環境ソリューション企業総覧2014Web
日東電工

日東電工

02_水質・土壌対策 環境ソリューション企業編

RO膜技術で水処理問題に挑む


日東電工

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 世界的に深刻化する水不足、水質汚染。人口増と都市化の進展により水を取り巻く環境は厳しさを増している。そうした水問題の解決に逆浸透(RO)膜を中心として貢献しているのが日東電工。需要が増加している海水淡水化、排水リサイクルでは世界市場でトップクラスのシェアを持ち、さらなる事業拡大に取り組んでいる。水問題の深刻化、広がりに疑問を抱く人はいないだろう。連日のように報道される世界各国での干ばつや水源の枯渇、水質汚染といった水問題の解決は待ったなしの状況にある。日東電工がメンブレン事業部で展開しているRO膜をはじめとする膜関連製品・サービスはこうした問題解決のキーとなる技術の一つだ。

 半透膜で仕切られた容器に濃厚溶液と希薄溶液を入れると、浸透圧の差によって希薄溶液側の溶媒が濃厚溶液側に半透膜を通って移行し、両溶液の濃度が一定になろうとする。この現象を「浸透」と言うが、逆浸透とは濃厚溶液側に浸透圧より大きな圧力を加えることによって、半透膜を通して溶媒を濃厚溶液側から希薄溶液側に移行させることを言う。この逆浸透の原理を膜分離に利用した製品がRO膜である。日東電工のRO膜は芳香族系ポリアミドやポリビニルアルコール、スルホン化ポリエーテルスルホンなどの材料でつくった平膜をスパイラル状に加工。加工したエレメントを耐圧容器に入れたモジュール内に原水を通し、ろ過された透過水と除去する物質が含まれた濃縮水に分離する仕組みだ。

 日東電工はシートやフィルムのトップメーカーとして培った高分子合成・加工技術やコーティング技術、界面重合技術などを複合させることにより1973年に水処理用の膜研究を開始。1986年には世界初の膜専門工場を滋賀県で稼働した。

他社の追随を許さない技術を有し業界をリード

 1987年には事業拡大のうえで転機となる米膜メーカーのハイドロノーティクス社買収を実施。製品・技術の面でも1995年には低圧でも作動するため大幅な省エネルギーが図れる「超低圧RO膜」、1997年には汚染に強い「耐汚染性RO膜」など世界に先駆けた技術開発を行い、業界をリードしてきた。

 最新の海水淡水化向けRO膜である「SWC5-MAX(写真1)」は世界最高の塩除去率99.8%と、高い透水性を両立した製品で、従来のSWC5の塩分除去率を維持しつつ、透過水量を約10%増加させることに成功した。塩の除去と高い透水性という相反する性能を高次元でバランスさせた他社の追随を許さないレベルを実現している。

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写真1 海水淡水化用RO膜「SWC5-MAX」

シンガポールの水処理に貢献

 また水処理分野で世界的に注目されているシンガポールのNEWaterプロジェクトにも、日東電工の技術は欠かせない要素。NEWaterは下水処理施設から排水された処理水を前処理膜、RO膜、紫外線殺菌の3段階の処理で飲料用途に適するレベルまで処理するプロセスだ。シンガポールの公益事業庁(PUB)は同プロジェクトを積極的に推進しており、日東電工のRO膜は2000年の同国ペドックのデモンストレーションプラント稼働を皮切りに、2002年に同じくペドックで造水規模日量3万2,000トン、クランジの第一期分同4万トンのプラントに採用。さらに2006年に同国最大規模のウルパンダンで同16万6,000トンのプラントに採用された。ROエレメントの納入本数も約2万本に達している。すでに日東電工はNEWaterプロジェクトに無くてはならない存在。同社はシンガポールに各種水処理技術の実証試験が可能なR&D設備を稼働するなど、水問題で世界的に先端を走る同国での活動を強化していく方針だ。

 こうした市場シェア、大型かつ重要なプロジェクトでの採用を支えている力の一つが、他を圧倒するグローバルレベルのインフラ。1987年の米ハイドロノーティクス社買収によって得た海外拠点を基盤に、日東電工は膜製造で日本、米国に、モジュール組み立てで中国に合計3拠点の生産工場を運用。同時に販売と技術サポートを行うセールス・テクニカルサービス拠点を日本、欧米や中国、インド、中東など世界20数カ所に展開している。同業他社に比べて充実した拠点網は市場における情報収集で優位にたつポイント。他社の海外拠点の機能が販売に留まっているのに対し、日東電工は拠点を通じて国内外のユーザーに技術サポートを提供することで、高い信頼感を得ている。

他社との連携

 2011年にはシンガポールの中空糸膜の製造販売会社メムスター社と、委託生産および製品供給における業務提携契約を締結。これまで、RO膜を中心に水処理膜事業を展開してきたが、シンガポールに本部・開発拠点、中国に生産拠点を置くメムスター社と提携し、中空糸膜のラインナップを強化するとともに技術の融合を図り、中国をはじめグローバルに排水処理や工業用途に向けた水処理膜事業の拡大を図っている。

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