ソリューション企業総覧 Web版
ポラスグループ・ポラテック

ポラスグループ・ポラテック

環境ソリューション企業編

木材のプレカット化を通じ、木造住宅の省力化、
品質の安定と廃棄物を大幅減量


ポラスグループ・ポラテック

www.polus-tec.jp


 

 大工不足と高齢化を背景にして、住宅の構造材や羽柄材を工場で機械加工するプレカット(PC)化が、木造住宅業界で急速に進展している。30年ほど前のPC採用率は数%にすぎなかったが、最近では1年間に建設された木造住宅の90%以上にPCされた構造材が採用されるまでに普及した。意外と知られていないが、このPC部材の最大手メーカーがポラスグループのポラテック(株)である。全国4箇所に最新設備を導入したPC工場を稼働させ、日本一の生産量を誇っている。精度が高く品質の安定したPC部材を生産するだけでなく、ポラテックではプレカット事業を通じて環境面にも大きく貢献している。

全国に4工場を稼働、日本一の生産量誇る

 ポラスグループは、埼玉や千葉県を中心として平成25年3月期に3085戸(売上高は約1531億円)の注文住宅や分譲住宅などを供給している地域ナンバー1の住宅企業グループ。その中核企業の一社として、住宅施工とPC部材の生産・販売を担っているのがポラテックだ。

 PCをもう少し説明しよう。PC技術が普及する以前は、大工が建築現場や作業場で製材された木材に墨付けを行い、鉋やノミなどを使って継ぎ手や仕口の加工、ホゾ加工を行い、住宅に使用する柱や土台、桁、梁材に加工していた。しかし、大工就業者の減少と高齢化が進展したのに加え、加工の技術力に差が多いこともあって、大工による木材加工は徐々に廃れつつある。

 木材のPCは、大工が勘に頼って行っていたこうした木材加工の工程を、工場でコンピューター制御による機械で行う生産システムである。接合金物を構造材に装着したり、合板加工や小屋束・横架材の加工など、大工には難しかった加工を短時間で行える。最新設備によって精度が高く高品質の構造材が生産されるだけでなく、生産効率も高く安定した供給もできる。工場で生産されたPC部材は建築現場に搬入され、大工職が組み立てるだけ。今後の大工不足にも対応できることから普及のスピードが高まっている。省力化や工期の短縮によるコストダウンも図れるなどメリットも多い。

 ポラテックは1982(昭和57)年に茨城県坂東市に坂東工場を設置したのを皮切りに、2006(平成18)年には滋賀県甲賀市に滋賀工場を、今年2月には静岡県富士市に富士工場(写真1)と宮城県加美町に東北工場(写真2)を相次いで稼働させている。

 4工場の生産能力は構造材ベースで月産15万1000坪。これは年間の木造住宅約6万戸分に相当する量である。

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写真1 ポラテック富士工場

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写真2 ポラテック東北工場

 

排出される木屑やおが屑を再資源化

 木造住宅は“街の中の森”と言われる。木は大気中の二酸化炭素と水、土中の栄養分を原料に光合成を行って生長する。言い換えると、環境に悪影響を与える二酸化炭素を炭素に置き換え、固定化して蓄積している。伐採した木を燃やしたり、腐らせてしまうと蓄積した炭素が大気中に戻ってしまうが、木造住宅の材料として使用すると、その住宅が存続する間は炭素を蓄積することになる。

 森林総合研究所によると、日本の森林は約11億8000万トンの炭素を樹木の中に蓄積している。全国の木造住宅も、使われている木材の中に約1億7000万トンを蓄積している。実に全国の森林の約7分の1に相当する炭素量を蓄積していることから、木造住宅は「都市に移された森林」とも言われている。

 つまり木造住宅が増えれば、それだけ地球環境が改善されることになる。PCの普及による木造住宅の増加は、環境対策の優等生とも言えよう。

 従来の大工による建築現場や作業場での木材加工では、発生する鉋滓や削り粉、おが屑、木っ端などの多くは焼却されたり、産業廃棄物として廃棄されていた。年間に50万戸前後もの木造住宅が建設され、その建築現場から排出される量は膨大なものになる。折角、蓄積されていた炭素も大気中に放出されてしまっていた。

 PCの普及によって建築現場などで木材加工する手間がなくなったことから、鉋滓や削り粉、おが屑、木っ端の発生量が大幅に減った。廃棄物が減少することは、建築現場の清掃にも一役かっている。

 ポラテックの4工場では、切削加工の工程で生じた木屑やおが屑などが天井に張りめぐらされた集塵パイプを通って一箇所に集められ、無駄なく再資源化されている(写真3)。

 坂東工場の一角にはリサイクル工場(敷地面積約1880 m2)が併設されている。月産8万8000坪を誇る坂東工場から排出される木屑やおが屑は膨大な量になるが、それらは集塵パイプを経てリサイクル工場の回収室に自動的に運ばれる。 木屑やおが屑は一次選別工程を経て、リサイクル設備によって堆肥やパルプの原料に変えられて搬出される。通常なら廃棄されるものだが、坂東工場では廃材の有効活用に道を拓くものとして注目されている。

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写真3 ポラテック工場 生産ライン

 

工場新設と地元採用で東北復興を後押し

 ポラテックは昨年3月、埼玉県越谷市に環境に配慮した新本社社屋「ウッドスクェア」を新築した。地上4階建て、地下1階の「ウッドスクェア」には、長野県産のカラマツなど丸太に換算して約2100 m3の国産材が使用された。床材はクリの無垢材、腰壁にはカラマツが使われている。

 また、オフィスには国産の檜材を使って社員がデザインした机が並び、すべての室内照明にLEDを使うなど、木造住宅企業として環境配慮型の本社社屋となっている。

 前述したように、木は伐採されても炭素を蓄積し続ける。加えて国産材を活用したことによって、荒廃が続く日本の山林の活性化にも役立っている。

 ポラテックのPC部材の生産は、昨年1年間だけで約89万坪に達した。2位メーカーの倍近い量を生産したことになり、我が国1位を誇っている。今年2月からは富士工場と東北工場が稼働し、4月には構造材だけで2966戸分に相当する8万9000坪を生産、月間記録を樹立した。今年の生産量は過去最高を更新し、100万坪を大きく上回るものと見られている。

 ポラテックのPC工場は、東日本大震災で大きな被害を被った東北の復興にも貢献している。今年2月から稼働した東北工場は、宮城県にとって震災後初の県外企業によって県内立地が決まった大型案件だった。開設にあたってポラテックでは新卒者を含めて16人の地元住民を従業員として採用した。

 今年5月に開催された東北工場の竣工式には、村井嘉浩・宮城県知事や猪俣洋文・加美町長が来賓として招かれた(写真4)。席上、村井知事は「東北復興の時宜にかなった工場の竣工であると同時に、地元雇用の柱として東北工場の役割は大きい」と挨拶、東北復興の一端を担って欲しいと期待していた。

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写真4 ポラテック東北工場竣工式

 

九州にも新工場、シェア20%を目指す

 ポラテックでは、事業をさらに拡大する計画を打ち出している。北大路康信・常務は「2016年から2018年にかけて設備投資を行い、新たに九州工場を新設したい」と語っている。

 現在の4工場についても機械設備を更新して生産能力を増強する。北大路・常務は「現在の当社のシェアは10%だが、新工場の設置や既存工場の増産で月産20万坪に拡大し、シェア20%を目指したい」としている。

 ポラテックではPC部材の生産と販売を通じて、木造住宅の品質の向上と安定、合理化、コストダウンなどに資するとともに、環境面での一層の貢献を図ろうとしている。ポラテックの今後から目を離すことはできないようだ。

 

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