環境ソリューション企業総覧2014Web
東芝環境ソリューション

東芝環境ソリューション

08_総合ソリューション 環境ソリューション企業編

資源循環社会の実現をめざして
成長を続ける総合環境ソリューション企業


東芝環境ソリューション

www.toshiba-tesc.co.jp/


 東芝環境ソリューションは、総合環境ソリューション事業を推進する企業として東芝が全額を出資する戦略企業である。東芝グループとしての高い社会的責任の意識が会社の基盤であり、設立以来50年以上、社会の要請に応えている。同社は今年旧社名:株式会社テルムから新社名:東芝環境ソリューション株式会社へ社名を変更した。その背景には、総合環境ソリューション企業としての東芝グループ内外での位置づけの明確化と、東芝ブランドとしての信頼性を積極的にアピールしていこうとする狙いがある。

 後藤元晴社長は、「当社は、7月から「東芝環境ソリューション株式会社」として社名変更をしたわけですが、その狙いは社名に「環境ソリューション」と言う言葉を使うことで当社の事業内容がよりわかりやすく、ストレートに理解して頂ける点が挙げられます。また、東芝の名称を冠することで、東芝グループの環境部門を担う会社としての位置付けをより明確にすると共に、グループ外企業に対しても東芝ブランドの信頼性をアピールした積極的な活動を展開していきたいと考えています。

 一方で、生命・安全およびコンプライアンスを最優先とするという基本方針のもと、環境、人権、地域社会との調和等を重視した環境貢献企業として、健全で質の高い経営の実現に向け努めていく、という方向は変わりません。当社の事業活動である環境関連ビジネスをさらに推し進め、社会的な課題解決と事業活動を一体のものとして捉え社会と共有できる価値を生み出す積極的な事業活動(CSV:Creating Shared Value)として展開していきたいと考えています。

 また、当社は東芝グループの一員として、製品開発部門と協力しながら、易解体設計への提言や利用しやすいリサイクル資源の提供等を一体となって進めており、『資源を過剰に消費せず、有用なものは繰り返し利用できる社会システムを備える真の資源循環型社会』の実現を目指したいと思います。」と語る。

 同社は、資源リサイクルを中心とするリユース・リサイクル事業、環境関連分析、土壌・地下水の浄化などの環境再生エンジニアリング事業、廃棄物・施設管理のアウトソーシング受託と、各種マネジメントシステムの構築・運用支援などを行う環境マネジメント事業の3つの事業を柱として、顧客の環境問題の解決に貢献し、これまで産業界・行政から高い評価を受けている。

 現在は、本社、入舟事業所(写真1)、姫路リサイクルセンター、北関東分析センターを含めて国内24カ所に営業所・事業所などを配置。全国展開を行い、顧客ニーズに対しきめ細かいサービスを提供している。

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写真1 入舟事業所

使用済み電気・電子機器の再資源化への取り組み

 リユース・リサイクル事業は、同社の基幹事業である。全国47自治体から収集運搬業許可を取得するとともに、横浜市、三重県、姫路市から中間処理業の許可を取得している。さらに「優良産廃処理業者認定制度」の適合認定を計画的に進め、現在21自治体から32の優良認定を取得している。この制度は、産業廃棄物の排出事業者が優良認定業者に処理を委託しやすい環境を整備し、産業廃棄物の処理の適正化を図ることを目的としたものである。同社は、入舟事業所に大型破砕選別処理プラント(写真2)を保有する。

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写真2 建屋内に設置された大型破砕機

 500馬力の破砕機に、磁力選別や渦電流選別、高磁力選別などの選別機械装置と手選別を組み合わせたもので、鉄、アルミニウム、ステンレス、プラスチック、銅分を含むミックスメタルなどの再資源化原料を回収することができる。同社は、同プラントと精緻な手解体を組み合わせる“ベストミックス”により、高い分別精度を誇り、業界トップクラスのリサイクル率を実現している。また、同プラントは、国内では珍しく建屋内に設置されたものであり、高度の機密管理を要求する顧客の要請にもこたえることが可能だ。

 家電リサイクル事業は、近年同社が注力している事業である。同社のリサイクル率は、家電リサイクル法の法定リサイクル率を大きく超えており、さらにサーマルリサイクルを含めた再資源化率では90%以上の数値を達成している。2013年度としては再資源化量は約22,875トンとなった。

 同社は、リサイクル率を向上させる解体ラインの機械化にも取組んでいる。同社が保有する冷蔵庫専用プラントは、粗破砕から細破砕までの連続処理を可能としており、2012年度に導入した装置(写真3)では、冷蔵庫の断熱材として利用されるウレタンの造粒、固形燃料化が可能となった。

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写真3 独自性をもったウレタン造粒機

 従来、使用済み冷蔵庫のリサイクル解体時に排出される断熱材(ウレタン)は紛体であるため輸送・保管コスト上の課題があったが、本造粒装置を導入することで、輸送・保管コストの改善を達成した。本装置は同社がメーカーと協力して完成(特許出願中)させたもので、使用スペースでは、世界最小規模となっている。

材料分析ではグローバル対応が必要な製品含有有害化学物質の削減に貢献

 同社の二つ目の柱である環境再生エンジニアリング事業では、最新の技術と豊富な経験を基に、材料分析、環境分析、土壌・地下水モニタリングおよび浄化対策などのサービスを提供している。

 材料分析分野での話題は、欧州(EU)に端を発したRoHS指令、REACH規則等への対応が、今や地球規模の取り組みとなっており、さらに規制対象項目の追加、対象機器が拡大していることである。電気・電子機器を対象としているRoHS指令では、鉛、カドミウム、六価クロム、水銀、PBB(ポリ臭化ビフェニル)やPBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)を含有していないことが求められている。このため、スクリーニング法で確認し、管理基準を超える可能性のある材料、部品に関してはさらに精密測定を実施して最終確認を行うプロセスが一般的であり、国内のほとんどの企業が検査体制を確立してきた。しかしながら、課題も多く残されている。RoHSスクリーニング法として一般的な蛍光X線法では臭素(Br)を検出するため、これを含むものすべてが検出されてしまう。このため規制があるPBB、PBDEや追加候補リストに挙げられている他の臭素系難燃剤など特定の臭素化物だけのスクリーニングや、臭素を含まないフタル酸エステル類などのスクリーニングとしては効果が期待できない。

 そこで同社は東芝研究開発センターと共同で分析高度化技術の開発を進め、RoHSスクリーニングに関しては、イオン付着質量分析法(IAMS)による迅速分析技術を確立した。

 この方法によりPBB、PBDEを約10分(同社比従来法の1/100)で判定することが可能であり、分析の定量下限値も1000ppmから100ppmと感度を向上させて、より低い濃度での含有有無の判定ができるようになった。さらに追加候補リスト物質やREACH規則対象物質であるフタル酸エステル類や有機スズ化合物についても、この技術の適用を拡大した。今後も、さらに増加してくる新規規制対象化学物質の迅速評価にも適用が期待できる技術である。

環境分析では種々の規制項目の分析を受託するとともにPCB分析調査に注力

 環境分析は、大気、水質、土壌・地下水などの環境保全の分野でも貢献している。ダイオキシン類分析や重金属類、揮発性有機塩素化合物分析は、国や県などが継続して取組んでいる重要な事項であり、同社はグループ会社及び各自治体等から委託された環境モニタリングなどで多くの実績を積んできた。一方、国内での有害化学物質削減と適正処理に向けた取組として、変圧器などの絶縁油中にPCBが非意図的に微量混入した「微量PCB問題」がある。微量のPCBに汚染された疑いのある電気機器は数百万台とも言われている。同社は永年の経験を活かした取組により、環境省の微量PCB簡易測定マニュアルに適合した分析技術をいち早く確立し、多くの油中PCB分析を行っている。さらに、PCB特措法の処理期限延長を契機に、電気機器以外のPCBに汚染された多種多様な廃棄物のサンプリング、分析評価にも注力し、分析後のPCB廃棄物の収集運搬・処理に向けての顧客へのコンサルティングも行っている。

 同社の環境分析技術は、PCBに汚染された土壌や廃棄物などの負の遺産を浄化・処理してきれいな地球に戻そうとする環境保全・浄化事業においても役立っている。現在進められているPCB汚染土壌や廃棄物処理において、「迅速分析から高精度分析まで」幅広いニーズに対応できるPCB分析技術を確立してきた。特に、藤倉化成⑭と共同で開発したPCB簡易分析kitによる現場分析法(写真4)は、約1時間で浄化・処理状態の確認をできるので、ゼネコンや処理会社から好評を得ており、浄化土壌やPCB処理物の迅速評価、搬入物の管理分析、施設管理分析などにおいて重要な役割を果たしている。

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写真4 PCB簡易分析kit

土壌・地下水汚染調査・対策ソリューション

 同社では、土壌・地下水汚染に係るコンサルティング、調査から浄化対策までの一貫した事業を行っている。揮発性有機化合物(VOC)、重金属などを迅速に分析し、土壌ガス、土壌、地下水などの調査結果に基づいた適正かつ低コストの対策計画を立案し提案している。また、対策後の装置メンテナンスやモニタリングも実施している。

 VOC汚染土壌では、鉄粉を地中の汚染土壌に混合することにより、汚染源を浄化する工法を採用している。一方、地下水の浄化には独自技術である真空ストリッピング技術を保有している。この方法では、VOCで汚染された地下水を揚水し、低ランニングコストで連続的に処理することが可能である。

 また、VOC汚染地下水対策では旧来の揚水法などに比べ低コストで環境負荷の低い原位置浄化技術*1として注目されるバイオレメディエーションによる地下水浄化技術を採用している(写真5)。この工法は地下水中に生息している有用微生物に栄養源を与えて活性化させ、汚染物質を分解させるものである。帯水層の状況(pHや土質など)によって実効性が異なるので、同社ではさまざまなデータを収集し、ノウハウを蓄積している。これに基づき施工した各サイトでは有効な実績を上げている。

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写真5 バイオレメディエーション

 さらに、土壌汚染対策法の対象ではないが、都市開発等の土壌掘削を伴う工事現場等で問題になっている油含有土壌の調査・対策に有効な技術として油簡易分析技術を開発した。現地で短時間に油の含有量を評価可能な技術で、迅速化を実現し、調査・対策時の分析待ち時間の削減による調査・対策費用の大幅なコストダウンを実現している。

顧客事業所の事業活動に直結して利益に貢献する「ソリューション」

 3つ目の柱である環境マネジメント事業では幅広い環境事業分野で培ってきた豊富な実践経験とノウハウを活かし、“PDCAサイクル”の各プロセスにおいて、最適なソリューションを顧客と一体となって探り、提案・実践している。同社の社是でもある確固としたCSRと遵法の精神を踏まえて提案されるソリューションは、顧客の全面的な信頼を得ている。

排出事業者サポートサービス

 同社は、東芝および東芝グループ会社等の全国24事業場(2014年8月現在)から廃棄物管理・環境施設管理を受託している。事業場での環境管理の実務は廃棄物の管理から遵法支援まで多岐多様にわたるが、同社は「ものづくり」と「廃棄物処理」両方の知見からゼロエミッション、トータルコスト削減、法令遵守に貢献している。

 同社が提供するサービスの特徴は、高度な専門性と経験を活かして最適な事業プロセスをオーダーメイドで提案し、実践しているところにある。さらに、継続的な業務改善の提案、安心できる秘密保持は、顧客の良きパートナーとしての信用と信頼を築きあげている。また、リスク管理の一翼として、同社の全国拠点及び協力会社ネットワークを活用した環境関連情報のタイムリーな入手と提供、緊急時の対応を通じて、事業所のBCP(Business Continuity Plan)に寄与している点も見逃せない。

 さらに、解体工事事業においても建家、焼却施設、生産設備の「eco解体」を行っている(写真6)。「eco解体」は、同社のコア技術である解体技術、アスベスト・ダイオキシン・水銀等の有害物除去技術に加え、低騒音・低振動工法等の採用で、近隣住民にも配慮した解体ソリューションである。

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写真6 建物の「eco解体」

実情に即したコンサルティング

 同社は環境(EMS)から品質(QMS)、安全衛生(OHSMS)、情報セキュリティ(ISMS)等の認証取得と取得後のシステム運用、改善支援を行っている他、環境、品質、安全衛生のマネジメントシステムの統合や、企業の本社から工場・営業所までのマネジメントシステムを統括する提案も行っている。また、省エネ、廃棄物管理、ゼロエミッション化、化学物質管理、現場施設改善・リスク管理など、企業の個々の事業所・施設・現場の実情を精査し、継続的な改善に向けて極めて広い範囲の要望に応じている。

 「教育・研修」における主体は、内部監査員養成教育であるが、同社は毎年定期的に“環境塾”を開催するとともに“出前教育”を行い、これまで数千名を超える内部監査員を養成している。分かりやすい独自の教材と経験豊富なコンサルタントの具体的事例解説を通じて内容の理解を深めた後、認定試験を実施して力量の確認を行っている。

先進的な環境テクノロジーの研究開発への取り組み

 同社は、高度で高付加価値な水平リサイクルやレアアース・レアメタルのリサイクルへの取り組み、使用済電気電子機器からの有用金属の効果的な回収技術の開発、廃棄物バイオマスのエネルギー利活用促進のための研究、そして電力利用及び熱利用の効率化等多岐にわたる研究開発を推進している。特に注目を浴びている研究開発事例として、今後普及が予想される新型の太陽光パネルと使用済産業用モータの新たなリユース・リサイクルが挙げられる。太陽光パネル(写真7)のリユース・リサイクルについては、将来廃棄量が多く見込まれる背景を受けて、使用済み太陽光パネルの分離技術や工程を開発し、適正に処理するプロセスを構築した。使用済み太陽光パネルの発電能力を評価し、リユースとリサイクル用途に分けた後、リサイクル用途の使用済み太陽光パネルは、蛍光X線評価により資源・有害性を評価したうえ、ガラスと太陽光電池材料に分離し、ガラスと金属等の有価値物を100%回収し、資源の有効活用を図っている。

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写真7 太陽光パネル

 使用済産業用モータのリサイクルにも取組んでおり、⑭東芝が受託した使用済産業用モータから有価金属をリサイクルに関する国家プロジェクトへ東芝グループとして参画している。製品から使用済モータを取り出し、コンパクトで低コストな分離精製の開発に取り組み、家電・産業機器に不可欠な素材であるレアアースの活用を含めた新たなリサイクルシステムの構築を目指している。

 その他にも、放射性物質や有害物質で汚染された土壌を測定・調査する有効なツールの開発、水処理評価・排水規制物質除去の排水処理の高度化の技術開発にも取り組んでおり、先進的な環境テクノロジーによる総合的なソリューションを図っている。

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*1 原位置浄化技術とは汚染された土壌や地下水を、その場(原位置)で浄化することである。

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