている点があげられる。さらに、EVによる量産効果とリユース電池の活用がもたらす低コスト実現といった特徴もある。

 LEAFでの役目を終えると、Liイオン蓄電池は、大きさ1200×1640×260mmで重量約300kgのバッテリーパックとして取り出される。実はこのとき、一つのパックには48個のバッテリーモジュールが搭載されているが、因みに家庭用システムでは、半分の24個のモジュールが使用されているという。さらにバッテリーモジュールは、ラミネート型セルで構成されており、このセルがMn系Liイオン・バッテリーである。

4Rバッテリーにみるアプリケーションの可能性

 元来、蓄電池システム自体に求められるニーズは、経済性(投資対効果)及び信頼性・安全性が中心であったが日本大震災以降、そのニーズは大きく変わってきた。第一に、「再生可能エネルギーの効率活用」があげられる。たとえば、太陽光エネルギーを余剰時に蓄電しておき必要時に使用するためのものだ。第二が「電力使用のピークシフト/カット」である。これは、電力料金が安い時間帯に購入して蓄電しておき、高い時間帯にはこれを使用する。第三が「停電時のバックアップ(備災)」である。たとえば東日本大震災時の計画停電は概ね3時間であったが、予告開始時間でも始まらず混乱を引き起こしたケースが多かったが、そのようなとき、調整電源として蓄電池システムを利用するのである。

 こうした新たな3つのニーズも念頭におきながら、4Rバッテリーが創出するアプリケーションの可能性を図2に示した。

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図2 4Rバッテリーのアプリケーション(フォーアールエナジー)

 100kWh級の中容量システムはBEMS(ビルのエネルギー管理)やFEMS(工場のエネルギー管理)利活用に基づくオフィスビルや工場での特にピークカット向けニーズのほか、集合住宅におけるバックアップ電源やPV(太陽光発電)連系等のニーズに応えるというものだ。24kWh蓄電池は、小型商業施設のバックアップやPV連系用に、また急速充電器併設の建物等でピ-クカット時には、電力契約を変えざるを得ないが、4Rバッテリーがあると変えなくてすむ。さらに10kWhは、戸建て住宅等におけるPV連系やバックアップニーズに応えるものだ。

4Rバッテリーの検証と今後の展望

 フォーアールエナジーは、前述のようにEV搭載のLiイオン蓄電池を二次利用するビジネスによって、深刻なエネルギー問題解決を支援しようと取り組んでいるところだ。

 ここでは4Rバッテリーとして、主に日産自動車のEV「LEAF」を対象としたがワゴン車「eNV200」のLiイオン蓄電池もそうである。また、いまはその対象ではないが、将来は「FUGA HYBRID」や「CIMA」等、ハイブリッド車のバッテリーも視野にあるという。

 現在、残存性能をもったLiイオン蓄電池を本格的再利用するために、実際の使用環境に近い条件での実証を複数行っている。具体的には、既に神奈川県の協力を得てEVタクシーから回収した蓄電池を使った実証を開始している。他にも、ホテルにおけるピークカット対策向けや、電力系統へ直接連系し出力調整等のリユース実証がこれより稼働していく予定である。

 Liイオン蓄電池の寿命は、使用条件にもよるが新品の場合約10年以上はもつ、という。それがEVの場合は、初期ユーザーから5年超で戻されてくることが、その残存性能によりさまざまな分野で利活用できることになる。したがって、2010年12月に発売された最初のLEAFを前提にすれば、2016年頃からが再利用の本格開始期ではないか、とみられる。フォーアールエナジーでは、こうした動向に合わせ、4Rバッテリーの市場投入に基づくリユース事業やリサイクル事業本格化に取り組んでいる。

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