ソリューション企業総覧 Web版
東洋製作所

東洋製作所

環境ソリューション企業編

企業の省エネ化は温水を作って終わりではない
~“排熱調査チーム”を結成し、
利用方法などの支援サービスを提供~


東洋製作所

www.h.toyo-ew.co.jp


 

 東洋製作所は、三菱重工業と日本冷蔵(現ニチレイ)の共同出資により、冷熱プラント、機器、サービスを一貫提供する冷熱・環境エンジニアリング会社として1952年に設立された。事業領域は、低温設備などを扱うエンジニアリング部門と、エアハンドリングユニット、ヒートポンプ製品などを製造する空調機器部門に加え、それらをメンテナンスするサービス部門の3本柱で構成する。

 特にエンジニアリング部門では、ビール工場向けにCO2液化・精製装置をはじめとしたプロセス冷却から、自動車メーカー向けに雪や雨、晴天時など実際の運転状態を再現する環境試験装置や、人工降雪装置まで手がける(図1)。

 また、同社は神奈川県大和市に製造、開発拠点である「大和本社」を持つ。設計から部品加工、機器の組み立てまで一貫した生産システムで、顧客の要求に応じたモノづくりを展開しているとともに、より信頼性が高い製品開発への研究に取り組んでいる。

 顧客のニーズに対応できる製造、開発拠点の存在は、同社のエンジニアリング事業にとっては、他社との大きな差別化の武器となっている。エンジニアリングの工程では通常、顧客からの引き合いが出ると見積もりを出し、案件を受注。その後、設計や機器の調達、施工というステップを踏んでいく。

 一般のエンジニアリング会社では、自前の製造拠点を持たない企業が多く、機器は他社から調達する必要がある。一方、東洋製作所では大和本社で機器を製造するため、顧客の要求に合った機器を作れるほか、施工後の試運転についても他社に引き渡すことなく自前で行うことが可能。これにより、高品質なエンジニアリングサービスを実現している。

 また、高品質を追求する中で重要となるのが、プラントを引き渡した後のメンテナンス業務だ。万が一、機器に不具合などが発生した際に緊急対応できる技術者を抱えることで顧客に安心感を与えられ、顧客満足度の向上にもつながる。そのため、自社のメンテナンス体制をいかに充実させるかも高品質サービスの実現には欠かせない要素と言える。

 そこで同社では、自社のサービス専門社員300人のほか、協力会社や外注先の人員も加えることで、全国で約1000人という手厚い体制を整えている。専門技術者が、機器の整備や点検を行うことでトラブルの未然防止を図るとともに、機器の更新提案などまで幅広く対応。安全や品質だけでなく、顧客からの信頼性まで含めたサービスの追求に余念がない。

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図1 自動車環境試験装置「パース」

 

C−LTSシリーズ

 日本政府が、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比25%削減を掲げるなど、日本国内での地球温暖化対策の動きが加速している。

 冷凍機や空調機の業界でも、環境に優しい機器を開発、提供し、顧客の環境対策を支援できるかが強く求められている。それに伴い、メーカー各社では、冷凍機で用いる冷媒に関して、脱フロン化の動きが活発化している。

 東洋製作所では、アンモニア(NH3)とCO2を組み合わせた自然冷媒システムを採用した冷凍機「C-LTS」をシリーズ化して提供している(写真1、2)。圧縮機の出力24キロワットのタイプから、135キロワットまで全6機種をそろえており、工場の広さや用途に応じて顧客のニーズに細かく対応できる製品構成となっている。

 熱交換によってアンモニアでCO2を冷やし、冷凍倉庫をCO2で冷却する仕組みで、フロン式と比べて年間CO2排出量を40%削減可能。2005年に開催された愛知万博で、マンモス展示室の冷却システムに採用されたことでも大きな話題を呼んだ。

 アンモニアは、以前は自然冷媒として単体で使用されていた時代があったが、爆発性や臭いなどの問題があるため、フロンなどに置き換わっていった。しかし、昨今の環境意識の高まりにより、ここにきて再び自然冷媒として再び注目されてきている。

 同社の自然冷媒システムは「アンモニアの充填量を非常に少なくできる」(東洋製作所)のが特長。例えば、冷凍機の圧縮機の出力24キロワットの場合は、アンモニアは12キログラムしか使わない。すべてアンモニアを冷媒として使った場合には、使用量が100キログラム単位となるという。そのため、爆発や臭気による人体への危険性も懸念される。しかし、CO2との組み合わせによって使用量を大幅に削減できることで「万が一アンモニアが漏れても、人体に影響を及ぼすまで至らない」(同)ため、安全性が高く、安心して作業に取り組める環境を実現する。

 C-LTSシリーズでは、従来機器からの更新需要に対応できるよう、機器のサイズにも着目。フロン冷媒を用いる冷凍機と同じ大きさに設計したことで、新たな設置スペースを設ける必要などがなく、「昔の機械から、そのまま置き換えることが可能となった」(同)。製品導入への垣根を取り払った格好だ。

 例えば、同社のフロン冷凍機「LTS」は、これまでに約5000台を納入しているが、その内約2000台がまだ使われているという。そのため既存顧客からのC-LTSへの置き換えが見込めるほか、他社のフロン冷凍機も大きさはほぼ同じため、新規顧客の開拓も期待できる。

 また、メンテナンス性の高さも強みの一つだ。コンプレッサーの配置などを工夫したことで、機器を分解して点検、修理するオーバーホール作業の現地対応を実現した。

 通常のオーバーホールでは、機器を工場に持ち帰って分解、修理するが、その場合だと最低でも3日程度を要し、その間は冷凍能力をどうしても下げざるを得ないため、生産性の悪化を招く恐れもある。一方、C-LTSシリーズでは、現地対応が可能になるため、作業日数を早ければ半日程度にまで短縮できる。

 同シリーズは、これまでに食品会社のアイスクリーム保管庫や製氷工場などに約100台納入している。環境対応能力はもちろん、豊富なラインアップやメンテナンス性を強みに、今後も企業の環境対策を後押ししていく方針だ。

 同製品は日刊工業新聞主催「第14回オゾン層保護・温暖化防止大賞」において優秀賞を受賞した。

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写真1 小型C-LTS

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写真2 大型C-LTS

 

Mr.エコヒート

 企業が省エネ化を推進していくにあたり、工場などで発生した熱の有効利用に注目が集まっている。特に排温水は、今まで捨てていたり、処理のために冷やす作業を必要とする場合があるなど、企業側にとっては悩みどころの一つにもなっていた。それをエネルギー源に回すことができるようになれば、自社のCO2排出量削減や作業効率向上につなげられ、省エネ化を一気に加速できる可能性も高まる。

 東洋製作所では、排温熱回収ヒートポンプシステムとして、高温排熱回収システム「Mr.エコスチーム」を、07年から提供している。55-85℃の排温水から熱を回収し、80-120℃の温水と蒸気を生成。それらを、空調の加湿や給湯、食品工場の加工用途などに有効利用できる。化石燃料を使わずに温水や蒸気を発生させられるため、燃焼系設備を用いる場合と比べて、CO2排出量を8割以上、運用コストを6割以上削減できる。

 さらに「Mr.エコスチーム」の投入以降、さらに低い排温水を利用できないかといった顧客の声を反映し、08年からは低温排熱回収システム「Mr.エコヒート」も提供開始している(写真3)。同システムは、30-55℃の排温水を用いて75-95℃の温水の生成に特化。低温の排熱が出る食品工場や染色、化学工場、温泉施設などでの利用が見込める。

 食品工場向けには、天ぷらなどを揚げるガス焚きフライヤーの排熱回収システムとして導入した例もある。フライヤーの運転中は、排出ガスの熱から熱交換機を通じて80℃の温水を生成し、タンクに貯蔵。フライヤーの停止後も、160℃の油から熱を回収し、80℃の温水を作るため、運転、停止後の両方の熱を捨てずに、工場内の洗浄用の温水に有効利用できる。

 同システム導入により、年間200万円程度の燃料費削減や、CO2排出量も年間49トンを実証した。加えて、フライヤーの油の劣化防止のため、早めに冷やしておくなど、貯蔵方法に関しても新たな発見につながったという。

 ただ、企業の省エネ化は温水を作って終わりではない。排熱回収システムを通じて、せっかく作った温水を有効利用するには、排熱の知識を持った専任者が、利用者側へ使い道などを指導、提案することも不可欠と言える。

 そのため東洋製作所では、企業の工場に3人程度の技術者を3日間派遣し、排熱の有効利用に関する“排熱調査チーム”を結成し、利用方法などの支援サービスを提供している。工場のどの部分で、どれだけの熱を使っているかなどを調べた上で、その熱を何に使えるかなどを明確に提案することで、利用者側は「より、排熱の有効利用が可能となる」(同)。排熱の利用方法などを積極的に提案していくことで、システム導入と企業の省エネ支援につなげる方針だ。

 また、企業側で省エネ意識が強まっていることも大きな追い風だ。以前まではコストメリットを重視していたのに対し、現在は「CO2排出量が少なくなるのであれば導入を検討する考え方に変わってきた」(同)という。省エネ推進の動きが加速することで、今後の排熱回収システムの普及が期待される。

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写真3 Mr.エコヒート

 

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