ソリューション企業総覧 Web版
和興フィルタテクノロジー/和興テクノ

和興フィルタテクノロジー/和興テクノ

環境ソリューション企業編

バイオビジネスの育成と成長戦略
~天然抗菌洗浄水・足元用抗菌スプレー
 ・可視光応答型光触媒~


和興フィルタテクノロジー/和興テクノ

www.waftec.jp


 

 和興フィルタテクノロジー(WAFTEC)は、自動車、建産機、装置向けのフィルタ製造で培われた技術を応用展開し、2008年にバイオビジネスに参入。4つ目の事業として育成しようと研究開発を進めている。

持続性と安全性の高い抗菌洗浄水

 その一つが13年6月に開催された「国際食品工業展」にも出展した天然抗菌洗浄水「LYZOX(リゾックス)」(写真1)だ。独自の手法でたんぱく質と食物繊維といった食品成分を結合させて複合体を精製したほか、ミクロコッカス菌や黄色ブドウ球菌に代表されるグラム陽性菌と、大腸菌やサルモネラに代表されるグラム陰性菌の両方に高い抗菌作用を示すのが特長だ。また、リゾックス溶液は天然成分を加えただけの水であるため、無色透明で無臭。このため、日本食品分析センター(東京都渋谷区)や薬物安全性試験センター(同新宿区)などの試験機関での結果は、マウスを用いた経口毒性やウサギを用いた皮膚刺激性など11種類の試験でいずれも毒性が認められなかった。

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写真1 天然抗菌洗浄水「LYZOX」

 

 リゾックスの開発は、WAFTEC顧問で山口大学農学部の加藤昭夫名誉教授と05年に共同開発を始めた花粉症対策用サプリメント「春よこい」の製品開発に始まる。減感作療法に基づくサプリメントで、すぎ花粉のたんぱく質を多糖で覆うことで、体内に取り入れても急激な拒絶反応を起こすことなく、時間をかけて花粉症を抑制していく。このすぎ花粉からたんぱく質を抽出する作業工程は、通常、コストがかさむため、抽出は困難だが、WAFTECのフィルタ技術を使用することで抽出効率を引き上げられ、大量生産が可能になった。

 この「春よこい」で活用したコア技術を応用したのが「リゾックス」だ。たんぱく質と食物繊維を結合させる研究は、山口大の加藤名誉教授が行い、WAFTECが工業化した。

 主成分の性質から、従来の各種抗菌剤にはそれぞれ用途がある(図1)。エタノールなど、手肌の殺菌や金属器具の殺菌に使われるアルコール系は殺菌効果があるものの、一部の菌やウイルスには無効で揮発性が高く効果は一過性だ。また、野菜や金属以外の器具の殺菌に使われる次亜塩素酸ナトリウムも殺菌力はあるものの、効果は一過性で漂白性や金属腐食性があり、塩素臭もある。

 これに比べて「リゾックス」は、即効性はないが、水洗いしない限り、効果は持続し、刺激性や腐食性がない。飲んでも問題ないほど安全なため、人に近い領域で使用できることから差別化を図ろうとしている。現在、量産は未定だがサンプル提供中で、安全性と持続性をアピールし、エタノールで殺菌した後の利用を見込み、食品工場や医療分野での利用促進に努めている。

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図1 他の抗菌成分との比較

 

足元の抗菌に

 「リゾックス」の持続性をアピールし、初めて製品化したのが、足元用抗菌スプレー「FootMate(フットメイト)」(写真2)だ。女性職員から女性が履くブーツの臭いを消せないかという発想で開発された商品で、WAFTECが一般消費者向けに開発したのはこれが初めて。ブーツの中の臭いの原因である黄色ブドウ球菌(日本食品分析センター試験)及び表皮ブドウ球菌(同社試験)に対して効果が高いという結果が得られている。

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写真2 足元用抗菌スプレー「FootMate」

 

 東京の丸の内と新宿で女性にサンプル提供とアンケートを実施した結果(図2)、「靴の臭いが感じなくなった」「ベタつきもなく、肌荒れもなかった」など好意的な評価が多かった。通勤前に利用してもらえれば一日は持つことから、女性のブーツ利用が増える秋には、販社である和興テクノ(株)を通じ、セットでネット販売を始めるほか、靴売り場への売り込みも始める計画。

 現時点では「フットメイト」に次ぐ製品は計画していないが、「リゾックス」の応用展開は引き続き検討している。

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図2 アンケート実施結果

 

屋内で利用できる光触媒

 WAFTECはもう一つのニュービジネスとして「可視光応答型光触媒」の開発を進めている。
 光触媒は脱臭や抗菌効果があることで知られている。従来の光触媒は主に太陽光の紫外線が照射されることにより触媒作用を起こし、有機物を分解していたが、屋内では紫外線量が屋外に比べて大幅に減少してしまうため、屋内での使用は困難だった。だが、昨今では病院や老人介護施設、教育施設など屋内での使用ニーズがあることから、光触媒が利用できる波長を広範囲にする取り組みが触媒業界で行われている。

 WAFTECが開発した可視光対応の光触媒は、酸化チタンからなる光触媒の形状を変えることで大手化学メーカーが開発、屋内生活環境の光と同程度でも反応するようにした。

 WAFTECは光触媒の密着力や性能維持のために、光触媒を2層式で固定するという特徴がある。 下地処理としてWAFTECの協力会社が開発した、光触媒活性を示さないアモルファス型過酸化チタン水溶液で基板を保護し、足場を作る(図3)。

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図3

 

 その上に10〜20nm程度の粒径で尖った構造かつ光触媒活性を示すアナターゼ型可酸化チタン水溶液の膜で覆う。 両水溶液同士は強い密着性を示す為、持続性が保持され、更にチタン粒子が均一な膜となる為、高い光触媒効果を得ることができる。

 一方、一般的に他社品は粒径が同50〜60 nmで粒子が円や四角の構造をしている。かつ有機材料に付着するために有機物の接着剤を使っているため、酸化チタンが自分の足場を崩してしまう。剥離しやすく、抗菌効果の持続性が継続しにくい。

 WAFTECは上記2層式技術を応用することで、可視光光触媒を基盤に密着させることに成功した。
 これを使って、WAFTECと産業技術総合研究所(産総研)が11年から共同で用途開発している。産総研と共同で開発する利点は産総研が日本工業規格(JIS)の制定に携わっていることにある。13年3月に可視光光触媒の評価用JISが制定される前から、JISに準拠した試験方法で評価しており、信頼性は高いといえる。

 JIS試験の一つであるアセトアルデヒドの分解試験(図4)で、他社品に比べ活性が高く、濃度が減少していることを確認した。

 同社は既に基礎研究を終え、現在は実環境での評価試験の段階に移行しており、各地の病院や介護施設等(約20箇所)で試験施工をしている。
 施工前後の特定22物質の臭気強度を測定・分析し、脱臭効果を確認している。
 また、脱臭だけでなく、菌に対する調査でも、抗菌効果を確認している。

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図4 同社の可視光光触媒の評価(JIS R 1751―2での評価)

 

さらなる成長に向けて

 可視光応答型光触媒は基礎開発を終え、13年度からは産総研と共同で同光触媒を使った窒素酸化物(NOx)の分解フィルタの基礎研究を進めている。既にNOx分解調査でデータを蓄積しており、今年度中に簡易のフィルターユニットを試作する計画だ。

 光触媒を活用した研究開発は今後も続ける方針だ。フィルタ技術をさらに活用し、将来的には水質浄化も視野に入れた研究開発を進めていく。独自開発のフィルタで大まかな汚れを除去し、水質浄化専用の光触媒で最終的に菌やウイルスを死滅させる。こうしたニュービジネスを構想している。

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