ソリューション企業総覧 Web版
BTジャパン

BTジャパン

環境ソリューション企業編

BTが「Net Good」プログラムの
CO2削減 “3対1の法則”を柱にビジネス展開
〜環境対策をビジネスの柱に据える企業(海外編)〜


BTジャパン

http://www.globalservices.bt.com/jp/ja/home

06_01

BTグループ ケビン・モス(Kevin Moss)氏に聞く


 

 地球上の食糧や水、エネルギーなど全資源を消費する速さは、補充する速さの150%といわれる。この差はさらに加速すると予測される。いま、コミュニケーション・ソリューション及びサービスを、世界170カ国以上で提供する世界的リーディング・プロバイダであるブリティッシュテレコム(British Telecommunications、以降BT)では、こうした世界の情勢を見据えたビジョンを掲げてビジネス展開をしている。それが、同社の環境戦略の柱「Net Good」プログラムだ。Net Goodとは、ビジネスを通じて排出されるエンド・トゥ・エンドでのCO2削減を促進させようとするプログラムで、最近“3対1の法則”を打ち立てた。果たしてその意図とは。

サスティナビリティ実現に向けた3つのプログラム

 BTがビジネス展開上、重視するのは、“サスティナビリティ(sustainability)”だ。これは、まさに企業が注目する“何があっても事業は継続させる”ということにほかならない。BTグループ プログラムディレクターでNet Goodプログラムの責任者であるケビン・モス(Kevin Moss)氏は「BTでは、2020年までの達成を目標に、コネクティッド・ソサエテイ(Connected Society)、インプル−ビング・ライブズ(Improving Lives)、Net goodの3つのプログラムから成るベターフューチャー(Better Future)プログラムを用意しています」という。

 具体的には2020年までに、コネクティッド・ソサエティによって、全英国民10人のうち9人までの人が光ファイバ・ネットワークに接続できる状況にする、またインプル−ビング・ライブスによって、10億ポンドまでの社会貢献ができるほどの企業に成長させる、などを目標としている。「そして“Net Good”が、排出されたCO2の削減に関し2020年までに“3対1の法則”を実現させる、というものです」とモス氏はいう。

「Net Good」プログラム排出CO2削減比3対1をめざして

 BTが、Net Goodで2020年までにめざす“3対1”のシナリオとは、次のような内容だ。

 まずビジネスで排出されるCO2の出所は、次の三者に大別される。第一にBT自身であり、それは運営するネットワークやオフィス、商用車両など同社が直接関わる業務である。次に、BTのビジネスに不可欠な部品提供を行うサプライヤであり、BTの直接サプライヤに加えて、さらにその先全てのサプライヤたちを含む。そしてBTの製品やサービスを購入し使う顧客たちであり、ここではBTの製品やサービスを顧客が使用して消費する電力などエネルギー分が当然含まれる。

 このときBT自身、サプライヤたち、そして顧客が使う製品から排出されるCO2の削減比率を“1”とし、顧客が使う製品から排出されるCO2の削減比率を“3”にする考え方が“3対1”の法則と呼ばれるものだ(図1)。

 実は、2013年これら三者が排出するCO2排出量の比率は、サプライヤが64%、BT自身が8%、顧客が使う製品が28%である。一方BTが支援して削減した顧客のCO2排出量は、2012年から2013年にかけて5.1?Mt相当であった。またこの期間、BT自身とサプライチェーン、そして顧客が使う製品が排出したCO2は5.0?Mt相当で、その差はほとんどなく1対1であった。それを2020年までに顧客が使うBTの製品やサービスの削減量は3をめざすから、そこにはBTの、顧客に向けた啓蒙活動や理解徹底など、並々ならぬ努力が伴うはずだ。

06_02

図1 2020年までにCO2排出削減比3対1を実現

 

排出CO2削減“3対1”の実現プロセス

 そこで、“3対1”の実現方法であるが、ズバリ顧客が使う製品のCO2排出量に対する削減量を現在の3倍にするという。これだけをみると、顧客の負担を大きくさせると思えるが、そうではない。モス氏は「BTの製品やサービスをお使いいただいて、CO2削減が加速する状況づくりを、我々自身がお客様にもたらすことなのです」という。「たとえば、よりCO2排出が少ない高品質なBTのブロードバンド・ソリューションや電話機をお使いいただきお客様が出張されなくてもビジネスが可能になるといったことなどですね」。

 さらに「CO2削減のケーススタディを作ることが重要です」とモス氏はいう(図2)。すなわち、ある製品やサービスを利用すれば、CO2削減をどれほど達成できるのか、を実証するのである。具体的には図2下枠内の9製品が対象となる。モス氏は「これら各製品のCO2削減可能の数値は決まっているので、それらに製品販売量を積算し合算すれば、BTはお客様へのCO2削減支援がどれほど達成できたのかがわかります」と具体的に説明する。

 しかし、そうはいっても当然、他二者も削減努力は続けなければならない。まず、サプライヤは部品運搬等に伴うCO2をどう削減させるか、加えてサプライヤ自身でサプライチェーンの中で削減するために、BT側からプロジェクトを組んで調査やコンサルティング、排出状況の見える化、環境配慮の部品購入はどのようなガイドラインに基づくべきか、調達先選択の際、環境対策が十分できるところはどこかを見極める指導・支援などを行う。

 一方、BT自身は、顧客のCO2削減を加速させるために上記9つの製品をより多く顧客に浸透させるほか、ケーススタディがない9製品以外のものは、それを作らなければならないし、今後よりCO2削減ができる新製品の開発が重要になる。この代表例が最近政府筋からスマートメータ落札を有利にしたことがあげられる。

 加えて、2013年には英国内だけで1997年対比80%のCO2削減目標を3年前倒しでクリアしたが、こうした取組みを続ける。さらに、エネルギー利用時を計測する何千ものスマートメータを世界のオフィスに設置して、コンピュータやエアコン、照明などの節電を徹底している。またSMARTと呼ぶ経営手法に則ってエネルギー管理を行う、データセンタで電力のムダ使いをしない、利用する車に省エネ型エンジンを搭載し利用するなど、エネルギー消化の抑制や再生可能エネルギーを極力利用することなどに取り組む。

06_03

図2 重要なケーススタディづくり

 

CO2削減目標はBT以外の第三者機関の手で公明正大化をはかる

 BTが胸を張るのは、「CO2削減に伴うすべての関連数字は、BT以外の第三者機関によって開発された方法論に基づいており、その文書”Net Goodメソロドジー”は、Webサイト(http://www.btplc.com/Betterfuture/NetGood/OurNetGoodMethodology/index.htm)で公開されています」とモス氏は、公明正大さを強調する。それら機関が、The Carbon Trust社とCamanoe Associate社で、とくに後者のCamanoe Associate社の研究員は、あのMIT(マサチューセッツ工科大学)出身者である。この方法論は彼らのほか、顧客や政府官公庁などステークホルダも含めて協議の上作成されたものだ。ここには重要な特徴が2つあり、一つがエンド・トゥ・エンドでのCO2排出に関し全体での責任を把握すべきという点、もう一つが悪い点を減らすのではなく“Net Good”を目標とすべきという点だ。すなわち「具体的な各数値目標において、昨年よりもよい結果、悪い結果をプラスマイナスしてみて、よいものが多ければネットでグッド!!ということになります」と、モス氏はNet Goodの語源とともに、その真髄たるところをアピールする。

 実は、BTではこうした新しい削減方法を前述のように他産業などに公開することで、他の通信会社や電力会社など企業の排出CO2削減に利用してもらい、「利益追及のみならず、環境問題対処に向けたリーダシップで社会貢献にも取り組んでいただきたいですね」と、モス氏は大きな期待を寄せる。

 

« »