環境ソリューション企業総覧2014Web
月島環境エンジニアリング

月島環境エンジニアリング

03_リサイクル・廃棄物対策 環境ソリューション企業編

環境設備エンジニアリングのトップメーカー、
廃棄物からのリサイクル、
エネルギー回収を推進


月島環境エンジニアリング

www.tske.co.jp/


 月島環境エンジニアリングは月島機械グループの一員として民間向け環境装置事業を担う。

 1958年の創業以来、化学工業や製鉄分野のエンジニアリングで培った技術をベースに環境装置事業を手掛けてきた。中でも、廃液の焼却処理設備はパイオニア的存在で、国内のみならず世界各国に併せて500基以上の設備納入実績を持っており、その納入数は世界一である。

 また、独自技術である焼却炉と充填物テラレットを使用した酸回収技術(塩酸、フッ酸)は、世界に向けて120基以上販売してきている。

 一方で、同社は固形廃棄物処理設備もキルンはガス化キルンと溶融/焼却キルンの2種類、そして流動炉も流動床方式と循環流動層方式の2種類を所有しており、各種処理物への対応は万全で、国内外での実績は既に80基ある。

 近年は2011年の原発事故以来、エネルギー確保の多様化、またその意識の高まりから、国内では熱からのエネルギーリサイクル技術に対する期待が大きくなっている。

 また、近年始まった資源争奪は今も続いており、貴金属リサイクル技術は今後も継続的に活用されると見ており、 これらのリサイクル事業は同社の今後の主力事業として重要度を増している。

熱からのエネルギーリサイクル

 同社では、従来、廃棄物処理炉において廃熱を回収する装置を設置してきており熱からのエネルギー回収のノウハウは豊富に培ってきている。回収方法も顧客の用途に合わせて、蒸気や温水での回収に加え、蒸気や特殊媒体を使用してタービンを回して電気を回収する装置など様々な方法を手掛けている。

 最近では、国内の企業において高効率で回収する本格的な廃棄物発電設備を5基納入した。

 写真1の設備は3年前より営業運転を開始しており、日量135トンで、4MWの発電を可能としている。

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写真1 蒸気タービン発電機

 また、従来同社の得意な廃液の焼却処理設備(液中燃焼装置)は、燃焼排ガスを水にくぐらすことで、塩類をその水に溶解させるので、装置構成を極めてシンプルにしている。

 しかし、水をくぐらせることで燃焼排ガスの熱量は水に奪われ、900℃から90℃まで下がってしまう。

 そこで、同社はバイナリー発電の技術を適用し、排ガスから吸収した熱量を持つ水から発電する技術を開発した(写真2)。

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写真2 タービン発電機(バイナリー発電)

 この技術は、液中燃焼装置への適用のみならず、200℃以下で未利用の排ガスから温水に転換することでも発電が可能である。

 同社は現在実証試験を終え、2014年度中の受注を目指している。

排水からの燃料リサイクル

 近年、工場からの排水の規制はより厳しくなってきている。

 月島環境エンジニアリングは、触媒を利用して排水中の有機物を分解するだけでなく、その有機物から燃料ガスを回収する全く新しい技術を発表、それが水熱ガス化設備である。

 この設備(写真3)は自ら燃料を発生させるため、立上げ/立下げ時以外は外部からの燃料を使用せず、 非常に低ランニングコストで、かつ大幅なCO2排出量の削減を可能としている。

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写真3 水熱ガス化設備

 また、生物では処理できない難分解性物質も分解できる上、生物処理槽の負荷を大幅に軽減できる。これまでに、エンジニアリング協会の「平成24年度 第4回エンジニアリング奨励特別賞」を受賞した。

貴金属のリサイクル

 近年の電子機器の消費サイクルは早く、数年での交換も珍しくない中、多量の電子部品類が排出されている。「都市鉱山」とも形容されるが、そこからの貴金属回収は日本にとって重要な資源確保の手段となっておりまた今後もさらなる低コスト化や効率的な回収が求められるであろう。

 同社はガス化キルンを利用した還元型回収方式(写真4)と、焼却・溶融キルンを使用した酸化型回収方式(写真5)のシステムを有している。

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写真4

写真5 溶融キルン

 いずれのシステムも特徴的で、様々な製錬工程にマッチした提案を可能としており効率的な回収やコスト削減に貢献している。

 例えば、製錬での燃費を少しでもよくしたいというケースには、被処理物中のカーボンが残留する還元型回収方式を適用する。

 一方で、被処理物全体の発熱量が高い場合、その熱量を利用して溶融できる酸化型回収方式を適用できるなど合わせ技を持った設備の提案を行っている。

溶剤のリサイクル

 現在、健康問題に端を発し、VOC(揮発性有機化合物)の規制はより厳しいものとなっている。そのVOCから溶剤として回収する設備は、深冷法か活性炭での吸着法が主流となっているが、深冷法では回収率を高くできず、活性炭吸着では脱着と精製に熱エネルギーを多く使用してしまうデメリットもある。

 一方で、以前からシリカゲルやゼオライトを使用するPSA式吸着法も着目されていたが、サイズが大きく高価な濃縮装置などで吸着させるVOCの濃度を高くしないと、吸着材を多量に使用することになり、イニシャルコストを跳ね上げる要因となっていた。

 それらのデメリットを踏まえ、新しい考え方を利用したPSA式吸着装置が明治大学と共同で開発したDual Reflux PSA式溶剤回収装置(写真6)である。

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写真6 新型PSA

 濃縮段と回収段に分かれた吸着塔で操作し、100volppm((注)vol ppmは体積百万分立:ガス中の濃度を表す単位の一つ)クラスの低濃度VOCでも大きな濃縮装置を設置することがないため、コストダウンと設置スペース低減を両立させている。

 2013年度に1基受注し、今後の受注拡大を目指している。

太陽電池市場向け環境装置におけるリサイクル

 月島環境エンジニアリングは、将来の太陽電池市場を見据えて、2009年に太陽電池の原料であるシランガス類の余剰ガスを処理するシステムを開発した。

 このシステムは、焼却技術と塩酸回収技術といういずれも同社の得意とする技術を組み合わせたもので、 設備の塩酸回収部では、20%の塩酸から100%の塩化水素ガスまで自在に濃度調整ができ、また、ガス状物質、液状物質のいずれにも対応できる。

 既に実証(写真7)を終え、引合対応をしている段階で、2014年度中の受注を目指している。

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写真7 シラン処理

 

プラスチック充填物のパイオニア

 同社は合成樹脂製充填物のパイオニアとしても知られている。プラスチック充填物「テラレット」ブランドは国内外に広く知られている(写真8)。多種の吸収塔や放散塔、除害塔に多く使われ、その実績を基により効率的な充填塔のエンジニアリングサービスなども幅広く展開している。テラレット以外にもドイツのラシヒ社と韓国のハンバルマステック社と提携し、それぞれ第4世代の高性能不規則充填物であるスーパーリングや、高性能規則充填物、トレイなどのタワーインターナルも販売する。また金属充填物「メタレット」も手がける。これらの充填物を使った充填塔は液中燃焼装置や特殊充填塔を含めた同社の製品群にも多く使われている。同社はそれらを総合的なエンジニアリングとして提案できるのが強みだ。

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写真8 プラスチック充填物「テラレット」

 テラレットは充填塔の内部に設置する充填物で、排ガス中の有害物質を水で吸収する時にそれを促進する効果がある。排ガスを処理する場合、通常水スプレーだけでは有害物質の吸収は十分ではない。このため塔の内部にテラレットを設置すると、塔上部から降り注ぐ水はテラレットの表面で薄い膜状になる。水はテラレットを流れ落ち、充填塔の下部から上に向かって流れる廃ガスとテラレット表面で気液接触して有害物質を吸収する仕組みだ。テラレットは合成樹脂材としてPPやPE、PVCのほか、ETFE、PVDF、PFAのようなフッ素樹脂でも製作できる。

 同社のテラレットは、①死面を形成しないので有効面積が大きい ②線構造のため圧損が小さく設計上、塔径を小さくできる ③曲線構造のため液分布が良い ④軽量かつ化学的、機械的性質が強いなどが挙げられる。

技術サービス、研究開発でも顧客サポート

 同社は技術サービス部門も充実している。本社と九州事務所(北九州市)に高度な技術を持つエンジニアが結集し、各種装置のメンテナンスや性能強化、省エネルギー対策などをバックアップしている。研究・実験部門(千葉県市川市)も強力だ。環境保全対策を主眼に取り組み、広範囲にわたる産業に装置を提供してきた技術・ノウハウを活用してもらうため各種実験・測定装置を用意している。技術サービス部門と研究・実験部門の強力な支援のもと、装置の各種改造や更新から能力増強、燃料転換、省エネ対策まで、総合的な技術ソリューションサービスを併せて展開していることが顧客から高い評価につながっている。

 また、環境エンジニアリング専業企業として長年培ってきた経験に裏打ちされた顧客サポート力にも定評がある。環境装置導入の際の官庁への届け出や申請を支援する。幅広い情報収集能力を持ち、各種補助金についても精通しており、さまざまな面から顧客ニーズに応える。

 環境保全には同社のような様々な設備や技術も重要だが、サービス面における「ソフト」の部分がそれらの設備の価値をさらに高めてゆくものと思われる。

 

 

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高い耐久年数を実現したフロン類破壊装置

 月島環境エンジアリングの主力装置である液中燃焼装置の技術を応用展開して開発したのがフロン類破壊装置だ。液中燃焼方式によって雑種・雑多なフロン類やフッ素系廃ガスを大量にかつ高効率に破壊できる。このため設備コストや運転コストにメリットが多く、排水や廃ガス処理が効率的にできる。
 年間稼働時間8,000時間程度の連続運転とともに、フッ化水素や塩化水素、塩酸の耐性を考慮した材料を採用したことで高い耐久年数も実現した。

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フロン類破壊装置

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