環境ソリューション企業総覧2014Web
エア・ウォーター株式会社/株式会社日本海水

エア・ウォーター株式会社/株式会社日本海水

09_環境対応型技術・製品編 環境ソリューション企業編

地下水から低コストで農業用水製造、
栄養分残し、安全な水を供給


エア・ウォーター株式会社

http://www.awi.co.jp/

株式会社日本海水

http://www.nihonkaisui.co.jp/


 エア・ウォーターグループの日本海水は⑭奥村組と共同で地下水中に含まれスケール発生を引き起こす鉄やマンガンを除去しつつ、栄養素であるアンモニア性窒素を残すことが選択可能な処理設備を開発し、実機を設置した。

 日本海水は、国内製塩業最大手の企業。主力の塩事業に加え、水処理設備を扱う環境事業にも注力しており、排水中からフッ素やヒ素、ホウ素などを除去する吸着剤なども展開している。

 今回開発した処理設備は、化学酸化凝集ろ過方式のように処理に薬品を使わないため、農作物や周辺環境への影響を抑えた安全な農業用水を供給でき、またその分、ランニングコストも抑えることが可能である。

 処理時間も短くメンテナンスも簡単なため、農業用水以外にも工事現場の湧水浄化や病院・医療施設等で、井戸水を飲料水や生活用水として活用する水供給設備としても利用できる。

 処理には微生物の働きで物質を除去する処理法の一つである生物接触ろ過技術を採用。微生物を生息させたゼオライト等のろ材を充填したろ過塔に地下水を通水することで鉄とマンガンを除去する。ろ材の形状と地下水を注ぐ速度がポイントだ。

薬品使用なし、汚泥処理費大幅低減

 ろ材の天然ゼオライトは微小な孔がたくさんある多孔質構造のため、粒一つでも水と触れる面積が広く、微生物と物質が反応しやすい。

 そのゼオライトの粒の大きさを処理能力が最大化できるように調整した。加えてゼオライトが入ったタンクに地下水を流す速度も工夫。微生物とアンモニア性窒素との反応を遅くし、アンモニア性窒素が残るようにした。

 この設備を納入した農園の稼働3カ月後の実績を見てみると、地下水中に2.5mg/Lあった鉄が処理によって0.4mg/Lまで減少。マンガンも0.3mg/Lが0.005mg/Lに減る効果を確認した。一方でアンモニア性窒素は3.2mg/Lが1.2mg/Lへの減少にとどまっていた。長期間使っても処理目標を継続的にクリアしている。

 従来の薬品処理では鉄やマンガンよりもアンモニアが先に除去されてしまい、そのため必要以上の薬品を使うこととなり、余剰汚泥も大量に発生していた。

 開発した設備は追加の薬品を使わないため汚泥の発生が従来法に比べて少なく、実際にこの農園では半年に一度しか余剰汚泥を処分しておらず、汚泥処理費用が圧倒的に少なくなった。

 またゼオライト製ろ材の補充も1年に1回程度となり、全体としてランニングコストが半分で済んでいる。

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写真1 生物接触ろ過塔

工事現場の湧水対策、病院の飲料水供給にも

 また農業用水目的ではなく土木工事の現場で鉄、マンガン及びヒ素除去目的で使った実績もある。

 工事現場で湧き出したヒ素を含む地下水に対し、ヒ素吸着塔の前段に設置し併用することで放流が許される水質以下まで短時間で浄化できた。

 現在このような湧水への対策としてリース用設備も用意している。トラックに積んで運び、現場に簡単に設置できる。

 他にも、井戸水を使える施設なら飲料水や雑水を作る水供給設備にもなる。施設側は導入によって水道水料金を削減できる。

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写真2 ヒ素含有湧水処理設備

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