環境ソリューション企業総覧2014Web
インタビュー テクノヒル 鈴木一行氏

インタビュー テクノヒル 鈴木一行氏

特集 特集2 リスク社会の環境課題とソリューション

労働安全衛生法改正に伴い
中小規模事業場を対象に
化学物質のリスクアセスメントを支援


テクノヒル

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鈴木一行社長に聞く

聞き手:環境ソリューション編集部


 建築や印刷などの作業現場では、洗浄等のために化学物質を使用するケースが多い。化学物質には危険性や有害要因が潜んでおり、使い方ひとつで、作業員に思わぬ健康被害をもたらす危険性も孕んでいる。こうした状況をふまえ、先ごろ労働安全衛生法が改正、リスクアセスメント(化学物質管理)義務付け対象の化学物質がかなり増えた。ここでは、この分野で豊富な実績をもつテクノヒル代表取締役鈴木一行氏に、特に中小規模事業場では、化学物質のリスクアセスメントにどう対処すべきか、聞いた。

職場における化学物質のリスクが現実化

 化学物質は、日本国内だけでも約6万種類が流通しているといわれている。こうした化学物質は、たいへん多くの製造作業の現場で使用されているが、当然それらがもつ危険性/有害性要因は、現場労働者の健康に影響を及ぼしてしまうというリスクと背中合わせだ。現にわが国では、そうしたリスクが現実化し、大阪の印刷所で働く労働者の方たちが胆管がんにより亡くなった事実が2012年に明らかにされた(労災申請は76名)。原因は、印刷機の洗浄剤に含まれる高濃度の有機塩素系化合物に暴露し続けていたことによるものとされている。こうしたケースは、過去に発生したアスベストやPCBの問題などが記憶に新しいところだ。

労働安全衛生法が改正、リスクアセスメント義務付け化学物質も大幅増大

 もともと企業に対しては、この法律(28条の2)により、「リスクアセスメント」すなわち職場の危険有害性の調査を実施し、必要な措置で対処することが求められていた。しかし、現状においては、個別規制物質の職場における危険性及び有害性の防止措置の義務付けはされているものの、その他の化学物質については、努力義務にとどまっているにすぎない。

 また、中小規模事業場では、ラベル・SDS(Safety Data Sheet:安全データシート。事業者が適切な管理や改善ができるよう該当化学物質の成分や性質、取扱法などを記入したもの、写真1)の内容も十分に伝わっていないのが実情だ。こうした折り、前述のように大阪の印刷工場における労災が発生したが、今後も新たに発生しないという保証は一切ないといえる。

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写真1 ラベル・SDSの例

 そして2014年6月に、労働安全衛生法の改正が成立、公布された。このきっかけとなったのは、あの大阪における印刷工場でのこと、とされている。図1で、改正のキーポイントをみよう。

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図1 労働安全衛生法改正に伴う化学物質管理の考え方

 図左側が、改正前の主な規制内容が示されており、重度の健康障害の恐れがあって十分な防止対策がない石綿など8種類の化学物質は製造が禁止されており、PCB(Poly Chlorinated Biphenyl:ポリ塩化ビフェニル)など健康障害多発が想定され特にリスクが高い業務がある116種類の化学物質は個別規制となっている。そして、SDSは上記116種類の化学物質を含め、かつ大阪の印刷工場のケースにみられるような、使用量や使用法によってリスクを伴う一定の危険・有害な640種類の化学物質に対して交付義務がある。但し、リスクアセスメントは努力義務の範囲を出ていない。

 また、図右側が、改正後の主な規制内容であり、とくにここでの重要なキーポイントは、SDS交付義務のある640物質のうち、個別規制のない化学物質に対して、新たにリスクアセスメントが義務づけられたことである。

中小規模事業場に向けて化学物質のリスクアセスメントを支援

 確かに、労働安全衛生法が改正されたから、「さあ今日から一定の危険・有害な化学物質のリスクアセスメントに着手しなさい」といわれても、化学物質の専門家がいない中小規模事業場などではとまどうところも少なくなかろう。

 しかし、そうした中小規模事業場にとって、朗報があるのだ。すなわち、厚生労働省の委託事業として、化学物質管理にかけては多大かつ豊富な実績をもつテクノヒルが、そうした中小規模事業場を対象に向けたリスクアセスメントを主軸に支援することを受託したのである。

 この事業の主な内容は、「中小規模事業場におけるラベル・SDS記載内容理解の推進」及び「ラベル・SDS記載の危険有害性情報を活用してリスクアセスメントを普及させる」ことだ。テクノヒルでは具体的に、次のような事業を行う。

① 化学物質管理に関する無料の電話相談窓口を開設
② 無料で、中小規模事業場への専門家訪問によるリスクアセスメント実施の支援を行う。

 これらの中には、リスクアセスメントの方法をはじめリスクアセスメントを行うためのラベル・SDSの読み方、リスクアセスメント結果の内容の説明、リスクを低減させるための措置の考え方など、方法と対策をアドバイスする、といった極めて具体的なことを中心に支援してくれるのである。

 なお、リスクアセスメントを実施するにあたっての簡易手法としては、厚生労働省ホームページにて、コントロールバンディングが提供されている。コントロールバンディングは、もともとILO(International Labour Organization)が発展途上国の中小規模事業場向けに、簡単にリスクアセスメントが可能な手法を提供したソフトウェアである。厚生労働省ではこれを導入、このソフトウェアを利用すれば、有害性のある化学物質を使用するにあたって、どのような措置が必要か、などの把握が可能となっている。

http://anzeninfo.mhlw.go.jp/ras/user/anzen/kag/ras start.html)。

中小規模事業場では自己防衛のために化学物質のリスクアセスメントを重視

 わが国ではいま、化学関係のメーカーだけみても、5000社をくだらない。プラスティックやゴム関係分野までを加えると1万社になる。さらに、化学物質を事業で利用する業者まで加えると数十万事業所という数字になってしまう。

 また、いまわが国で流通していると思われる6万種類の化学物質のうち、有害性の評価を終えているのは約1万種類程度にとどまる。残り5万種類近くは、過去の経験上に基づいての判断で使用することになるが、使い方によっては有害性が生ずる可能性もあるので、適正な使い方が肝要だ。したがって、前述のリスクアセスメントは自社における従業員の健康安全管理や命を守るためなど、自己防衛のために行わなければならないであろう。そのために、SDSやラベルの入手も必要であろうし、中小規模事業場では、化学物質の理解を深めることも必要であろう。そして、諸方面からの関連情報の入手も尽力すべきだ。

 テクノヒルはいま、そのための中小規模事業場を支援する使命感に燃えている。問合わせは、テクノヒル(株)(〒103-0014 東京都中央区日本橋蠣殻町2-5-3サンホリベビル4階)、TEL03-6231-0133、03-6231-0851、メール相談:chemical@technohill.co.jpまで。

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