ソリューション企業総覧 Web版
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環境ソリューション企業編

調達から生産、廃棄までサプライチェーン全体の
CO2排出量削減に取り組む
~環境対策をビジネスの柱に据える企業(国内編)~


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jpn.nec.com/

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NEC 堀ノ内力本部長に聞く


 

 内外の企業ビジネスにとって、もはや環境対策を避けて通れない中、NECでは「NEC環境アニュアルレポート2013」を発行した。このレポートでは、同社が2010年6月に発表した中長期における行動計画「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」の3年目となる2012年度の進捗状況が紹介されている。それによると、CO2削減実績は、2017年度目標の累計1500万tに対し累計741万tで、かつ単年実績でも298万tといずれも順調な進捗状況を示した(図1)。他にも、製品のエネルギー効率改善や生態系・生物多様性保全に向けた活動強化ほか、数々の順調な進捗状況が裏付けられていた。

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図1 2017年度CO2削減目標は累計1500万t

 

「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」がめざす目標

 「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」は、2010年6月に策定された。この目的は、「NECグループビジョン2017」がめざす“人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー”を環境面から具現化しようというものだ。目標年度は、中期目標設定を「NECグループビジョン2017」と同じ2017年度に、長期目標設定を2030年度にそれぞれおいている。

 そして具体的な目標は、次のとおりだ。

 (1)「低炭素:社会全体のCO2削減にITソリューションで貢献」する。すなわち2017年度に累計1500万t、2030年度に累計5000万tの削減をそれぞれ実現させる。(2)「低炭素:製品のエネルギー効率を改善」し顧客における使用段階でCO2発生を抑制する。これは2017年度に全製品加重平均で80%、全製品群個々は70%(2005年度製品比)それぞれ改善を実現する。一方2030年度は全製品加重平均で90%、全製品群個々は80%(2005年度製品比)それぞれ改善を実現する。(3)「生態系・生物多様性保全に向けた活動を強化」する。これは、「NECグループ生物多様性行動指針」に基づき、地球観測衛星による観測技術、無線センサ端末による自然生態系モニタリングなどの観測技術やソリューションを提供するとともに、植林やNEC田んぼづくりプロジェクト、全世界のNECグループ社員によるボランティア活動などを強化する。(4)「資源循環、省資源の推進」を行う。これは、NECの全ての主要な製品へ環境貢献度が高いバイオプラスチックを導入し、石油資源の枯渇問題に対応する。

2012年度のCO2排出量削減の実績と目標に対する効果は

 まず、上記(1)〜(4)の目標に対する進捗状況をみよう。

(1)「低炭素:社会全体のCO2削減にITソリューションで貢献」

 2012年度目標の累計672万t及び単年247万tに対し、同年度実績は累計741万t、単年298万tと目標をクリアした。NEC CSR・環境推進本部長 堀ノ内 力氏は「仮想サーバリソースをオンデマンドで利用できるようなクラウド技術やモバイル端末の動画配信を最適化するクラウドサービスが浸透したことなどが大きいですね」とその背景を説明する。このことは、2017年度1500万tへの貢献目標に向けても、明らかに順調に推移していることを裏付けていた。

(2)「低炭素:製品のエネルギー効率の改善」

 2012年度目標65%に対し、同年度実績は64%であった。「昨年度、NECから出荷した全製品のCO2排出量が61万tで、これを2005年度モデルで集計した場合171万tになりますからこの差分110万tが64%削減に相当し、とりもなおさずエネルギー効率の改善を意味します」と堀ノ内氏は説明、目標の65%とほぼ差がないことから概ね予定通りの進捗であることを裏付けていた(図2)。

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図2 製品のエネルギー効率改善

 

(3)「生態系・生物多様性保全に向けた活動の強化」

 2012年度内に生態系・生物多様性保全への貢献活動に7300人が参加の目標をたてていたが、同年度実績は8425人であり目標を達した。参加人数が伸びた理由は「東北の復興支援への参加者が増えたことがあげられます」という(堀ノ内氏)。なお2017年度目標は、1万2000人と2010年度実績の倍に定めている。また、生態系・生物多様性保全に貢献するITソリューションとして、航空写真で木の高さを推定するとともに、GISデータと重ね合わせて、森林資源量を推定する“森林価値の見える化ソリューション”や“光解析技術を活用した森林保全モニタリング”、“バードストライク防止ソリューション”などを2012年度の実績として選定している。

(4)「資源循環、省資源の推進」

 主要製品へのバイオプラスチック適用をめざしているが、2012年度の実績としては、6製品群への適用を行った。2015年度以降には、非食用植物原料バイオプラスチックの製品適用をめざしている。

 ところで、NECグループ全体の2012年度CO2排出量実績はどうか。実は、2012年度実績は41万tであった。前年度が47万tであったから6万t分を削減、前年度比12.8%削減したことになる。

 この背景について堀ノ内氏は「2012年度も省エネ・節電活動を継続、各種設備の運転パターンや区分をこまめに見直しました。また、マシン室及びフロアの照明・空調設備などの節電対策も行いました。加えて使用電力インジケータの対象エリアを拡大、関東・東北に関西・九州・北海道も追加し、各部門での省エネを啓発してきた結果が功を奏したと思います」と、地道な努力の成果をアピールする。もちろんデータセンタの仮想化技術や夏季の集中休日なども効果的に働いた、と振り返る。

 また、NECは最近、データセンタの空調電力を最大50%削減可能な多段式高効率冷却技術を開発している。同社施設内でサーバ10台搭載ラックの背面から発する熱量のうち約50%を屋外へ熱輸送することを実証、今後のさらなる削減効果に期待をうかがわせた。

サプライチェーン全体のCO2排出量削減への取り組みが本格的に始動

 NECが、2012年度に取り組んだいわば目玉的なCO2排出削減の戦略として、サプライチェーン全体における集計結果を公表したことがあげられよう。

 これまでNECでは、CO2に関する統計としては、自社のエネルギー使用や物流、紙の使用、出張による排出量やITソリューション提供によるCO2削減貢献量について、独自に炭素統計として集計そして公表してきた。しかし「2012年度実績分は、当社として初めて国際基準Scope3スタンダードに従った集計を行いました」と堀ノ内氏は熱を込める。「この背景は、サプライチェーン全体におけるCO2排出量の一層の削減を推進させるためです」。実は、第三者によるレビューサービスで透明性や信頼性を確保するために、みずほ情報総研(株)がこれを司ったのである。

 堀ノ内氏は「集計の結果、サプライチェーン全体ではCO2排出量は計814万tで、このうち94%がScope3に相当、中でもNECが販売した製品の使用段階における排出が全体の60%を占めることを改めて確認しました」と語る(図3)。したがって「サプライチェーン全体におけるCO2排出削減には、製品の省エネ化が最重要課題です。同時にサプライヤに対して排出量削減の協力依頼や支援も実施しなければなりません」と今後の方針に気を引き締め、決意を新たにする。

 現にNECでは、サプライヤに向けたScope3に関する説明・啓発活動を開始した。また、自社の直接排出(Scope1、2)削減への取組みも怠らない。同社の玉川事業場を一つの街にみたてて、スマートシティ実証モデルの構築に取り組んでいる。2014年までの構築完了をめざし、ここでは統合オペレーションセンタによる事業場レベルの負荷監視・制御をはじめ、EMSや分散型蓄電システムを用いたエネルギーの最適利用、センサ技術による快適かつ省エネ型オフィス環境の提供を実践していく、という。

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図3 サプライチェーン全体のCO2排出量

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