環境ソリューション企業総覧2014Web
東芝

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04_再生可能エネルギー 環境ソリューション企業編

2020年モジュール変換効率目標20%を達成
~世界最高レベルの
 発電力の住宅用太陽光発電システム~

東芝

www.toshiba.co.jp/


 住宅用太陽光発電システムで、パナソニックやシャープ、京セラなどの大手を向こうに回し存在感を発揮する東芝。それは、世界最高レベルの発電力を誇る太陽電池モジュールの存在がある。米国サンパワー社の単結晶太陽電池セルを採用し、最大250ワットの出力を実現した。太陽光発電にとって「発電力」がいかに大切か説明しよう。一般的な183ワット程度のモジュールと比較すると、同じ面積の屋根に東芝製を載せた場合、約1.4倍も多く発電量を得られる計算になる。家庭にとっては非常に大きなメリットだ。例えば、東芝の250ワットモジュールを設置すると、一般的なモジュールを設置した場合とくらべて、10年間で約1.7万キロワット時も多く発電が可能で、電力会社への売電量に大きなひらきが生まれるということだ。

 東芝はもともと太陽電池(モジュール)を生産していない。太陽光発電の発展期にはモジュールを自社で持つことは有利に働いた。しかしある程度市場が成熟してくると、技術の差別化が難しくなり誰でも参入しやすくなる。ここ最近は中国企業などが太陽電池に相次ぎ参入、供給過剰で価格が急激に下がり、大手の太陽電池メーカーでも倒産するケースが相次いでいる。汎用化した携帯電話やデジタルオーディオなどと同じ構図だ。各社はメモリーや液晶パネルなどの生産をしていないが、基幹部品を調達し独自のOSやアプリケーションソフト技術を組み合わせ、システムインテグレター(SI)としてシェアを拡大してきた。東芝の太陽光発電システムも、SIとしてデジタル家電のノウハウや長年培ってきた火力、水力などのエネルギー分野を活かし、その片りんを見せつけている。

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写真1 SPR-250NE-WHT-J

世界No.1のモジュール変換効率20.1%

 SIはその都度、最高性能の太陽電池を調達できる点も強みだ。東芝は太陽光発電事業に参入した当初からサンパワーと強固な協力関係を築いている。サンパワーの太陽電池は「バックコンタクト方式」と呼ばれる先端技術。一般的には表面にある電極をすべて裏面に設けて、太陽の光を遮る障害物をなくし、受光部の面積を最大化している。250ワットのモジュールは、反射防止膜に加えて表面の反射をこれまで以上に軽減させる反射低減コート付き強化ガラスを採用し、変換効率で業界最高の20.1%(通常の単結晶は約15-17%)を達成した。同時に見た目も美しい。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「太陽光発電ロードマップ(PV2030+)」(2009年6月時点)で定める2020年の実用モジュール変換効率の技術達成目標(20%)をすでにクリアしてしいる。「東芝の太陽光はひと足早く、2020年へ。」という言葉がキャッチフレーズになるほど。

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図1 太陽電池モジュールの変換効率の技術達成目標

屋根が発電する建材モジュールを開発

 また屋根建材型を商品化できたのも、東芝の技術力とSI力の基盤があるからだ。一般住宅に設置する太陽光パネルは多くの場合屋根置き型といわれ、瓦やスレートに架台を施工し、太陽電池モジュールを設置するが、屋根建材型は、発電する屋根建材として「住宅の一部」となっている。910×1009ミリメートルで125ワットを出力する東芝のモジュールは、ミサワホームの太陽光発電システム付き戸建住宅「ソーラーマックスシリーズ」に採用されている。延べ床面積が30坪台の家なら、太陽光発電システムの出力を10キロワット以上の発電システムとなる。20年の固定価格買い取り制度を利用する場合、10キロワット以上の出力が必要。太陽光発電普及拡大センターの調査によると、全国新築住宅の平均値で4.21キロワット。10キロワット以上を設置しようとすると初期投資が増えるのは当然だが、そもそも設置する屋根の面積が足りないという問題に直面する。ミサワホームの住宅と東芝の発電技術はそれを解決するソリューションだ。設計プランにもよるが、同じ新築設計の一戸建て住宅に比べて300万円台の追加費用で建築できるという。例えば、名古屋市の場合、全量買い取りで月平均約3万円の売電収入で、20年間では約750万円という試算になる。

 現在、東芝の住宅用太陽光発電システムのうち、既築が約9割を占める。業界平均は既築が約75%、新築が25%という数字からも、東芝は新築での市場開拓余地は大きいとみている。既築の顧客は太陽光発電システムを買おうと決めていることが多く、営業マンが性能の良さをきっちり説明すればかなりの確率で売れる。しかし新築の場合、営業マンは家を売ることが使命で、太陽光発電は価格勝負になるケースが多い。日本の新築住宅戸数は年40万件あり、ここ数年、住宅メーカーは競い合うようにスマートハウス(次世代住宅)を投入、太陽光発電はその目玉になっている。引き続き住宅メーカーを引きつける商品の開発を目指していく方針だ。

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写真2 「GENIUS Solar Max」外観イメージ
(画像提供:ミサワホーム株式会社)

販売店との信頼関係が好循環を生む

 「性能が良ければ必ず売れる」-。日本企業が陥りがちな発想だが、デジタル家電で世界を席巻する韓国サムスン電子などをみても、マーケティング力、販売力などいかに『売る力』を身につけるかが事業を成功させるカギになる。東芝の太陽光発電システム事業の強みは、高性能製品と同時に、販売店との間に築いた信頼関係も見逃すわけにはいかない。現在、東芝の販売店は他社に比べて2ケタ、1ケタ少ない。太陽光発電システムは、ほおって置いて勝手に売れる商材ではなく、日本独特の商習慣も存在する。そのため取扱店数と販売量は必ずしも一致しないのが面白いところ。東芝の事業責任者はまず、販売店の不満を直接聞いて回って、本音を伺い、在庫確保や、販売店が、お客様に売りやすいカタログ販促類等を充実させたという。

 特に、製品の品不足を絶対に起こさないこと。販売店は売るものがないと、キャッシュフロー(現金)が枯渇したら窮地に陥る。特に最近は産業用は買い取り制度によりバブル状態。太陽電池をはじめとする部材を住宅用ではなく、供給責任の発生する産業用に回すケースも増えている。太陽光発電システムは太陽電池、パワーコンディショナー、ケーブルなど数多くの部材をシステム化しているため、1つが欠けても製品に仕上がらない。住宅用の顧客も納期が後れて時間が経過するほど不安になり、最悪キャンセルに至ってしまう。東芝は在庫を確保し、欠品には細心の注意を払っている。

 保証についても業界トップレベルで、顧客だけでなく販売店にとっても営業がしやすい。無償保証は他社も10年と横並びだが、有償の「パワフル保証」に申し込むと、モジュール出力で20年。システムで15年。モジュールが1枚でも壊れたら同じモジュールと取り換えなければ、システムそのものの形が変わってしまう。単純に言えば、20年保証の場合、20年間同じモジュールを供給する義務があり、太陽電池の工場を保有し続けなければいけない。その点、東芝は太陽電池はサンパワーと長期の供給契約を結び外部調達しているため、事業の固定費が軽くてすむ。販売量が増えれば収益が上がるビジネスモデルで、稼いだ資金を新たな開発に回すという好循環が生まれている。現在、国内住宅用のシェアは後発ながら15%程度にまで躍進している。ただしシェア拡大には、比較的低価格の汎用タイプや産業向けにも力を入れる必要がある。現在の販売は8割が最高効率の高機能モデル。20年以上使うため、発電力の高い高機能モデルを選ぶ顧客も多いが、国内の住宅用太陽光発電システムの価格は下落しており、それに伴い流通体制の低コスト化も迫られている。今後、普及がさらに進めば、当然、コスト優先の市場も軽視できない。中期的に、高機能と汎用タイプを半々程度にする意向も持っている。

住宅からスマートコミュニティーへ

 東芝は今年度の経営方針説明会で、エネルギー事業への集中投資をかかげ16年度に2.3兆円を目指す。その中でも太陽光発電は中核事業になる。そしてSIの本領をさらに深化させていく領域が、スマートグリッド(次世代電力網)やスマートコミュニティー(次世代環境都市)。自社では太陽光のほかに蓄電池「SCiB」搭載の「エネグーン」、省エネ家電、スマートメーター(次世代電力計)、家庭内の電力を管理する「HEMS」の「フェミニティ」などの製品を持つ。今後は太陽光発電単体のビジネスだけではなく、太陽光発電を起点にし、エネルギーマネジメントを提案する企業としても存在感を発揮するだろう。

太陽光発電HEMS連携システムを発売

 東芝は2014年8月、住宅用太陽光発電システムと連携するHEMS(家庭用エネルギーマネジメントシステム)を発売した。HEMSはエアコンや照明など家電製品をネットワークで結び、家庭内のエネルギーを効率的に使うために監視やコントロールする機器。「いつ、どこで、どれだけの電力が使われている」といった電力の使用状況がモニターで表示されるため、生活者は電力の無駄遣いをすぐに発見できて節電できる。月に一度届く請求書でしかわからなかった電力量も、月の途中でもわかるため、節電意識を高めやすい。震災後の電力不足をきっかけに注目が集まるようになって普及が始まった。

 発売した太陽光発電HEMS連携アプリ「ヒカルスクTM」は家の電力使用状況以外に太陽光パネルの発電状況もわかわる。加えてガスや水道、さらに家庭用燃料電池システム「エネファーム」、蓄電池といったエネルギー機器を一元管理できる。つまり、家全体のエネルギーの使われ方を詳細に把握できるので、光熱費の削減につながる。

 太陽光発電システムの表示器には東芝の「レグザタブレッド」を使う。発電量の情報はもちろん、発電した電力の自宅での使用量、電力会社への売電の状況や実績を確認できる。 HEMSは家庭内の分岐ブレーカーごとに電力使用量を計測するので、部屋ごとの電力消費量がわかる。太陽光やエネファーム、蓄電池の情報もまとめて管理できるので、レグザタブレッドの画面では家全体のエネルギーの流れがわかる表示も可能だ。例えば「いま太陽光パネルの発電で家中の電力を賄っている」「発電量が消費量を上回っているので、家で使い切れない余剰電力が発生して売電をしている」「エアコンの温度設定を変えたり、外光が入って明るい部屋の照明を切れるともっと売電量を増やせる」といった状況がすぐにわかる。

 これまで見えなかった「エネルギーの流れ」が見えるようになるので、太陽光発電システムをさらに有効利用できるようになる。もちろん、より効果的な節電対策も打てる。

 データ分析機能も充実させた。HEMSが各機器から集めたデータは、知りたい内容に合わせて好きなようにアレンジして表示できる。例えば発電量と売電量の比較も「レグザタブレッド」のタッチパネル操作で簡単にできる。比べたい期間も選択可能だ。

 東芝HEMS「フェミニティ倶楽部」に加入すると、家庭内のより詳細な電力使用量や電力会社の需給状況もグラフやカレンダーで表示できる。例えば部屋別の電力使用量を棒グラフで示すと、エネルギーを一番使っている部屋がわかる。1日ごとの電力使用量を棒グラフ化して並べると1カ月でもっとも電力を使った日がわかる。さらに1日の時間帯別の使用量もグラフ化し、電力会社の需給状況も一緒に表示できる。もちろん1年前、1カ月前、1週間前の実績との比較も可能。家庭であってもエネルギーの使われ方を詳細に分析できて節電意識を維持しやすい。

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図2 太陽光発電HEMS連携システム

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