ソリューション企業総覧 Web版
積水化学工業・住宅カンパニー

積水化学工業・住宅カンパニー

環境ソリューション企業編

太陽光発電など3点セット搭載の
「進・スマートハイム」で最先端の住宅造り


積水化学工業・住宅カンパニー

www.sekisuiheim.com/


 

 東京都の西部、立川市の閑静な住宅地の一角で、創エネによる電力の自給自足だけでなく、省エネ性・経済性・防災性を向上し、地球環境に配慮した全53戸の街づくりが進められている。

 積水化学工業株式会社の住宅販売会社である東京セキスイハイム株式会社(本社=東京都台東区、渡辺博行社長)が開発している「スマートハイムシティ立川幸町」がそれだ。

 各住戸には大容量の太陽光発電システム(PV)、定置型大容量リチウムイオン蓄電池(イーポケット)、家庭内エネルギー管理システムHEMS(スマートハイム・ナビ)の3点セットを搭載した「進・スマートハイム」が標準仕様で採用され、環境新時代の最先端の街づくりの1つとして注目されている。

 積水化学工業の住宅カンパニー(髙下貞二プレジデント)では、この「進・スマートハイム」の展開に加え、政府が普及を目指すゼロエネルギー仕様を先取した上で、毎日の「キレイな空気」と万一の「非常時の安心」を備えた先進性の高い未来基準の家「ミライ・クラス」シリーズを発売、住生活の面から地球環境に大きく貢献しようとしている。

大容量蓄電池とHEMSでさまざまな生活シーン

 「進・スマートハイム」に搭載された3点セットのうち、リチウムイオン蓄電池イーポケットは5.53 kWhと7.2 kWhの2タイプがあり、生活スタイルによってさまざまな使い方が可能となる。
 例えば「グリーンモード」では、昼間は大容量PVで発電した電力で生活し、夜間にはイーポケットに貯めたPV余剰電力を活用するとともに、不足する電力を電力会社から買電する。「経済モード」では、昼間は大容量PVで生活する一方、余剰電力を電力会社に売電する。朝晩の多くの電力が必要な時間帯には、深夜電力を使って蓄電していた電力を活用する。

 災害などが発生して万一の停電になった場合には、自動で「非常運転モード」に切り替わり、イーポケットから電力が自動供給される。日中は大容量PVで発電した電力を使用し、イーポケットに充電された余剰電力を夜間に使用することで、万一の停電時にも対応できるようになっている。5.53 kWhのイーポケットは最大1500キロワットの電力が使用でき、照明(100ワット)、テレビ(200ワット)、冷蔵庫(100ワット)を24時間使い続ける能力を持っている。

 こうして発電、蓄電された電力は、家庭内エネルギー管理システム「スマートハイム・ナビ」によって一元管理される。大容量PVとイーポケットによる発電、消費、充放電という電力情報を測定・自動集約し、使用状況や分析結果をパソコンなどで「見える化」される。

 「スマートハイム・ナビ」は発電量や売電・買電量、総消費量などに加えて、蓄電池の期間別充電推移、消費量の前年比較、売電・買電の履歴も表示される。居住者は居室ごとの使用電力や需給状況、光熱費を詳しく把握でき省エネ意識が高まるだけでなく、独自のコンサルティングサービス「スマートハイムFAN」と組み合わせることによって、消費電力の無駄が見つけやすく、効果的で効率的な節電生活がおくれるようにサポートされている。

経済モードで年間32万円も光熱費削減

 積水化学工業では「進・スマートハイム」の発売にあたって、蓄電池の性能評価など各種の実証実験を実施した。その結果、グリーンモードで稼働させると、住宅で使う年間エネルギーのうち33%をPV発電の直接利用(自家消費)、28%を蓄電を介した夜間利用することで年間エネルギー自給率61%を達成した。一般的な深夜電力使用と比べ、20ポイント以上も高い自給率を誇ったことになる。

 経済モードによる試算(2012年度、売電価格42円/kWh)では、一般住宅と比べて年間で約32万4000円もの光熱費を削減できることも実証している。

 こうした高い創エネ性や省エネ性、経済性、万一の備えといったメリットから、2012(平成24)年4月に発売された「進・スマートハイム」は、今年3月時点で早くも搭載棟数が3000棟を突破、普及スピードを速めている。その要因のひとつに、蓄電池搭載時に必要となる系統連係申請について、業界に先駆けて各電力会社との間の協議や申請方法を確立したことも見逃せないものとなっている。

減災も取り入れたスマートハイムの街づくり

 8月下旬、「スマートハイムシティ立川幸町」でメディア関係者を招いた見学視察会が開催された(写真1)。

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写真1 豊富な植栽が特徴の1つである「スマートハイムシティ立川幸町」

 

 屋根には大容量PVが載せられ、住棟間には「イーポケット」がスッキリと配置されている。 創エネや省エネだけでなく、「スマートハイムシティ立川幸町」は「減災」をコンセプトとした街づくりが進められている。玄関部分や隣家との境には草花が豊富に植栽され、街の中央部にはコモンスペースが東西に帯状に配置されている。街全体の通風を考えた風の通り道にもなるスペースで、植栽が施され、ベンチや子供向け遊具が配置されていた。

 コモンスペースのベンチは、万一の災害時に座席部分を取り外せば、炊き出し用のカマドとして使える。防災井戸も掘られ、備えられている携行用浄水器で汲み上げた井戸水を濾過し、水道水が出なくなっても飲料水にすることができる。各戸には雨水貯留タンクも備えられている(写真2)。

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写真2 ‌「スマートハイムシティ立川幸町」に設置された雨水タンク(手前)と大容量蓄電池(奥)

 

 東京セキスイハイムは、「各種の仕掛けと住民同士のコミュニケーションの形成によって有事の際の『共助』を促し、減災への配慮を行っていきたい」(渡辺社長)と語っている。

 同社では「立川幸町」のようなスマートハイムシティ・プロジェクトを積極的に展開し、首都圏だけで年間200区画の販売体制を構築する計画だ。見学視察会に参加したメディアの多くが、環境新時代の街づくり手法に感心していた。

ネット・ゼロ・エネルギーを先取り商品化した「ミライ・クラス」

 住宅カンパニーでは、政府が2020年までに普及を目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH)仕様を先取りした上で、毎日の「キレイな空気」と万一の「非常時の安心」を備えた“未来基準の家”「ミライ・クラス」シリーズを、今年7月から発売した(写真3)。

 「進・スマートハイム」をベースに、断熱性能の一層の強化やLED照明、高効率エアコン、エコキュートといった高効率機器の採用によって、エネルギー収支ゼロを実現したのに加えて、業界最高レベルの空気清浄機能のフィルターを備えた換気空調システムと耐震性の高い構造と蓄電システムの標準化による未来基準の住宅である。商品名は、「未来の暮らしを先取りする未来基準の家」という思いを込めて名付けられた。

 木質系モデルプラン(延べ床面積132 m2、断熱性能Q値1.56 W/m2k、太陽光発電5.54 kW)による一次エネルギー収支のシミュレーションでは、一次エネルギー消費量が38.7 GJであったのに対して、一次エネルギー創出量は59.0 GJとなっており、約20 GJも創出量が上回った。

 さらに高性能フィルター一体型の換気システムを標準採用したことによって、業界最高レベルで花粉や大気汚染微粒子の侵入を抑制することが可能になった。因みに換気システムには3層構造のフィルターが組み込まれ、花粉では99.9%以上、今春に大きな社会問題になった「PM2.5」については2.5 μmの粒子であれば99.9%以上、0.2 μmの粒子でも80.2%以上を捕集でき性能を持っている。

 「ミライ・クラス」シリーズを商品化したことについて、住宅カンパニーでは「PVシステムや家庭用蓄電池など、スマートハウス分野で最先端を歩み続ける住宅企業として、さらに社会的責任を果たすため」と語っており、今後もこの分野で技術開発を進めることにしている。

 住宅メーカーに先立って、積水化学工業は1997(平成9)年に太陽光発電を導入した。翌年から本格的な太陽光発電搭載住宅の販売を開始し、2003(平成15)年に累計3万棟を、2009(平成21)年には7万棟を達成している。さらに2年後には10万8000棟、2012(平成24)年には12万4000棟を突破。2011年と2012年の2年連続して「ソーラー住宅建設棟数ナンバー1」としてギネス世界記録TMに認定された。

 住宅は毎日の生活の場となるだけに、構造躯体が頑強であるだけでなく、省エネ性や経済性、防災性、環境性に優れたものでなくてはならない。住宅カンパニーでは、「進・スマートハイム」を核として、環境時代の最先端の住宅づくりを展開しようとしている。

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写真3 「ミライ・クラス」(木質系)の代表外観

 

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