環境ソリューション企業総覧2014Web
旭化成ホームズ

旭化成ホームズ

06_住・生活環境対策 環境ソリューション企業編

独自の住まい方「しぜんごこちの家」を通じて
「心地よさ」の実現と低炭素社会に貢献


旭化成ホームズ

www.asahi-kasei.co.jp/habel


 JR大宮駅の東口からゆっくり歩いて12分。埼玉県さいたま市大宮区の幹線道路沿いに、3階建ての瀟洒な住宅展示場が建っている。これが旭化成ホームズの「街かどへーベルハウス大宮東町(五更観月の家)」である。

 同社では自然を住まいに取り入れ、自然の心地よさを楽しみながら暮らす知恵を盛り込んだ「しぜんごこちの家」を提唱しており、「街かどへーベルハウス大宮東町」はこのコンセプトを搭載したモデルハウスだ。都市部の狭小地にありながら十分な採光や通風が得られ、快適な生活を送れるようさまざまな工夫が施されている。

 このほか、旭化成ホームズでは10年前からへーベルハウスに居住する家族を対象に、各家庭での電気・ガス・水道などの使用状況をウェブサイトに登録し、家族の環境意識を育成することによってCO2削減を目指す「EcoゾウさんClub」を展開している。静岡県富士市の住宅総合技術研究所には里山を再現した「あさひ・いのちの森」を造成し、地域や環境との共生、生物多様性保全の重要さを子供たちに伝え続ける活動も行っている。

「奥の間」や「風の廊下」で通風・日照を取り入れ、自然の恵みの享受で大きな心地よさを実現

 旭化成ホームズの低炭素社会に対する考え方は、自然の恵みを利用した設備機器の導入や自然を最大限に享受できる独自の住まい方の提案を通じて、環境負荷の少ない住宅建設と暮らし方を展開するというもの。「街かどへーベルハウス」は、建て替え需要が見込める地域に同社が土地を購入し、エリアのニーズや敷地条件、周辺環境などに合わせて設計した実売モデルを建設し、一定期間公開した後で分譲住宅として販売するという独自のモデルハウスだ。これまでに全国で400軒以上が公開されている。

 「街かどへーベルハウス大宮東町」の敷地は約27坪と狭いものの、日照や通風を容易に取り入れる独自の工夫をしている。同社が提唱している「しぜんごこちの家」では、吹き抜けや階段室の窓を通して上階の光を下階に導くほか、窓辺に「窓の場」と呼ぶ“くつろぎスペース”を家のあちらこちらに配置し、冬場でも陽だまりでまどろむことができる。通風の確保では北側に大きな窓のある「奥の間」を配置して風の通り道をつくり、夏でも室内を通り抜ける自然の風で涼しい室内となる。さらに階段室や吹き抜けを通して1階の風を2階、3階に引き上げる「風の廊下」を配置、家全体に風の流れをつくりだす。

 駐車場を含む敷地内の土をできるだけ残し、敷地の一部を緑化することによって日射による地面温度の上昇を抑え、輻射熱が室内に伝わることを防いでいる。植栽して生け垣を設けることで日射や照り返しが室内に入り込むことが少なくなり、落葉樹の植栽で夏は強い日差しを遮り、冬は落葉して暖かな光を室内に導くことができる。

 「街かどへーベルハウス大宮東町」では風や光を取り込むほか、夫婦の居場所や家族の居場所、独りの居場所というそれぞれの“場づくり”を提唱し、団欒の在り方や独りでぼんやりできる場も追及した。旭化成ホームズの研究機関である「くらしノベーション研究所」では、「自然の恵みを享受する場に家族の居場所を重ねることによって、より大きな心地よさが得られる」と強調している。

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写真1 日照と通風が得られるよう自然の心地よさを体感できる「街かどへーベルハウス大宮東町」の外観

東京・中野には災害時にも生活できるモデル~環境設備や必需品を備蓄し防災・備蓄拠点に~

 東京・中野区の木造住宅密集地にも、「街かどへーベルハウス」が一般公開されている。「街かどへーベルハウス鍋屋横丁」がそれ。

 ここでは「しぜんごこちの家」の考え方に加えて、都市直下型地震が発生した場合に延焼火災から建物を守るため、ALCコンクリートヘーベルによる現代の「うだつ」を設置した。太陽光発電システム(4.4kW)やガス発電のエネファーム(0.75kW)、蓄電池(7.2kWh)といったエネルギー自立供給設備も備えている。蓄電池は停電時や夜間で発電ができない場合でも主だった機器を約12時間にわたって使用することができ、エネファームは給湯や発電だけでなく震災時の給水タンクとしても機能する。雨水を貯めて散水などに活用できる雨水タンクも設置している。

 旭化成ホームズでは、「街かどへーベルハウス鍋屋横丁」を万一の際に地域住民のための備蓄拠点として位置付けており、住民100人が3日間必要な必需品も備蓄している。

エネルギー使用量などが分かる「EcoゾウさんClub」~会員の7割以上が「エネルギー削減に効果」と回答~

 「EcoゾウさんClub」は2002年12月から公開されている会員制のウェブサイトで、全国のへーベルハウス居住者を中心として約3600組(2013年12月現在)が加入している。同社の自然の恵みを生かした住まい方の提案を通じて環境との共生を推進する一方で、家庭の省エネルギーを支援するサイトである。会員は電気やガス、水道、灯油の使用量などを毎月入力することによって、自宅のエネルギー使用状況やCO2排出状況の変化、節約金額、ゴミ排出量削減などをグラフ化でき、前月との比較や他の会員との比較・ランキングもゲーム感覚で確認することができるシステムとなっている。

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写真2 「ECOゾウさんClub」のウェブサイト

 今年6月、「くらしノベーション研究所」から、これまでの10年間の活動結果が発表された。それによると、会員全体の年間エネルギー消費量の平均はエネルギー白書による全国平均値よりも少なく、2002年の約74GJから徐々に減少して2012年には約66GJとなった。

 また、会員の年間平均CO2排出量も2003年度には4091kgを上回っていたが、2013年には3433kgを下回り、啓発効果が顕著に表れていた。会員の省エネルギーへの取り組みについてでは、7割以上の会員が「EcoゾウさんClubの活動がエネルギー削減に効果がある」と回答していた。

 旭化成ホームズは「しぜんごこちの家」などの提唱を通じて、都市型住宅において身近な自然の心地よさを感じ冷暖房設備などに頼らなくとも快適に過ごす「暮らし方」を普及しており、「くらしノベーション研究所」の活動が認められ2004年には「地球温暖化防止活動環境大臣賞」を受賞した。同研究所では、「10年間に蓄積した活動データーを基に『EcoゾウさんClub』をさらに進化させていくとともに、健康で心地よくあるための住空間の提案に生かしていきたい」と語っている。

次代に自然の大切さを伝える「あさひ・いのちの森」~住宅総合技術研究所でさまざまな環境アイテムを研究~

 JR東海道新幹線の新富士駅から車で約10分。国道1号線に沿って旭化成ホームズの住宅総合技術研究所がある。この一角にある環境活動ゾーンに、約1万m2という広大な「あさひ・いのちの森」が広がっている。

 「あさひ・いのちの森」は2007年に造成され、自然林や里山林、草地、湿地、田んぼ、初夏にはホタルが飛び交うビオトープといった多様な生態系が自然そのものに広がっている。富士川下流域の原風景の再生を目指した取り組みで、旭化成ホームズではここで培った森づくりのコンセプトを都市の住まい方に展開することにしている。

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写真3 静岡県富士市の住宅総合技術研究所内に造成された「あさひ・いのちの森」

 「あさひ・いのちの森」は自社の研究施設にとどまらず、地域の住民などとのふれあいの場にもなっている。現地では2007年に周辺の住民などが参加して植樹祭や田植えなどを開催した。翌年には初のホタル観賞会を開催し、周辺住民や地元の小学生たちが飛び交うホタルを観賞しながら、自然の大切さなどを学んだ。それ以降、毎年、田植えやホタルの幼虫の放流会、定置枠植生調査などを行っており、小学生の自然観察会や課外授業の場として利用されている。こうした取り組みが評価され、2010年には(財)都市緑化基金が認定する「生物多様性保全につながる企業のみどり100選」に選定された。

 「あさひ・いのちの森」のある住宅総合技術研究所の敷地内には、3階建ての実証棟「HH2015」が建設されている。旭化成グループは、・環境・エネルギー・住・くらし・医療―の3分野で新規事業の展開を目指す中期経営計画を策定しており、「HH2015」にはその各分野の最新技術や製品が搭載され、さまざまなアイテムの実用性や事業性を検証している。既に商品化された製品も多く、昨年10月に市販された「ベジユニ」は土を使わずに室内のLEDの光で手軽に栽培することができる卓上水耕栽培キットで、“緑と絆を育てるインテリア”として注目されている。

 このほか、ガラス発泡剤を埋設して循環利用する「雨水利用システム」や太陽光発電システムを設置した「ソーラーカーポート」、打ち水や植物と同じような効果で涼が得られる「蒸散ルーバー」、洗面化粧台の鏡に健康管理や生活情報などが映る「ミラーモニター」などが検証されている。

 旭化成ホームズでは、自然の恵みを利用した設備機器の導入や自然を享受できる独自の住まい方の提案を通じて、低炭素社会の実現に取り組んでいる。地球環境の好転に向けて、旭化成ホームズの自然活用策や省エネルギー対策という取り組みから目が離せない。

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