ソリューション企業総覧 Web版
エコ24

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環境ソリューション企業編

アスベストの封じ込めから解体工事まで一貫体制を構築
~人体への影響を無害化する工法で建設技術審査証明を取得~


エコ・24

www.eco24.jp

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エコ・24 波間俊一社長に聞く


 

 エコ・24は環境に優しいセラミックコーティングのエキスパートとして事業を展開する。建材として使われたアスベストの除去事業では、独自の溶液「エコベスト」を吹き付けてアスベストを処理する工法「CAS工法」を開発。アスベストの人体への影響を無害化する工法として、建設技術審査証明書を取得した。生産物賠償責任保険(PL保険)の適用も受け、公共施設などこれまで約160件の施工実績がある。

 6月に大気汚染防止法が改正され、アスベストの飛散が伴う解体工事の届け出義務が工事の施工者から施主などの発注者に変更。施主側の安心安全に対応するため、アスベストの封じ込め工事で10年間の施工保証も始めた。エコベストをベースにアスベストの除去剤も開発し、封じ込めから解体まで一貫して手がける体制を整備した。

 またエコベストに独自の調合を加えたセラミックコーティング剤を活用し、劣化したポリカーボネート板の透明度を復元する施工方法「クリアスカイ工法」も開発。老朽化したインフラ設備の更新事業(企業編【環境負荷低減・環境共生】参照)などにも取り組む。波間俊一社長にアスベスト飛散防止対策事業の現状と、今後について聞いた。

アスベスト使用建築物2028年解体ピーク

—アスベストは現在も建物などで使われていますが、現状について教えて下さい。

波間 アスベストは天然鉱物のうちの繊維状のものの総称です。耐熱性や耐摩擦性などに優れ、安価でもあることから『魔法の鉱物』として重宝されてきました。国内では1950年代から一般化し、工場やビル、一般住宅などの建築物で耐火用や断熱用としてのアスベスト吹き付け材、ボイラに巻き付けた保温材、家屋の内外装用の成型板などとして使われてきました。しかし、アスベストの繊維は髪の毛の5000分の1程度と細く、呼吸器から吸入することで中皮腫や肺がんなどの健康被害が生じることが次第に明らかになってきました。

 アスベストは1975年に吹き付け作業が禁止されるなど規制が強化され、2006年に一部の製品を除き製造、輸入、使用などが法律で禁止されました。環境省によると1956年から1989年に建設された大中小規模の建築物は約104万棟。そのうちアスベストの除去が完了していない建物の割合を70%とした場合、吹き付けアスベストの除去に関する市場規模を8兆2000億円と推計しています(図1)。またアスベストを使用した可能性がある建築物の解体工事は2028年をピークに全国的に増加すると予測しています。

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図1 アスベストの使用状況と建築物施工棟数の推移(環境省の資料から抜粋)

 

アスベストを無害化封じ込め工事を開発

—既に使われたアスベストへの対応が今後本格化するなか、人体への影響を無害化する処理工法「CAS工法」を開発されました。

波間 CAS工法は独自開発したストレートシリコンを主成分とするポリシロキサン結合溶液「エコベスト」を霧状にしてアスベストに吹き付ける処理工法です。エコベストは水の約3倍の浸透力があり、毛細管現象でアスベスト層全体に浸透します。針状のアスベスト繊維同士を結合し、肺胞に刺さらない程度の大きさに固めることで無害化します(写真1、2)。また素材はアスベストと同じ鉱物から取り出しているため、親和性や吸着性が高く、噴霧だけでアスベストを封じ込めることができます。

—目に見えないアスベストをどのように封じ込めるのでしょうか。

波間 実際にアスベストの危険性が高まるのは劣化した後です。劣化して折れたアスベストの先端は目に見えない大きさのため、どこを浮遊しているのか分からなくなります。当社では逆に体積を大きくして浮遊させなければ、アスベストを封じ込めることができるという発想でCAS工法を開発しました。また人体に影響を与えない形状と体積にできれば、「魔法の鉱物」と呼ばれたアスベストの特徴を生かし、共存共栄できるのではないかとも考えました。

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写真1 未処理のアスベスト

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写真2 CAS 工法処理後のアスベスト

 

国交省から技術力評価PL保険にも適用

—これまでの導入実績を教えてください。

波間 建材として使われたアスベストの対策は、建築物の「解体」、アスベストの「除去」、アスベストの飛散を防止する「封じ込め」があります。初めての受注は宮城県にある住宅センターの解体工事で2006年でした。その後、公共施設や企業が保有する自社ビルなどを中心に約160件の施工実績があります。そのうち95%が封じ込め工事で、多くの現場でアスベストの特徴を維持しながらご利用いただいています。

—CAS工法は建設技術審査証明書を取得するなど、第三者からの評価も得ています。

波間 これまで封じ込め工事後も現場にアスベストの飛散がないかを確認するため、定期的に環境測定を行い、いずれの現場でもアスベストの飛散がないことを確認してきました。こうした測定結果などをもとに2012年、日本建設機械施行協会から建設技術審査証明書を取得しました(写真3)。これまでアスベストの飛散を防止する製品への証明はありましたが、人体への影響の無害化まで踏み込んだ証明は業界でも初めてでした。

 CAS工法の技術審査で提出した報告書には、コンクリートや鉄に付着したアスベストの処理にも有効なことを証明した第三者機関の試験結果も掲載しました。きっかけは2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件で、ワールドトレードセンターが崩壊したことによるアスベスト被害などを受け、震災などを想定したアスベスト処理の必要性を実感したからです。審査結果などを踏まえ、東日本大震災のがれきに含まれるアスベストの無害化にも適用できると判断し、被災した自治体などへの提案にも取り組んでいます。

 また大手保険会社の生産物賠償責任保険(PL保険)と請負業者賠償責任保険の適用も受けています。両保険により施工中の事故などの補償や、訴訟費用などを補うことが可能になりました。

—医学など学術的にも安全性などで評価を得ています。

波間 医学の専門家からはエコベストを浸透させたアスベスト繊維は、極めて安全性の高い形状(非針状化)あることが証明されました。解析した医師による所見では「(コーティング処理されたアスベスト繊維は)人体に吸収されても8—10ミクロン(μm)のものであれば細気管支に到達し、止まるものは繊毛上皮によって繊毛運動で異物の排出が行われ、痰などとして排出され、肺胞に至ることはないと考える」との評価を得ました。

 また鉱物的な見地からは安全性に加え、耐久性の高さも証明されています。専門家による所見ではアスベストは繊維状の鉱物で、エコベストも鉱物のストレートシリコンを主原料としており、両者は相性が良く強固な結びつきが形成されると述べています。

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大気汚染防止法改正施主にも一定の責任

—アスベスト対策では6月に大気汚染防止法が改正されました。どのような影響が考えられますか

波間 これまでもアスベストの飛散を防止するため、建築物の解体工事などに対する規制がありましたが、実際にはアスベストが飛散する事例や、アスベストが使われているかどうかの事前調査が不十分であるなどの事例が散見されました。また工事の発注者である施主などがアスベストの飛散防止措置の必要性を十分認識しないで施工を求めることにより、解体工事を手がける事業者が十分な飛散防止対策をとり難いことなどが問題となっていました。

 法改正によりアスベストの飛散を伴う解体工事の届け出義務が、工事の施工者から施主などの発注者に変更されました。また解体工事の受注者にはアスベスト使用の事前調査の実施と、発注者への調査結果などの説明を義務づけ、発注者にも一定の責任を担わせることでアスベスト飛散防止対策を強化しました。

封じ込め工事10年間の施工保証

—アスベスト対策への関心の高まりを受け、封じ込め工事に関して10年間の施工保証を始めました。

波間 「アスベストを養生シートなどで囲い込んだが、不安なので封じ込め工事をしておきたい」……実際に県営や市営住宅などの施主からこうした問い合わせが増えてきました。背景には法改正により一定の責任を担うことになった施主が、安心安全を求める近隣住民への対策を強化した一環だと考えています。

 こうした声を受け当社でもアスベストを無害化する封じ込め工事で10年間の施工保証を業界に先駆けて始めました。内容はCAS工法でアスベストの封じ込め工事をした後、現場にアスベストの飛散がないかを確認するため、当社が年1回程度の割合で環境測定を実施。飛散が認められた場合は原因を特定し、無償で飛散防止対策を実施するサービスです(写真4)。

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アスベスト除去剤開発解体工事も請け負う

—アスベストの除去剤を開発し、封じ込めから解体まで一貫して手がける体制を整備しました。

波間 アスベストを封じ込めたとしても最終的には建物を解体する時期がきます。封じ込めて終わりではなく、解体するまで責任を持って対応すべきだと考え、除去剤の開発と除去工事事業に参入しました。エコベストをベースに開発した除去剤を使い、ビルなどの解体工事でアスベストの除去工事を自ら手がけます。

 またアスベスト飛散防止対策が可能な除去剤として、卸業業者など通じて解体業者への販売も始めました。今後は法改正を追い風に安心安全への意識が高い施主が、逆に除去剤を指定してアスベストの飛散が伴う解体工事を依頼するような状況を作っていきたいと思います。

—最終的な目標にアスベストを土に返すことを掲げています。

波間 建材として使われたアスベストは溶かしたり、袋詰めにして埋め立てたりして処分しています。これまで除去剤には有機溶剤を使用する場合が多く、土壌汚染や水質汚染への懸念から特別管理産業廃棄物として処理する必要がありました。エコベストの素材は無機質で土壌汚染や水質汚染の心配がなく、アスベストをしっかり固めることができれば土に返すことも可能だと考えています。今後アスベストの除去が本格化することから、処分場もいずれ限界がくることが予想されます。エコベストで処理したアスベストを一般建築廃棄物として処理することを認めてもらうためにも、実績を積み重ね、安全性を証明していきたいと思います。

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