環境ソリューション企業総覧2014Web
東京ガス

東京ガス

05_省エネルギー 環境ソリューション企業編

地球温暖化対策、停電リスク、電力不足に
威力を発揮する家庭用燃料電池
「エネファーム」


東京ガス

www.tokyo-gas.co.jp/


 東京ガスの「エネファーム」は都市ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、その際に出る熱も給湯に利用するコージェネレーション(熱電併給)システムである。「エネファーム」は家庭に設置するため送電ロスはなく、熱も無駄なく活用できるため総合エネルギー効率は、LHV:低位発熱量基準で95.0%、HHV:高位発熱量基準で85.8%にも上る(後述する新製品による)。火力発電所からの電気と都市ガス給湯器からの給湯を行う場合と比較すると、定格発電時に二酸化炭素排出量を約49%削減、1次エネルギー消費量を約37%削減できる。また、1戸建て(延床面積120m2)で4人家族を前提とすると、年間の光熱費が約6万円節約できると同時に二酸化炭素排出量を約1.3トンの削減が実現する。

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図1 「エネファーム」の仕組み

「燃料電池ユニット」「貯湯ユニット」「バックアップ熱源機」で構成

 「エネファーム」は、大別すると「燃料電池ユニット」「貯湯ユニット」「バックアップ熱源機」の3つで構成されている。

 「燃料電池ユニット」では、まず、燃料処理装置で都市ガスと水蒸気を反応させ、水素を取り出す。そして、取り出した水素を燃料電池スタックへ供給し、空気中の酸素も取り込んで電気と水を発生させる。発生した水は水蒸気として、燃料処理装置で再利用し、電気はインバータで交流電気に変換され、分電盤で電力会社の電気と一緒になって家庭内へ送られる。発電時に発生した燃料処理装置や燃料電池スタックからの熱は、熱回収装置で回収し、貯湯タンクの水を加熱してお湯をつくり、給湯として利用する。「バックアップ熱源機」は、貯湯タンクのお湯が足りない時や貯湯タンク内のお湯の温度が低い時、お風呂の追い焚き時に稼動する。床暖房やミストサウナなどに使う温水もここでつくる。

「エネファーム」普及状況

 「エネファーム」は、2009年5月に世界で初めて一般販売された。発売初年度は、1,500台の実績だったが2013年6月には累計販売台数2万台を達成し、2014年4月には累計販売台数3万台を達成した。なお全国でのエネファーム普及台数は、8万台を越えている。
大幅な低価格と世界最高の総合効率を実現

 東京ガスとパナソニックの共同開発による3機種目(写真1)が2013年4月(2014年4月マイナーチェンジ)に販売が開始された。本製品はパナソニックが東京ガスと共同開発した「燃料電池ユニット」を製造し、東京ガスの子会社であるガスターから調達する「貯湯ユニット」と「バックアップ熱源機」(暖房用温水を加熱したり、貯湯タンクにお湯がなくなった場合にお湯をつくる)を組み合わせて東京ガスに供給している。

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写真1 「エネファーム」製品全景

 本製品の主な特徴は下記の4点である。

 第1は大幅な価格の低減と世界最高の総合効率の実現である。この2点は、「エネファーム」普及の鍵となるもので、大きな注目が集まっている。希望小売価格は1,900,000円(税別、設置工事費別、標準タイプのバックアップ熱源機の場合)で、従来品よりも約76万円の低価格となっている。ちなみに、「エネファーム」の希望小売価格が200万円を下回るのは日本で初めてである。

 こうした低価格が実現したのは、システムの簡素化よって部品点数を従来モデルに比べ約20%削減したことの他、主要デバイスである発電を行うスタックと都市ガスから水素を作る燃料処理器の材料の見直し、貯湯タンクの小型化による。

 また、発電時に発生する熱を回収する経路の断熱を強化することによって排熱回収効率を高め、世界最高の総合効率95.0%(LHV)を達成した(家庭用燃料電池コージェネレーションシステムにおいて:2013年1月現在、パナソニック調べ)。なお、LHV:低位発熱量基準は、燃料ガスを完全に燃焼したとき発熱量から水蒸気凝縮潜熱 を差し引いた値をさす。

 第2は図2に示すように設置性の向上である。首都圏の戸建住宅では、設置スペースの関係で導入が難しいことも少なくないので、普及のためには重要な要素となる。

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図2 設置性の向上

 具体的には、機器の奥行き寸法が従来品の480mmから400mmに寸法削減されており、さらに、これまで機器の背面部で行っていた燃料電池ユニットと貯湯ユニットの接続を機器の下部で行うことで、設置スペースの奥行き寸法を従来品の900mmから750mmに縮小できた。また、「バックアップ熱源機」を「貯湯ユニット」から分離したことなどにより、これまで以上に様々な設置スペースに柔軟に対応できるようになっている。

 なお、バックアップ熱源機は暖房・追いだき・給湯機能を装備した標準タイプの他に、同機能を有し狭小スペース向けの「スリムタイプ」、追いだき・給湯専用の「風呂給湯タイプ」など4種類のラインナップがあり、設置スペースや機能に応じて最適な機種を選択できるようになっている。

 第3は業界初のカラーリモコンの標準装備である。台所や浴室に設置されたリモコンに、日本で初めてカラーディスプレイが標準装備された。画面サイズも従来品の3.5インチから4.3インチに大型化し、文字やグラフが見やすくなっている。また、「エネファーム」と太陽光発電の両方を導入する「ダブル発電」の住宅では、太陽光発電も含めた家全体の発電情報や、「エネファーム」の発電による太陽光発電の売電量増大効果も表示される。さらに、「今日の実績」ボタンを設けてあり、エネファームの運転による電力やお湯の自給率・エコ貢献(CO2削減量)などをワンプッシュで簡単にみることができることから、家庭でのさらなる節電や省エネ行動を促進することが期待されている。

 なお、東京ガスではより一層環境効果を実感していただくことを目的として“ダブル発電応援キャンペーン”を実施している。本キャンペーンは、単価7円/kWh(税込)にダブル発電住宅の太陽光発電設備から発生する余剰電力量(kWh)を乗じたエコキャッシュを年に1度、ダブル発電住宅に住まう顧客に支払うものだ。

 第4は耐久性の向上と発電出力の最適化が図れたことだ。スタック内部にある発電を行う心臓部といわれる電解質膜の耐久性向上などにより、従来品の20%増となる6万時間の運転を可能にした。また、発電出力の下限を従来品の250Wから200Wに下げることにより、電力需要の少ない家庭でも導入がしやすくなった。

 さらに、2014年4月には、マンション向けエネファームの発売と、停電時にエネファームが運転している場合に限り,発電継続できる「停電時発電機能」オプション品の発売を開始した。

 また、2014年10月には、停電時にエネファームが運転停止中でも、自立起動して発電可能な「停電時発電機能」オプション品を発売し、停電リスクに対するエネファームの付加価値を向上した。

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写真2 カラー化と大型化で文字やグラフがより見やすくなったリモコンの液晶画面

10年間のフルサポートサービスを提供

 東京ガスでは、家庭で安心して快適に使用できるように「エネファーム」本体だけでなく、接続機器についても、10年間のフルサポートサービスを無償で提供している。

 フルサポートサービスは、修理対応サービス、定期点検サービス、床暖房や浴室暖房などの接続機器のサポート、で構成されている。

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