ソリューション企業総覧 Web版
日鉄住金環境

日鉄住金環境

環境ソリューション企業編

新日鐵住金の技術とノウハウで水処理現場のニーズに応える


日鉄住金環境

www.eco−tech.nssmc.com/


 

 日鉄住金環境(株)は新日鐵住金グループの環境エンジニアリング会社。これまで新日鐵住金グループで40年間にわたり環境技術分野で事業を展開してきたが、2012年10月の新日本製鐵と住友金属工業との経営統合により現在の社名になった。

 「豊かな環境を未来につなぐ環境ソリューション企業」を企業理念に掲げ、水・環境ソリューション、分析・環境コンサルティング、土壌調査・修復、鉄鋼環境、遺伝子解析・バイオ技術の5分野で事業を展開する。同社の特色は、レベルの高い化学分析技術に裏打ちされた研究・開発力とエンジニアリング(調査・企画・設計)、コンストラクション(製作・建設)、オペレーション(操業管理)、メンテナンス(保全整備)の「ECOM」一貫体制でソリューションを提供できることだ。また最近では、計画停電や節電対策など社会的課題に対応する製品の訴求も積極的に行っている。いずれも、新日鐵住金の製鉄所構内業務で培った技術とノウハウを生かし、実際の製造現場のニーズをふまえた製品・サービスの提供を強みとしている。

高効率のバイオリアクター「バイオアタック」

 水・環境ソリューション事業は、新日鐵住金グループの技術力を生かした独自開発の技術・ソリューションを提供している。

 主力商品の一つが、高効率のバイオリアクター「バイオアタック(写真1)」である。既存の排水処理システムに比べBODの除去速度が30倍という高性能を実現し好評を博している。

 バイオアタックはアタック槽とレシーブ槽の二つの処理槽で構成する。中でも要になるのが、超高速で増殖する微生物の粉末製剤「サーブワンS-1」で、運転スタート時の種微生物として使用する。
 この微生物製剤は排水中の有機物を短時間に処理して浄化する高い処理性能を持っており、アタック槽中に投入して排水と撹拌することによって排水のBODの80%〜90%が除去される。アタック槽での撹拌は、排水中に酸素を取り込み、水の流れを常時維持することで超高速増殖微生物の成育に最適な環境を作り出す上で重要な役割を果たす。

 続いて排水はレシーブ槽に送られる。ここには原生動物が住み着いており、アタック槽中で増えた超高速増殖微生物を補食する。これにより汚泥の発生量を30%〜50%削減、余剰汚泥の処理コストを削減できる。

 超高速処理にはほかにもメリットがある。処理時間を短くすることで糸状性細菌が増殖できず、この菌による沈降圧密性不良(バルキング)が発生しない。バルキングとは活性汚泥と処理水が分離できなくなる現象で、活性汚泥法による排水処理装置のトラブルの7割を占めている。バルキングをなくすことで連続安定運転が可能になり、ランニングコストの低減に貢献する。

 バイオアタックは排水処理の主流となっている活性汚泥法の弱点である余剰汚泥の問題とバルキングを解決する画期的な装置。食品加工や発酵・醸造、化学・製薬工業、紙パルプなど有機性排水を出す工場全般への適用が可能だ。

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写真1 ユニット型バイオアタック

 

新製品:COD処理剤「CODカッター」

 活性汚泥の特性を改善し排水処理プラントの安定操業に資する薬剤が、バルキング抑制剤「バルヒビター」だ。バルヒビターに始まる、同社の薬剤を使って活性汚泥微生物をコントロールする技術には定評がある。後述する酸素補給剤「ハイオーツー」もそうであるが、新製品のCOD処理剤「CODカッター」(写真2)は発売と同時に大きな話題を呼んでいる。 CODは微生物処理では分解できないため、活性炭吸着法やオゾン酸化法によって高度処理するしか処理方法は無いと考えられてきた。高度処理法は設備費のみならずランニングコストのかかりすぎる点が問題。少なくとも生物処理の10倍のコストがかかる。

 CODカッターは微生物の力を利用してCOD処理を行うところに特徴がある。活性汚泥微生物は、多くの種類のバクテリア、菌類、原生動物が共生する複合微生物系を形成している。微生物の多様性を人為的に高度に高めることで、CODの微生物による分解が可能になることがわかってきた。CODカッターは微生物の多様性を飛躍的に高めることを目的に同社の微生物コントロール技術を駆使して開発された微生物活性剤である。CODカッターを毎日曝気槽に投入することで、活性汚泥を構成する微生物群の多様性が改善される。多様な微生物の共生作業によって難分解なCODが分解処理され、微生物処理でのCODの高度処理を実現した。

 大量の排水を排出し、かつ処理水のCODならびに着色に悩まされてきた紙パルプ業界や合成化学、繊維染色業界からの問合せが特に多い。リグニンのCODと色、染料と界面活性剤のCODと色、合成化学物質起因のCOD処理に画期的な効果をもたらす商品である。

 同社は、こうした薬剤類の幅広いラインアップにより、日本の水処理現場の水準向上に貢献している。

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写真2 COD 処理剤「COD カッター」

 

節電対策に有効な酸素補給剤「ハイオーツー」と高効率曝気装置「トリトン」

 排水処理設備における電力消費の大半は曝気槽への空気(酸素)供給用のブロア等の電力で、総電力消費量の70%〜80%を占めている。節電要請によって、空気(酸素)の供給を制限すると、排水を浄化する微生物の活動が衰え、処理水質の悪化を引き起こす。さらに、前述した糸状性細菌によるバルキングや硫化水素等の嫌気性ガスの臭気の発生など深刻なトラブルに見舞われる。

 節電とこうしたトラブル回避を両立させる商品が酸素補給剤「ハイオーツー」と高効率曝気装置「トリトン」である。 「ハイオーツー」は、酸素原子を分子中に持つ薬剤で、活性汚泥微生物はこの薬剤の酸素を水に溶解した溶存酸素と同じように呼吸に利用し、排水を浄化する。したがって、曝気不足の曝気槽にこの薬剤を投入すると、瞬時に効果が現れ、処理水質が改善し、臭気も減少する。

 「ハイオーツー」は酸素を高濃度に凝縮した薬剤で、1m3を空気の量に換算すると約12,500m3にもなり、文字通り「酸素の缶詰」である。備蓄しておき、必要な時に必要な量を速やかに利用できる。また、酸化剤のように、毒劇物、危険物、労働安全衛生法等の規制を受けないため、取り扱いが容易で、安全である。
 これまで化学工場、紙パルプ製造工場などで多用され、効果が実証されている。

 「トリトン」は、ミキサーと送風機の2つの機械ユニットで構成されている高効率曝気装置。送風機から送り込まれる空気をミキサーが微細な気泡に分散させ、かつ強い水の流れを作ることで高い酸素の溶解効率を実現している。他の高効率曝気装置に比べ、省エネで低コストであり、恒久的な節電対策に有効なほか、構造が簡単でメンテナンス費用が低廉、機械寿命が長い、低騒音など多くの特徴を有する。

 また、空気配管や散気管などの付帯設備なしで使用することができ曝気槽に簡単に取り付けることが可能である(写真3)。一方、別売のフロートで曝気槽に浮かべて使用することもできる(写真4)。このように簡単に曝気量の増強ができることから節電、省エネの切り札になる。

 本装置は、①活性汚泥法など好気性生物処理の曝気装置、②曝気不足施設の曝気強化のための補助曝気装置、③調整槽の曝気攪拌、④池・貯水槽の曝気攪拌、などに適用可能である。納期は2〜4週間と短く、かつ前述のように簡単に設置できるため、震災などの自然災害で曝気装置がこわれて曝気槽の躯体だけが残った場合などの対応装置としても有効である。
 これまで豊富な実績を有しており、世界92カ国で6万台以上が稼働している。

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真3 「トリトン」固定取付

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写真4 「トリトン」フロート取付

 

廃棄物削減・回収にもユニークな技術で対応:余剰汚泥減量装置「バイオダイエット」&減圧蒸発濃縮装置「エコプリマ」

 廃棄物の削減と回収再利用の分野でも独自技術を展開。余剰汚泥減量装置「バイオダイエット」は産業排水あるいは農業集落排水処理施設から発生する余剰汚泥削減装置として多くの実績がある。さらに(公財)日本下水道新技術機構と共同で規模の大きな下水処理場向けのバイオダイエットの共同研究を進めている。平成25年12月には技術マニュアルを作り上げ、実用化完了の予定。下水汚泥減量の重要な技術として注目を集めている。

 液状の廃棄物の削減あるいは再利用に欠かせない、減圧蒸発濃縮装置としては「エコプリマ」(写真5)がある。蒸発装置はエネルギー消費の多いことと、装置が複雑かつ運転管理の煩雑さが難点。エコプリマはヒートポンプの採用できわめて省エネ。ヒートポンプで熱の回収再利用を自己完結的に行うため、加熱用蒸気等の外部熱源が不要で、冷却水も不要なコンパクトなユニット装置。スイッチ一つで24時間連続・無人・自動運転が可能な優れものである。接液部の材質はSUS316Lが標準であるが、鉱酸や塩化物イオン等を含む腐食性の強い液向けには、特殊耐食材料を使用した製品を準備している。

 加熱温度は60℃と低温であるため、有機物を含む液も変質、熱縮合等の心配が無い。資源枯渇が憂慮されるリン酸の濃縮再利用、メッキ液の濃縮再利用等の資源回収。自治体による廃棄物処理・リサイクル事業補助金制度の本格始動にあたり、補助対象技術としても注目されている。

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写真5 減圧蒸発濃縮装置「エコプリマ」

 

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