環境ソリューション企業総覧2014Web
小松電機産業

小松電機産業

02_水質・土壌対策 環境ソリューション企業編

周藤彌兵衞翁の物語から生まれたやくも水神
~「地方創生」実現する、広域クロスオーバー管理~


小松電機産業

www.komatsuelec.co.jp


 小松電機産業は、シートシャッターhappy gate門番システム、クラウド総合水管理システム「やくも水神」ネットワーク、人間自然科学研究所の3つの事業を通じて、「社業を通じて社会に喜びの輪を広げよう」「おもしろ おかしく たのしく ゆかいに」「三方良し、後利」を社是、経営理念、行動指針におき、対立統合発展を繰り返されるなかで、スパイラル状に21世紀の平和の文化が広がることを目指し活動している。

 本社がある島根県松江市は豊かな汽水を湛える宍道湖と中海の中間に位置し、江戸時代から今日まで、治水が政治の最重要課題である。1973年、ポンプの修理業から始まった同社の水事業は、こうした出雲の歴史と文化を背景にICTを組み合わせて「やくも水神」として全国展開する製品に成長。システムは自治体間の口コミで広がり、2014年7月現在、北海道から沖縄まで、360自治体、7600施設で稼働。まちづくりや人材活用を実行するために安倍内閣の重要課題「地方創生」に応え、地域発全国そして世界に広がる事業モデルとなっている。

治水の偉人・周藤彌兵衞翁の大銅像除幕

 治水の偉人・周藤彌兵衞翁(すとう・やへえ:1651~1752年)は、剣山と呼ばれる岩山に阻まれ、蛇行して村にたびたび水害を引き起こした意宇川の流れを変えるため、56歳から私財をなげうち、42年もかけて、ノミと槌で山を切り開いた。現場は「剣山切通し」と呼ばれ、今でもノミの跡が残る。

 翁の顕彰事業は、「水と志」で事業展開する同社の一貫した姿勢の中で進められて来た。文献等の資料が少なかった周藤翁の物語を、「世界に通じる仕事」「今の時代だからこそ必要」と考えた小松昭夫社長は、1994年、一村一志運動の提唱とともに小説・児童文学・漫画「周藤彌兵衛」を一挙に刊行、出版記念シンポジウムを開催して、周藤翁を「やくも水神」展開のプランドと位置づけた(写真1)。続いて宍道湖の増水から松江を守るために人工河川「佐陀川」の造成工事を進めた清原太兵衛(きよはら・たへえ:1712~1788年)、砂地だった出雲平野に多くの水路を引き新田開発を行った大梶七兵衛(おおかじ・しちべえ:1621~1689年)をそれぞれ刊行、「水の偉人」顕彰事業を軌道に乗せた。

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写真1 1995年4月 小説・児童文学・漫画の一挙刊行を記念して開かれた周藤彌兵衛翁シンポジウム(松江市)

 2002年、日中国交正常化30周年を記念して、孔子、孟子、周藤翁、清原翁の4体の銅像を、日中戦争の激戦地・中国山東省棗荘市で制作。孔子孟子像は鳥取県の日本最大中国庭園「燕趙園」に、周藤・清原翁像は小松電機産業本社玄関ホールに建立された。こうした経緯をもとに、8月11日「山の日」が制定され、水資源循環基本法が成立して初めての「水の日」である2014年8月1日に、前比8倍になる大銅像(2.7m×2.8m×1.7m)を国交正常化40周年を記念して新たに制作。松江市八雲町の親水公園に建立した(写真2)。

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写真2 2014年8月1日 水循環基本法成立後初の「水の日」に、松江市八雲町で除幕された周藤彌兵衛翁像

ズットナー像を迎えシンポジウム

 周藤翁の大銅像事業と同時に、同社はヨーロッパで女性初の平和賞受賞者になったベルタ・フォン・ズットナー(1843-1914年)の胸像制作を進めている。小松社長は2013年9月、オランダ・ハーグの世界平和宮(国際司法裁判所)100年記念式典出席から2014年まで、3年連続でヨーロッパを訪問。カーネギー財団がオランダ・ハーグの国際司法裁判所100周年を記念して制作した2体のズットナー像のうち、ハーグ市庁舎で展示されている胸像の2号像を制作。ウィーンでこの像が長期展示されるにあたり、第一回ズットナー賞を受賞した。作者イングリッド・ロレマ氏はさらに3号像を制作中。2014年11月23日に松江市で開かれる記念シンポジウムで、来日と同時に公開される予定だ。小松社長は「周藤翁をトロイの木馬にみたて、そこからズットナー像が何体も生まれるイメージ。4号像以降は、日本で制作して世界に広がるようにしたい」と話している。

クラウド総合水管理システム「やくも水神」とクロスオーバー管理

 周藤翁の事業から250年を経た2000年9月、政府は情報化による全国各地からの新産業創出を目指してe-Japan構想を打ち出した。「やくも水神」は、この構想を受けて全国展開を開始。従来の中央監視方式と異なり、役所側はサーバー設置のコストがかからないこと、現場にいながら数値を確認し遠方の技術者と相談しながらの施設運用ができるようになり、経験の無い担当者であっても熟練者と同じような管理ができる点などが好評価され、国交省の成功モデル(兵庫県多可町、長崎県長崎市)として紹介された(2003年11月、下水道におけるICT活用に関する検討会)。

 市町村合併により、自治体は職員削減と同時に、管理エリアの広域化と上下水統合管理を進める流れが広がっている。広域なエリアに点在する施設を上下水、簡易水道、農漁村集落排水、農業用水、ゲート、消雪など水に関するあらゆる施設を一つの地図画面で表示。職員の負担を大幅に軽減する「広域クロスオーバー管理」を提唱(写真3)。導入すれば高速道路や一級河川の流域でつながる複数の自治体が、地域をエリアで区分けして職員を配置。上下水に限らずエリア内にある様々な水関連施設の情報を、タブレット端末やスマートフォンを使って場所を選ばず状況確認と管理ができる(写真4)。

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写真3 水神ネットワーク図

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写真4 配水地、マンホールポンプなど水関連施設を、一つの画面で確認できる

 2006年に4町村が合併した福島県南会津町では、消防団員を務める役場職員が、貯水槽の水位を「やくも水神」を使ってスマートフォンで確認しながら、消防活動をする事例が2013年10月にあった。住宅地の高低差が100m以上あり、広大なエリアで「広域クロスオーバー管理」を実現するため、やくも水神の導入が進んでいる。

 富山県など消雪施設の導入が進んでいる地域ではグループ制御とカメラ監視による効率的な施設運用を進める「やくも水神」消融雪設備管理制御システムの導入が進んでいる。本年からはスマートフォンやタブレット端末でも遠隔操作ができるようになった(写真5)。

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写真5 消融雪設備管理制御システム

 福井県で4市町にまたがって進められている農業用水のパイプライン化事業、九頭竜川農業省水再編対策事業でも、やくも水神は試験導入され、広域管理が進められている。

21世紀の村おこし

 周藤彌兵衞翁は「木には木の心、水には水の心、石には石の心がある。その心がわからなければいい仕事は出来ない」と説いたという。「やくも水神」は人類の特性を直視、“使う人の気持ちに沿い、衣食住が足った世界における理想的な管理システムのあり方”を問う、人間自然科学研究所の一村一志運動とICTが融合した“21世紀の村おこし”を念じた製品である。

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