ソリューション企業総覧 Web版
沖電気工業

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環境ソリューション企業編

グリーンITでスマートコミュニケーションを推進 〜無線マルチホップ技術を核に社会基盤を構築〜


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920 MHz帯の無線技術を活用電力の効率的な運用に貢献

 OKIグループは1970年代から環境活動を始め、環境経営の基盤となる環境マネジメントシステムをグループ全体で統合。商品や事業活動を通じて環境負荷を継続的に低減する活動を実践している。

 2012年4月には「低炭素社会の実現」「汚染の予防」「資源循環」「生物多様性保全」の4分野において、OKIグループの環境活動の方向性を示した「OKIグループ環境ビジョン2020」を策定。中でも低炭素社会の実現は重要なテーマであり、省エネルギーを推進するグリーンIT関連の商品やサービスを積極的に創出している。

 その一環として2011年9月、920 MHz帯の周波数を活用した無線マルチホップ通信システムを国内で初めて開発。2012年8月には電力の効率的な運用に貢献する基盤システム「920 MHz帯無線マルチホップネットワークシステム」の販売を始めた。

 同システムは無線ユニットの親機と子機、ネットワーク管理サーバで構成する。例えばビルで使う場合、配電盤に電力センサと無線ユニットを設置し、各機器の電力使用状況を無線で伝送して情報を効率的に収集する。既存のビルにも簡単な工事で設置可能である。エネルギーマネジメントシステムと組み合わせることで、集めた情報を活用して電力の使用状況をリアルタイムに「見える化」できる。また電力使用量の需要予測のアプリケーションと組み合わせると、予測に基づき機器や設備を制御することで節電や省エネルギー対策にも生かすことができる。

広範囲に無線ネットワークを構築

 基幹技術の一つである無線マルチホップネットワークシステムとは複数の無線通信装置間を電波で中継して、バケツリレーのようにデータを伝える方式。1台の親機で複数の子機を収容できるため、広範囲の無線ネットワークを構築できる。 また、920 MHz帯の無線を活用することも無線マルチホップネットワークを運用する上で重要な要素となる。920 MHz帯は無線LANなどで使われる2.4 GHz帯と比較して電波の到達性が高い。遠くまで電波が届くだけでなく障害物があっても回り込んで届くため、工場や倉庫など障害物が多い場所での利用に向いている。従来利用されてきた429 MHz帯の特定小電力無線よりも高速の通信が可能であり、経路制御のためにある程度の通信速度が必要とされる無線マルチホップネットワークにも適している。

 920 MHz帯は国内では2012年7月から利用可能となった無線周波数で、OKIはこうした技術の研究開発にいち早く着手。マルチホップの電波到達性や高信頼性、省電力などに関する実証試験を早くから進めてきた。

 ビル内のエネルギー管理システム「BEMS」に適用する場合、館内に多数設置された分電盤や高圧受電設備(キュービクル)に電力計を設置。電力計に無線ユニットの子機を接続し、電力の使用状況を親機に伝送して情報を収集する(図1)。

 フロアやテナントごとに電力使用状況を計測して可視化することができ、ピーク電力の抑制など機器制御にも活用できる。また到達性の高い920 MHz帯無線マルチホップの採用により、多くの障害物が想定されるビル内でも全体を網羅することが可能。既存のビルなどで電力計を監視する通信手段を有線から無線にすることで配線工事が不要となり、工事期間の短縮や施工費用の削減も可能になる。家庭内のエネルギー管理システム「HEMS」に920 MHz帯無線マルチホップネットワークシステムを適用する場合、サービスゲートウェイ(SGW)にマルチホップネットワークを接続。家庭内で使用する空調や照明などの家電製品と電力メーターをセンサーネットワークとつなぐことで、家庭内の電力使用量の見える化や節電などの制御に利用できる(図2)。

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図1 920 MHzのBEMSへの適用

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図2 HEMSによるスマートハウス

 

国際標準に準拠相互接続性を向上

 機能面の特長では国際標準に準拠しており、多様な機器・センサーとの相互接続を可能にした。例えば無線レイヤは国際標準の「IEEE802.15.4 g」に対応し、ネットワークレイヤも国際標準規格「ZigBee IP」に基づいている。またHEMSの標準化を推進する経済産業省はアプリケーション・インターフェース「ECHONET Lite」を2012年に推奨方式に決定。OKIは同規格に対応し、メーカーに依存しないホームネットワークの構築も可能にした。

 システム面では無線ユニットの子機間などで利用中の経路の無線状態が悪化した場合や障害発生時に、自立的に迂回(うかい)経路を選択。最適な経路に切り替え、通信を継続できる機能を搭載。さらにネットワーク管理サーバを利用することで親機の異常を検出した場合、代替の親機への切り替えも可能で高い信頼性を確保した。また、無線ネットワークの認証と暗号化機能などにより、データの盗聴、改ざん、不正端末への接続など悪意ある第三者の攻撃からネットワークを防御。無線ネットワークで必要となる高いセキュリティを実現している。

オフィスや家庭を中心に開拓サービス領域への事業拡大も

 2011年の東日本大震災以降、オフィスや工場、家庭での節電需要が急速に浮上。スマートメーターやBEMS、HEMSなどのITシステムが社会インフラとして注目されている。OKIは920 MHz帯無線マルチホップネットワークシステムの機器販売を中心に家庭やビルのエネルギー管理システム市場の開拓を進める(図3)。2013年5月には産業機器や各種センサー機器に組み込み可能な「920 MHz帯無線通信モジュール」を開発。10月から出荷を予定するなど、商品ラインナップも拡充している。

 今後は同市場で機器販売の実績を積み重ねる中で、システムの構築やコンサルティングを含めたサービスへと事業領域を拡大。合わせて電力やガスなどの公共領域、電気自動車(EV)充電などの交通インフラなどへと市場を広げ、社会インフラを支える基盤技術としての発展を目指す。

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図3 スマートコミュニケーションの事業領域と市場

 

ビルの省エネルギー支援ワンストップで提供

 OKIグループで電気工事を手掛けるOKIウインテックは省エネトータルエンジニアリングサービス「SEEMS」を2012年3月から始めた。SEEMSはOKIウインテックが30年以上にわたり培ってきたビル管理システムの運用経験をもとに、省エネルギーに関する診断からシステムの構築、運用・管理、保守サポートまでワンストップで提供。ビル全体のエネルギー消費量を25%以上削減することができる(図4)。

 SEEMSは初期サービス、マネジメントサービス、ファシリティーサービス、パートナーサービスの4サービスで構成。初期サービスでは電力使用量を含む建物の使用状況をヒアリングや簡単な現場調査を通じて把握する。

 マネジメントサービスではビルの施設管理及びエネルギーマネージメントを支援する BAS/BEMS、及び、中規模ビルやテナントオフィス向けにはITを活用して電力の使用状況を可視化するWEBセンシングを提供する。

 BASは特定のメーカーに依存しないオープン型のシステムを採用。大規模ビルから中規模ビル向けにこれまでに70セット以上の納入実績がある。WEBセンシングは中小規模のビルを対象に電力量や温度、湿度などのデータを収集するクラウドサービスとして提供。契約電力50 kW以上〜500 kW未満のビルを対象に、政府が推進する「エネルギー管理システム導入促進事業」の対象システムとしても認定を受けている。

 ファシリティーサービスではビルのエネルギー使用状況を分析し、電気工事で培ったノウハウを生かして最適な省エネルギー関連機器を提案する。具体的にはLEDやCCFLなどの高効率照明、太陽光発電システム、省エネルギー対応の空調機器など豊富な製品を用意。中でも高効率照明、太陽光発電に力を入れている。

 高効率照明は初期費用が太陽光発電やコジェネレーションなどと比べて安く、投資回収効果も高い。照明設備の更新工事では既存の照明器具を可能な限り活用。その場合は既存メーカーの保障が改修によりなくなるため、LEDのメーカー製品保障とは別に施工保障サービスを提供する。

 パートナーサービスではシステムや設備導入後のアフターサービスを提供。蓄積したデータを分析して改善策をシミュレーション後、運用改善を提案している。運用自体も請け負うほか、コールセンターや遠隔監視によるサービスも提供する。

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図4 SEEMSの概要

 

改正省エネルギー法にも対応

 2010年4月に改正省エネルギー法が施行され、その対象が従来の事業所単位から事業者単位に変更。エネルギー消費原単位で毎年1%の削減義務が課される対象企業が大幅に増加した。OKIウインテックではシステムや設備導入による改善だけでなく、従業員の働き方を含めた総合的な省エネルギー対策を支援。パートナーサービスでは省エネルギー法で義務づけられる報告書の作成なども請け負う。また920 MHz帯無線マルチホップネットワークシステムを組み入れたソリューション開発にも力を入れている。7月には朝日工業と共同で東京都中央区京橋の東京スクエアガーデン6階に、オフィス向け省エネルギーソリューションを展示するショールーム「京橋e4XROSS(イーフォクロス)」を開設。実践的な省エネルギー対策を分かりやすく紹介している。

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